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闇夜の護衛  作者: 彩霞
第三章

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第52話 エレインの推理

 エレインはセレレインの森の分かれ道まで来ると、馬を下りて足跡を確認する。

 ランプでひづめの跡を確認すると、馬が停まった様子はあるが、そのまま左の道に向かったのが分かる。


(迷わず左側の道に行っているな……。ということは、『ソルドー』のほうへ向かったな)


 右側の道のほうを見てみるが、特に跡はない。


(ここではもう、俺たちを惑わすようなことはしていないな。むしろ、『こっちにいる』と主張しているみたいだ)


 エレインは何度か周囲を確認すると、ズボンのポケットから白いハンカチを取り出す。そしてイグマンに指示された通り、左側の道にあるライラの木の枝にそれを結んだ。


(これでいいか?)


 エレインは木から一旦離れてランプの明かりをかざして、布の見え方を確認する。


(……よし。いいだろう)


 少しでも明かりが当たれば、「何か白いものがある」と思えるくらいには見える。道からも見えやすいところに付けたので、きっと分かってもらえるだろう。


 やることが終わると、彼は馬の元に戻って乗馬し森の出口へ向かった。


(まずは『ソルドー』へ行こう。問題はそこからだな。森を出て町に入ると足跡を辿たどりずらくなる。ソルドーは、商人や旅人がジオグン街へ行くために通過する町だから人通りが多い。道は舗装ほそうされていないとはいえ砂地が踏み固められているから、きっと兄弟たちが乗った馬の蹄は見つけにくいだろうな)


 分かれ道からそれほどかからずに、セレレインの森の出口まで来ると、エレインは少し迷った末にソルドーの西側のほうへ向かった。


 これは勘である。


 借馬屋で兄弟たちが降りた馬車は、誰も乗せずに西へ向かった。あれは追手をあざむくためのもので、実際後続のいくつかの馬車がそれを追って行った。


 しかし、そうであるならば何故セレレインの森の分かれ道で、馬車が向かったのと同じ西側の「ソルドーを選んだのか」がに落ちない。


(もし、あの馬車が本当に追手をあざむくためなら、セレレインの森の分かれ道で東側「ルテ」の町を選んだほうがいい。そうすれば西に行った者たちから、かなりの距離を離すことができる。だが、そうせずに「ソルドー」の町へ向かっている。……ということは兄弟を連れて行ったあの男女は、最初から馬車で「ソルドー」で向かおうとしていたが、追手をあざむくためにわざと馬に切り替えたんじゃないか?)


 それならばソルドーへ向かったのも想像がつく。その町の宿屋に泊まるつもりでいたため、ソルドーへ向かったのだと考えると自然だ。確信があるわけではないが、動かないことにはどうにもならない。


(……やるか)


 エレインは心の中で気合を入れると、馬を西側のほうへ走らせた。


(宿屋は多いな)


 周りの建物を見ながらエレインは思う。

 こちら側はジオグン街に続く街道が近いため、泊まる人も多いのかもしれない。

 思った以上の多さだっただめ、全てを確認することはできなかったが、馬小屋のある宿屋と、周囲に店が多い場所を中心に目星をつけた。


 店が多いところを選んだのは、追手を警戒している者にとって、人通りが多いところは人目があって比較的安全であることと、買い物がしやすいという二つの利点がある。一時的な拠点とはいえ、宿屋から近いほうが店とを往復している間にねらわれる可能性が減るのは心的負担を考えても楽なのは間違いない。


(森に残された足跡などを見る限り、こちらを挑発しているように見せかけて、守りの部分は徹底しているし用意も周到しゅうとうだ。俺の見立てが正しければ、きっとこの辺りにいるはず……)


 エレインは西側の宿屋をある程度見終えると、速足でセレレインの森のほうへ向かう。


(イグマンさまはこちらへ向かっているだろうか?)


 合流して宿屋の目星をつけた方法を報告したあと、日の出後には実際にそれぞれの宿屋の前に張り付くなり、中に入って調べるなりをして兄弟たちがいることを確認しなければならない。


 自分たちの体を休める時間も必要であるが、やることは山積みだ。


(早く伝えないと――……)


 そう思ったのときだった。


 突然自分の背に、どっしりとした重い気配を感じたのである。 

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