表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/67

02 テンプレ金髪のイケメン王子様

前回のあらすじ。

主人公のTSが発覚して色々あった。

「今どんな感じだ?」


「おう……ッ破壊力……いや、テンプレ金髪王子様がやって来て、飲み物やら軽食が配られた所だな。」


と聞いてそちらを見てみると、優しげな表情をした金髪イケメン君と目が合った。

頼むから恋は始めないでくれよ。生理的に無理な笑顔だから。


さて、今俺が着ているのはこの世界の女性騎士の軽装。

現代っ子の俺からすれば装飾過多にも思えるが、王家に仕える騎士である以上、見た目で王国の威厳を見せなきゃならない。

それで1番簡単なのが財力を見せることだろう。

こんなに豪華な服を騎士全員に配るほど、我が国には財力があるぞ!

ってな感じで。

幸いな事にズボンだし、シャツの上に着るタイプだったから暑けりゃ上を脱げば良い。


「全員が揃ったようなので、改めて自己紹介をさせていただきたい。」


そこまで大声でもないのに、この大広間全体で聞き取れるその声は、何故か聞いていて心地が良い。しかしそれが気持ち悪さを助長する。


「アルカナム王国第1王子にして第1継承者、【叡知(ウィズダム)】リアム・ファルタス・アルカナム。勇者様方には、お見知りおき願いたい。」


【叡知】…叡知ね。称号みたいな物かな?


リアムと名乗った青年は、歳の頃は俺たちとそう変わらないだろう。10代後半か、行ってて20歳とか。

そして名乗ったのは第1王子で第1継承者。この国に何人王子や王女が居るか知らないけど、少なくとも1番上がリアムって訳だ。


「まず、初めにお伝えしたいのは、我々アルカナムは、皆様を害するつもりは無いという事です。」


「じゃあ、ここまで連れてきた目的は?」


一切の躊躇無くタメ口で言い切った悠真(ゆうしゃかよ)に心の中で一応王子だぞ、とツッコミを入れる。

首斬られたらどーすんだ!コイツら俺たちの常識通じない異世界人間だぞ!?


「それは勇者様方の保護のためです。古来より、この世界では世界の危機が近付いた時、異界より勇者が現れ、その闇を打ち払ったと伝わっています。」


「しかし、異界からやって来て右も左も分からない皆様のそのお力を、よからぬ事に利用しようとする者が居ないとも限りません。多少強引ではありましたが、我が国へとお招きさせていただきました。」


ふむ、テンプレ金髪イケメン王子様は、言うこともテンプレだった。

古代からの因果、世界の法則、世界の闇。

こういうファンタジーにありがちかつ、俺たち(厨二病患者)も大好きな展開だ。

わくわくしてきた。


「なるほど、つまりはあんたらも俺たちを利用するために連れてきたってことにならないか?」


「……否定はしません。」


ここで場の空気が変わった。王子様主体だった会話の主導権が、悠真へと移る_


「待ってくれ御影。」


さてさて、ここでクラスではお馴染みのいつものアレが始まる。


「確かに彼らの行ったことは御影にとって許せないことなのかも知れないが、彼らだって世界の危機に何もしないわけにはいかないんだ。」


「彼らを否定するのは、詳しい話を聞いてからでも遅く無いだろ?」


簡単に言えば理論派と感情派との怪獣大決戦。

悠真は間違ったことは言ってない。王子様がやったことは、結局誘拐と変わらない。

どれだけ舌論を重ねても、王城まで来させれば、ある程度は国の意志で俺たちの行動を左右出来てしまう。

これが事実。

とはいえだ、「王子様も困ってるんだし話だけでも聞いたげようよ!」派が居ることも事実。

しかもそれがクラスカースト最上位イケメン万能くんである北瀬優輝だから質が悪い。

両者の言い分はどっちが正解とか無いし、どっちに着くかも自由だ。


「悠真!」


「!!?」


未だ俺の声に慣れないのか、悠真は肩をびくりと揺らし、俺の方を見る。


「一旦止めろ、北瀬もな。俺も王子様にいくつか質問したい。」


「…どうぞ。私が知る限りでしたらどのような事でも…、」


「まず1つ目、俺たちは元の世界に帰れるのか。」


俺の質問が聞こえたであろうクラスメイト達は、電波も無いのになんとかsnsで今の状況を全世界に伝えようとしていた手を止め、王子様へと視線を送る。












「はぁ~、お風呂あったのは唯一の救いかな。」


肌に張り付く長髪に違和感を感じるが、熱を帯びるぽかぽかの身体にとってはどーでもいい事だ。

それよりも俺の性別が微妙過ぎて女子風呂に最後に入らされた事が納得いかん!

なんでだ!女体化してから唯一楽しみだったのにぃ!


「………起つ物ねーけどさ。」


自分の思考で虚しくなるのは悲しすぎるだろ。


さて、結局あの後の話をするならば、俺たちが帰れるかどうかは「分からない」との事だ。

何せ前回の勇者は1000年以上前。口頭での口伝はもちろんのこと、文章で残された物すら風化している。

それについて詳しく知っているとしたら、創世の時代からこの世界の神に仕える『天使』ぐらいらしい。

或いは大陸の中心、ユドラ大森林の奥底に住むと言われる森妖精の長(ハイエルフ)ならば長寿だから知っている可能性もあるかも?って感じだ。


そして2つ目の質問。これは単純にクラスメイトを安心させるための物。


「もしも、俺が王子様の頼みを断ったらこの城から追い出すか?」


「…いえ、私達に…いや、世界にとって、皆様の存在は最も尊い物。もしも、皆様が私達の望みを叶えるに足らずとも、皆様の平穏は、我らアルカナムが保障します。」


思ってたより良心的な異世界召喚だ。

追放物とかじゃ無くて良かった。


ひとまず明日、俺たちの潜在能力を調べるらしい。

ひとまず俺の確定してる能力は『TS能力』。

剣と魔法と王国と、どこかで聞いたようなファンタジーの世界で、俺たちに何が出来るのか…。


「ひとまず、今日はしっかり寝よう。」


柔らかで豪華なベッドに身を委ね、俺の意識はゆっくりと途絶えた。

書くの楽しい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ