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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

平等に対等にお互い様でやっていこう、そう強制されてるのだから

作者: よぎそーと

「よう、どうしたんだ」

 やってきた警察官に声をかける。

 いつも通り、のんびりした到着だった。

 既に十数人の人間が死んでるというのに。



 その殺人現場に到着した刑事は、

「またやったのか」

とあきれ顔だ。

 実行犯である男を前にして。

 問われた男は、

「まあね」

とだけ答えた。



 やった事を認めた。

 本来ならそこで逮捕するべきだろう。

 しかし、刑事はそういった素振りを見せない。

 それどころか、

「こいつらが何かしたのか?」

 転がる死体を蹴りながら尋ねてくる。

「ああ、もちろん」

「だろうな」

 実行犯の声に、刑事はやはりと思った。



 殺し殺されるのが当たり前となっている。

 どんな罪を犯しても、それを問われる事は無い。

 人権がどんな悪事をおかしても守ってくれる。

 それ故に、人は悪さに歯止めをかけなくなった。



 悪さをしてもおとがめ無し。

 襲われても償いはない。

 ならば、悪事を働いた方が得である。



 そんな当たり前の事に気付いた者達は、進んで悪事を働いていった。

 そして、襲われる前に殺してしまえ、が標語になっていった。



 今回、実行犯が十数人の人間を殺したのもその為だ。

 柄の悪い連中がやってきた。

 問題を起こした連中である事は、ネットを通じて伝わっている。

 見つけ次第処分しないと襲撃される危険がある。

 だから見つけ次第殺していった。



 それが分かってるから刑事も何もいわない。

 もとより逮捕するつもりもない。

 実行犯が自警団として殺したのは分かっているからだ。



「まあ、今後も頑張れよ」

「はいよ。

 あんたが定年を生きて迎えられるようにするよ」

「そうしてくれ。

 俺たちはお前らのように簡単に銃は使えないんだからな」

 それもまた人権である。



 警察などがみだりに武力行使する事を禁止している。

 だから警察は何も出来ない。

 何かしようものなら、良くてクビ。

 下手すれば刑務所に叩き込まれる。

 なので、下手に何かする警察はいない。

 事件が起こっても無視するのが普通になっている。



 彼らの目的は給料をもらいながら定年を迎えること。

 事実上の休業状態の警察は、これはこれで安心の職場である。

 何かする必要は無く、何もしなくて良いのだから。

 まともに治安を考える者にとっては許しがたいだろう。

 だが、怠けて人生を送りたい者にとっては最善の職場になっている。



「ああ、そうだ」

 刑事は思い出したように伝える。

「この前の事件な。

 弁護士が訴えるって息巻いてる」

「へえ」

 どの事件か実行犯は分からなかった。

 だが、思いあたる事はいくつもある。

 そのどれかだろうと思った。



「下手すると裁判所が動く。

 面倒がいやなら、さっさと片付けな」

「はいよ」

 今のご時世、訴えても罪に問われることはない。

 だが、裁判所に出向くのが面倒で手間だ。

 弁護士も一応雇わないと不利にはなる。

 なので、弁護を受け持つ弁護士と訴える側の弁護士が共謀することもある。

 少しでも金を稼ごうと。



 そんな事で時間と金を奪われるのも面倒だ。

 なので、さっさと弁護士を潰す事にする。

 刑事から弁護士の情報を聞いて、早速動いていく。

「情報提供ありがとう」

「礼は金で示せ」

「はいはい」

 これもまた、警察官の大切な収入源になっている。



 その後。

 無事に弁護士も殺し。

 裁判所への訴えを阻止する事に成功。

 護衛もいたが、仲間と共に数で押し切った。

 そもそも、護衛の数も少なかった。

 質も大したことはない。

 おそらく、ゴロツキが金ほしさに協力したのだろう。



 このご時世だ、無駄な訴訟をする弁護士の味方をする者はいない。

 そんな者がいたら、見つけ次第に始末される。

 護衛依頼を出した瞬間に。



 当然、弁護士と僅かな護衛の死が事件になる事もない。

 警察も動く事は無い。



 そうして平穏を守った実行犯は、今日の仕事に向かっていく。

 無駄な騒動を起こす不埒者を抹消するために。

 平和を手に入れる為に。

 人権によって壊れた世界の中で。

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