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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ

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86.果樹園

 コテージの外に出て裏に回ると、レンガ造りの丸い井戸が完成していて、ちょうどクラウディアさんが水を汲んでいた。


 私が「みなさんはどこに?」と尋ねると「耕しているわよ」と答えてくれた。ドアを開けたとき姿が視界に入ったはずなのに、見えていないとは如何に井戸が気になっていたのかだが、情けない話である。


 表へ回ってみると、小川に近い方をオークさんとコニーリアさんとカプラさんが耕していた。他のみんなは、まだ来ていないようだ。


 みんなを待っているついでと言っては失礼であるが、私も鍬を持って土起こしに参加した。結局、テレーザさんとカレンさんが16時半頃インしてきたが、エレナさんは来なかった。


 一人でも欠けると気になって仕方ない。何かあったのではないかと心配してしまうのだ。


 何かあったというと、真っ先に思いつくのは怪我か喧嘩だ。


 小学生の時、旅行の前日に母親と大喧嘩をしてしまい、「旅行に行かない」とふてくされて部屋にこもったことがある。


 些細な()()()()が、心の中に封じ込めて我慢している不満とかに引火して爆発する。


 こうなると、冷静さを失って無謀な行動に出てしまい、相手を狼狽させる。心が落ち着くまで長い時間が必要となるのだ。こちらが落ち着いても、まだ向こうがくすぶっていることもあり、面倒であるが。


(誰かと喧嘩したのではないだろうか……。日曜日には仲直りしているよね……)


 そんな心配が顔に出たらしく、テレーザさんとカレンさんは私の顔を覗き込んで心配してくれた。


「ごめんなさい、大丈夫」


「それならよかった」「私も」


 二人は安堵の表情を浮かべた。


 と、その時、テレーザさんが「話は変わるけど」と切り出した。


「井戸のある方の土地は、何をするの? また野菜?」


「うーん、ちょっと変わったことをしたいなぁと。例えば、養鶏場とか。牛を放牧する牧場でもいいかなと」


「牧場って……草が生えていないけど」


「確かに……」


 あの土地は、野菜を植える前提で雑草を全て抜いたのだ。その時、カレンさんがポツリと、ある単語を口にした。


「果樹園とか」


「……なるほど。それ、いいかも!」


 野菜は念頭にあったが、それ以外となると牧場とか養鶏とか酪農とかが頭に浮かび、果樹園という発想は完全に抜け落ちていた。


 農業と一言で言ってもこんなにたくさんの分野があるんだと、今更ながら驚いた。


 おっと、米や麦など、穀物も抜けている。


 まだ何か抜けている気がしてきたので、これは、もう一度社会科の教科書を本棚から取り出して勉強し直さないといけないようだ。


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