80.さらに土地を広げるべきか
新しいメグ美農園の横方向はおよそ100メートルで、両側は、コテージに近い側の50メートルが両隣の農園と接する形になった。あちらはすでに柵を立てていて、こちらもそれに接するように柵を立てた。
コテージから遠い側の両隣の50メートルは、まだ木々が残っている。コテージから100メートル奥は小川と木々がある。つまり、耕地の手前の半分はお隣さんに挟まれ、奥の半分は三方向が木々に囲まれている形だ。
コテージの裏側は、お隣さんがこちらに向かって耕地を広げてきたが、途中で切り上げたらしい。挫折したのか、こちらが耕地を広げてこないので安心したのかは不明。
なので、今からでも頑張れば、コテージの裏側を広げることが出来るとのこと。
進出してきたお隣さんまでは、あと50メートルほど残っているらしいが、私は「木々を残したいので、柵だけ立てませんか?」と提案すると「それは開墾したことにならないので無理じゃ」と却下された。あくまで木を伐採しないといけないらしいが、ゲームの仕様なのだろうけれども、ちょっと納得がいかない。
町までの道はそのまま残っているので、柵の扉が、今度はコテージから見て右側の柵の真ん中辺りに残った形になった。ここにあの紺色の大型トラックがやってきて、運転席から降りてきたキツネさんが「やあ」って声を掛けるのだろう。
なお、オークさんの話では、コテージから一番遠いところにある美しい小川を農園に引き込むために欲張ってさらに奥へと開墾することも出来るらしい。でも、そんなに土地をガツガツ広げず、小川をお隣さんとの境界線にしてもいいと思う。
私とエレナさんとテレーザさんとカレンさんがグルッと農園を一周して自然の美しさを愛でていると、エレナさんが私の前に立った。
「ねえ。コテージの裏も開墾しない?」
私は彼女に、今の従業員の人数で経営できる広さが縦横100メートル――広さで1ヘクタール――だと説明すると、「いや、これから何があるかわからないから、広げるだけ広げた方がいいよ。従業員だって、募集すればいいじゃない?」と目を輝かせて迫ってくる。
そういえば、彼女は自分の農園の経営を諦めたのだった。順調に農園が大きくなったので、彼女も面白くなってきたのだろう。テレーザさんとカレンさんまで、目を輝かせている。
(ああ、やっぱりみんなも面白くなってきたんだ。どうしよう……)