72.リベンジ
コテージから外に出ると、陽の光がほぼ真上から降り注いでいた。あと1時間で太陽は南中になる。左半分の土地に植えられた緑が、光をたっぷり浴びて、風を受けて気持ちよさそうに揺れていた。ちょうど、オークさんたちは作物の様子を見ていたところで、私を見つけて手を振ってくれた。まだエレナさんたち三人の姿がないので、私だけがフライングだったようだ。
「今度は何を植えたのですか?」
手を振りながら近づいていくと、コニーリアさんが「前回のリベンジよ」と言い、カプラさんが「って言ってもわからないよね。ブロッコリーとインゲン豆だよ」と補足する。
リベンジとは、嵐でダメになった作物の再挑戦のことだ。
オークさんには、また種蒔きか苗植え、そして収穫の2種類が楽しめるようにとお願いしておいたのだが、見てみるとどちらも収穫が近いようだ。話が違うので、彼に聞いてみることにした。
「今回は2つとも収穫なのですか?」
「そうじゃ。前回がそうじゃったからのう」
なるほど。私がリベンジを先に言ったのでそれを優先し、前回の状態――どちらも収穫――をそのまま再現したらしい。種蒔きか苗植えを楽しみにしていた私は、ちょっとガッカリする。
「このブロッコリーとインゲン豆が、もし全部売れたら、どのくらいになるのですか?」
私の質問に、オークさんは、カラーピーマンと唐辛子が売れた後の収支状況を教えてくれた。もちろん、ブロッコリーとインゲン豆の売却数は推定だ。と言っても、この推定通りになるらしく、さすがゲーム的ご都合主義である。
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<出金>
ブロッコリーの種 仕入れ数:10、単価: 300PT
インゲン豆の種 仕入れ数:20、単価: 300PT
セロリの種 仕入れ数:30、単価: 250PT
モロヘイヤの種 仕入れ数:20、単価: 300PT
合計:22,500PT
<入金>
セロリ 売却数: 400、単価: 200PT
モロヘイヤ 売却数: 200、単価: 200PT
ブロッコリー 売却数: 500、単価: 180PT
インゲン豆 売却数: 800、単価: 80PT
合計: 394,000PT
残高:1,446,000PT
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当初の100万の資金が50%増しになるのは、もうすぐだ。この勢いなら、2倍も難なく達成できると思う。クイックモードでガンガン進めている人たちは、遙か先を行っていると思うけど、今から追いつこうなんて無謀なことはしない。私――私たちかな?――は、あくまでマイペースで進めて行こう。
そんなことを考えていると、オークさんが「ところで」と切り出した。