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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第1章 荒れ地の果てに
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7.ずっと待っていてくれた

 でも、音の方角をよく見ると、ひょっこりと立ち上がったのはクマではなく、服を着た二匹のレッサーパンダだった。


 星の明かりでも姿がはっきりと見える。背丈は、私より頭一つ低い。右に立っているレッサーパンダは、鳥打ち帽子を被っている。左に立っているレッサーパンダは、服にエプロンをつけている。この動物の二足歩行姿は、どう見ても着ぐるみとしか思えない。


「もう一度やる決心が付いたかのう?」


 右側のレッサーパンダが、おじいさんのような声で()いてきた。


「向こうにあなたの家があるわよ。あなたが戻ってくるまで、ずっと守っていたの」


 左側のレッサーパンダが、木々の奥を指さし、目を細めておばあさんのような声で言う。


 普通なら、「動物がしゃべった!」って仰天するところだが、ゲームの世界にいるからか、何も不思議に思わない。


 決心が付いたかというと、ついていない。何せ、今やめようとしていたのだから。


 でも、私の家があって、その家を守っていてくれたと言われると、たとえゲーム上の台詞とはいえ、感謝の気持ちで胸が一杯になる。


「あ、あのぅ……、見せてもらって……いいですか?」


 ゲームの世界にいることはわかっているのに、なぜか恐る恐る答える私。


「もちろんよ。さあ、こちらへいらっしゃい」


 二匹は木々の間に吸い込まれるように去って行った。私は、その姿を見失わないように慌てて立ち上がり、お尻を(はた)いて後を追う。


 木々を抜けると、目の前に木造の家が現れた。私は立ち止まり、思わず声を上げた。


「なんて素敵な家!」

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