66.癒やしのひとときを求めて
コテージの外に出ると、セロリはすっかり収穫が終わっていて、オークさんたちがみんなで耕していた。モロヘイヤはかなり大きくなっていて、風に吹かれて気持ちよさそうに揺れていた。
ゲームの時刻では18時。日が暮れる頃だ。
「すみませーん! また来てしまいましたぁ!」
私が手を振って駆けていくと、みんなが一斉に振り返り、手を振ってくれた。
ホッとする瞬間。
このみんなのお出迎えが嬉しくて、癒やされたくてここに戻って来たのだ。
心の痛みが和らぎ、胸のつかえが下りていく。
「あら、もう戻ってきたの? まだ準備中よ」
コニーリアがそう言って笑いながら、鍬を私に向かって突き出した。
「さあ、日が暮れるまで耕してね。といっても、すぐ日が暮れるけど」
「はい!」
私は、みんなと一緒に土起こしを始めた。
夢中で鍬を振るった。恐ろしかった夢のあの場面がまだ頭の中をグルグルと駆け巡るが、無心になると、少しずつ忘れていく。
30分ほどで、沈みゆく太陽が頭を少し残すだけになった。さすがに暗がりの中では耕せないので、切り上げる。
「コーンスープがあるわよ。飲んでいく?」
クラウディアさんに誘われてコテージに戻ると、彼女が調理場から大きめの皿と木のスプーンを運んできた。前に――ゲームの最初の頃に飲めなかったコーンスープを堪能できるので、思わず拍手をしてしまった。お誕生日席に座ると、彼女がスッと皿とスプーンを置いてくれた。
さっそくスプーンでスープをすくうと、一緒につぶつぶのコーンも入ってきた。湯気も漂っているが、どうやって映像化しているのだろう。
スプーンから舌の上に流れ込むスープは、温かくて滑らかで濃厚な味がする。コーンはシャキシャキの食感だ。このリアリティの高さは感動ものである。
コーンスープが体を温めてくれて、気持ちが落ち着いた。ホーッと出る息までコーンの香りがする。
なんだか、活力まで湧いてきた。もう少し頑張るぞーって気持ちになる。でも、夜だから農作業は出来ず、星を見るしかないけど。
その時、コニーリアさんがコテージの中に入ってきた。
「ねえ。どうして戻ってきたの?」
「ここが私の憩いの場所だからです。自然に触れて、とても癒やされますし」
「あら、そう? 満足してもらって、よかったわ。
ねえ、星を見ていく?」
「はい!」