62.根気よく待つこと
どう割り切ろうかと考えていたら、心の中で何かがキラリと光った。それが、言葉となって浮き上がってくる。
(そうか。現実世界とゲームの世界で態度が異なるのは、気になる周囲の目がここにはないからだ。そもそも、三人はお互いを知らないけど、私のことは知っている。これって、一対一と変わりないじゃない)
「メグ美さん。また考え事しているね」
エレナさんの声に、ハッとして顔を上げた。
「あ、ごめんなさい」
「さっきも言ったとおり、違う自分を他人に見せたくないから、いつも通り無視しているだけだと思うなぁ。気にしないことだよ」
「でも――」
私は地面にコップを置いた。
「ずっと無視されたくないの」
「うーん……」
エレナさんがボリボリと頭を掻き始めた。
「その人が、周りの人に心を開くまで待ってあげたら? きっと、まだまだ心を開けない事情があるんだよ」
「なぜ、心が開けないのかしら?」
「それ言われると厳しいねぇ……」
彼女が苦笑して一度うなだれ、再び顔を上げた。
「その人、どこかでつまづいちゃったんだよ。本当は、クラスのみんなと仲良くなりたかったのに……。とにかく、こういうのって、時間はかかるけど待ってあげたら? その人の気持ち、わかってあげてよ」