59.リアルとゲームで態度が異なる三人
インしてみると、テーブルに誰もいなくてホッとした。本当なら、誰もいないのが寂しいはずなのに。
窓が開いている。嵐が収まったのだろう。
恐る恐るドアを開けてみた。まず、正面ではなく上を見る。明るい日差しが眩しい。
次に、右半分の土地を見る。そこに植えられている作物の緑が鮮やかだ。何を植えたのだろう。緑の向こうに、オークさんたち四人がしゃがんでいるのが見えた。全員動物さんだ。
その時、視界の左側に人の姿が見えた。あの三人だ。しかも、こちらに向かって手を振っている。私は、心臓がズキッと音を立てて、足がすくんだ。
「メグ美さーん、耕しますよー」
テレーザさんが呼んでいる。昼間、私を無視して絵を描いていて、もう一度問いかけたら、鉛筆を握りしめてグシャグシャと絵に×を描いて苛立った美さんが。
(やっぱり、テレーザは別人。別人よ、別人。絶対に、別人!)
私は自分にそう言い聞かせ、ギクシャクと手を振った。
コニーリアさんの話では、右側に植えたのはセロリで、私たちがこれから耕す左側にはモロヘイヤを植えるそうだ。種からではなく、すでに苗になるまで育てたので、それを植えていくらしい。
全員でなんとか左側の土地を耕し終わると、休憩になった。クラウディアさんは、「コテージでソーダ水でも飲みましょう」と誘ってくれたが、私は「ここにいます」と言って、柵のそばに腰を下ろした。なぜなら、テーブルに着くのが怖いからだ。三人の視線から目をそらしてしまいそうなのだ。
みんながコテージの中に入り、私は柵にもたれて鳥の鳴く声を聞きながら風に当たっていると、コテージのドアが開いた。誰だろうと振り返ると、エレナさんとテレーザさんとカレンさんの三人が外へ出てきた。
ギョッとした私だが、心を落ち着かせて軽く手を振る。
もう飲み終わったのかと思ったら、みんなはコップを持っている。エレナさんはコップを両手に持っている。
「メグ美さん。お疲れ」
エレナさんが、左手に持っていたコップを私に差し出して腰を下ろした。テレーザさんもカレンさんも、私の近くに腰を下ろし、車座の格好になった。私も腰を下ろして輪が完成した。
「風に当たりたいのですか? わかります」とはテレーザさん。
「気持ちいいです」とはカレンさん。
「乾杯しようよ」とはエレナさん。
三人が持ち上げるコップへ、自分のコップを触れるか触れないかの距離に近づける。だが、三つのコップが突き出され、私のコップと澄んだ音を立てた。