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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ
55/150

55.想定外の出来事

 またもや23時を少し過ぎたので、慌てて農場ゲームにダイブすると、いつものようにお誕生日席に座っていたのだが、なぜか、全員がテーブルに着席していた。窓も全て閉め切っていて、外でパタパタ、ヒューヒューと雨風の音が聞こえている。


 着席しているのは、私から見て右側にマシューズ夫妻とカプラさん。正面はコニーリアさん。左側にエレナさん、テレーザさん、カレンさん。なお、お誕生日席はドアから遠いので、ドアに近いのはコニーリアさんだ。


「ごめんなさい、遅くなってしまって。今日はどうしたのですか?」


 私の問いかけにみんなは顔を見合わせ、誰が言うべきかと適任者を探している様子。そのうち、ここはオークさんだろうと、みんなの視線が彼の所に自然と集まる。彼は私の方に向かって残念そうな顔を向けた。


「嵐が来てしまってのう。作物が駄目になってしまったのじゃ」


「えっ!? あのカラーピーマンと唐辛子がですか!?」


「いやいや、それは出荷したのじゃが、その後にブロッコリーとインゲン豆を植えたら、それが全部じゃ」


 驚いた私は急いで席を立ち、ドアに駆け寄ってガバッと開けた。


 外は14時だというのに薄暗く、横殴りの雨が降っている。もちろん、ゲームの描写なので、家の中に雨風が吹き込むという現実的な事象までは再現していないが、リアルに台風みたいな嵐が来ているかのように見える。


 農地は泥の海で、雨に打たれて風で倒れた作物が、なおも強い雨に叩かれ地面に張り付いている。こうなると、ただただ呆然と見ているしかない。為す術もないとはこのことだ。


 私は、自然の猛威を実感し、同時に農場経営の難しさを知った。


 実際には、この風水害の他に日照り、害虫、伝染病、鳥獣による食害など、いろいろな脅威があるはず。ゲームではどこまで再現しているのか調べていないが、いくつかはイベントとして用意していると思う。


 それをすっかり考慮に入れず、このゲームの世界に来れば必ず作物が順調に育っているという甘い考えを持っていた自分が情けない。


 私は「自然相手では難しいですね」とため息交じりに振り返った。もっと悲しんだ表情にしたかったが、実際に種まきから収穫までやっているのはオークさんたちで、ただ見ているだけのオーナーが彼らより落胆するのは大げさなのでやめた。


 エレナさんが「嵐は容赦なく来るよ」と慰める。テレーザさんは「自分が手塩にかけた作物がやられるのは何度もありました」と打ち明け、カレンさんも「同じ目に遭いましたが、ガッカリです」と力なく言う。


 ここで、オークさんが収支を教えてくれた。


 ――――――――

 <出金>

 カラーピーマンの種 仕入れ数:20、単価: 300PT

 唐辛子の種     仕入れ数:30、単価: 300PT

 ブロッコリーの種  仕入れ数:10、単価: 300PT

 インゲン豆の種   仕入れ数:20、単価: 300PT

 合計:24,000PT


 <入金>

 カラーピーマン 売却数: 500、単価: 150PT

 唐辛子     売却数:2,000、単価: 20PT

 合計: 115,000PT


 残高:1,074,500PT

 ――――――――


 ブロッコリーの種とインゲン豆の種は、嵐で結果的に無駄になった計算だが、ゲームスタート時に持っていた元手の100万PTをやっと越えることが出来た。


 種と収穫物の金額の差が大きいので、今回のような風水害がなければどんどん増えていくと思う。でも、私は収益を増やすことよりも自然に触れたいので、こちらは二の次になりそうだ。

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