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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第1章 荒れ地の果てに
5/150

5.やめた理由を思い出す

 ここでの私の名前は「メグ()」。


 なるほど。最初にプレイしたとき、どうしても「恵」を「あや」と読ませるのを避けたみたい。素直に「めぐみ」と読んでもらいたいという気持ちの表れだろう。ただ、ちょっとひねって「メグ()」にしたのは、実名が「恵美」という漢字であることを連想させて、下の本当の名前の「恵」からそらすためか。


 オンラインゲームでは、誰がプレイしているかわからず、仲間が実は身近な知り合いかも知れないからだ。



 顔は丸顔で、何かのアニメのキャラに似ている。髪の毛はスイートハニーゴールドのツインテール。なぜこの色のツインテを選んだのか、理解に苦しむ。まあ、チェリーブロッサム、ベビーピンクよりはいいか。これなら、ピーチブロンドでもよかったかも。


 服は、当たり前だが、今見えているのと同じ。チェック柄は確かに赤で、スカーフはレモン色だった。長靴は、雨靴みたい。


 これ、どう見ても、おばさんが家庭菜園に出かけました的なラフな格好。私的には、中の下のコーデだ。


 指先を画面に滑らせると絵が回転して後ろ姿も見えるが、モデルの試着服と違って、見ても意外に面白くない。


 所持金は1,000,000PT。PTってポイントの略? でも、なぜポイント?


 所持している農機具は、鍬、スコップ、フォーク、鎌、斧、のこぎり。これらの道具を使って、()()()()()()()()()


 と、その時、私の眠っていたゲームの記憶の一部が呼び起こされた。


(そうだ、思い出した! これで何をしていいかわからなくて、やめたんだ!)


 私は、原野に放り出された開拓民ではない。この草むらを開墾する以前に、住む家がない。食料だってない。


 異世界に転移した小説で、主人公がこういう場所に放り出された設定もあるとは思うけど、VRゲームでわざわざここからスタートさせるのは、お金を取るコンテンツとしてはどうかと思う。


(やめようかしら……)


 昔もこう思ったであろう気持ちが、心の中を(よぎ)った。

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