表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ
45/150

45.変わらない三人

 翌朝、寝坊してしまったので、母親が朝食に用意したトーストもくわえず、走りに走った。ジャムとかバターとかをたっぷり塗ったトーストをくわえて歩道を走るという、よく漫画とかにありがちな行為はしない。


 前にそれを試してみたら、くわえたパンが走る振動で揺れ、ジャムが垂れて手も服も汚れたのだ。食べながら歩くならまだしも、食べながら走るのは器用じゃないと無理だと思う。


 空腹を抱えて走っていると、ふと自分の農園での出来事を思い出した。


 あれから耕してばかりで、終わったのは現実世界で午前1時を回った頃だった。もう寝なければと思って落ちることにしたので、残念ながら種を()くところを見ることが出来なかった。エレナさんたちは、もう少し見ていくと言っていたが、寝坊していないだろうか。


 カラーピーマンと唐辛子はオークさんたちに任せて、14時頃そちらに行くとだけ伝えた。それは、現実世界の23時に相当する。15時間ずれているからだ。


 その前にVRMMORPGのボス戦は終わっているだろう。カラーピーマンと唐辛子が花をつけたところから見られるのか、実をつけたところから見られるのかは、きっとコニーリアさんたちが考えてくれる。とても楽しみだ。



 教室に駆け込むと、肩で息をする私の方を見て友達が手を振って次々と挨拶をしてくれる。たくさんの視線をシャワーのように浴びるのはいつものことだ。


 でも私の視線は、例の三人の方に向いている。


 残念ながら彼女たちは横を向いていたが、一瞬こちらを見たような気がする。


 それから、いつもの通りに時間が流れ、三人には何一つ変化がなかった。


(やっぱり、気のせいだったのね……)


 ゲームの世界に同じ学校の同じクラスの生徒が、しかも話が出来ずに困っている三人が現れるなんて、偶然にしては出来すぎているし。


 その望み薄の偶然に期待した私が馬鹿だった。


 授業が終わると、三人はさっさと帰って行った。最後の最後まで一縷の望みを捨てなかった私だが、さすがに大きなため息をついて肩を落とした。そこに友達のユウとアケミが近づいてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ