43/150
43.即席のアドバイス
「わ、私は、あのー、そのー……、とにかく先に謝った方が勝ちだと思います。か、勝ち負けの勝ちというより、そっちの方が良いという意味で」
しどろもどろの私は、落ち着こう落ち着こうと思ったが、どうしても早口になってしまった。
エレナさんは苦笑して肩をすくめた。
「それが出来れば苦労しないし悩まないけど……」
「き、きっと、相手も謝ってくれるのを待っていますよ」
彼女はボリボリと頭を掻いた。
「そうだろうけど、きっかけが……」
自分が悪いと自覚しているなら、さっさと謝った方が早く解決する。長引かせると、相手の不快感を増幅させて、人間関係の修復が遅れるだけだ。
どうやって言えば理解してくれるだろうと考えたが、適切な言葉が思いつかない。それで、沈黙状態になってしまった。
無言の私を三人が見つめる。その視線が痛い。
すると、「何をしているの?」とスコップを持ったコニーリアさんが私たちの所へやってきた。
私は、このAIに救いを求めたい気持ちに駆られた。チャットBOTがなんて答えるのかを期待するように訊いてみた。