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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ
41/150

41.彼女たちのリアルが気になる

 私は三人の話を聞き終えると、背筋に何か冷たいものが走るのを感じた。なぜなら、彼女たちの会話からいくつか状況を拾うと、それらが今現実の世界で私が心に引っかかっていることに一致するからだ。


 言葉遣いが不良っぽく、授業中に机の上に足を乗せて()()()をいじる(えい)さん。


 ノートに黙々と()()()()()()()(びー)さん。


 ヘッドフォンで音楽を聴きながら声を出さずに()()(しい)さん。


(まさか……)


 その「まさか」の通りなら、出来すぎた話だ。リアルの世界でお互いに避けている人同士が、こうやってゲームの世界で私の農園に従業員として雇われ、みんなで自己紹介をし合っているなんて、どんな確率の偶然だろう。


 でも、私の頭の中はその理由付けにフル回転になっている。そして、見つけたような気がした。


(私は(あや)。でも、誰もが(めぐみ)と読む。そして、ここは()()()農園。しかも、実名は、(みのり)(ぞの) (あや)……)


 こうなると、ある推測が成り立つ。


 メグ美農園は(みのり)(ぞの) (あや)を連想させ、私のことが気になる三人が従業員募集を見て近づいてきた。


 もしかしたら、農場経営を諦めたというのは口だけで、実際は管理人に経営を任せて私のそばでずっと監視をしている……。


 そう思えば思うほど、その推測が現実を帯びていく錯覚に陥った。



 三人の顔を順繰りに見ながら、私の手は小刻みに震えていた。その震えが、肩に胸に足にと伝搬していく。


(どうしよう……。もしかして、私のこと、バレている……)


 アバターの顔や背格好を見ても、髪の毛を見ても、現実の世界の彼女たちにはほど遠い。それは私も同じだ。


 これは偶然だと、心の中で何度も繰り返し言い聞かせる。でも、全く落ち着くことが出来ず、耳がジーンとしてくる。今発言を求められたら、おそらく声が出ないだろう。


 と、その時、エレナさんが「こんな話を持ち出して悪いけど」と切り出した。


「メグ美さんにはちょっと話をしたけど、今困っていることがあって――」


 テレーザさんとカレンさんが、エレナさんの方を見て身を乗り出した。

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