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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ
40/150

40.みんなで自己紹介

「そうですか? そうは見えませんが」


 エレナさんは顔をそらしてプッと吹き出し、覗き込む私の方に向き直って「アバターじゃあねぇ」と笑う。


(あれ? 声の調子が変った……)


「こっちの方がいい。怖がる人なんかいないし。誰も話しかけてくれないから、授業――じゃなくって、暇があればスマホを見ているだけ」


 なんだか、エレナさんが()()()()()言葉遣いになっていく。


「あっ、すみません。つまらない話、忘れてください」


 声の感じが元に戻った。さっきのは、別の顔の彼女が心の声を漏らしたのか。



 それから二人で世間話をしていると、テレーザさんとカレンさんがフラフラしながら私たちの方へ近寄ってきて、私の左横にドサッと腰を下ろした。テレーザさんは「参考になったけど、真面目にやるとスローライフも疲れます」と笑った。


 ここでお互いに自己紹介を始めることにした。


 私はVRMMORPGにはまっていることは伏せて「読書と料理が好き」程度にとどめた。もちろん、個人情報は出さず、学生であることがわかる単語も口にしなかった。


 リアルの世界で自分が何をしているのかをさらさない自己紹介は、さらすサイトは別にして、ゲームの世界、ひいてはネットの世界で必須だ。ブログに書き込んだキーワードと情景描写から「生息地」を推定され、ストーカー行為をされた友達がいたので、ここは慎重にならざるを得ない。



 エレナさんは、スマホ代金を払うため毎日バイトをしており、疲れて勉強もままならないらしい。頭のいいお姉さんと比べられるので腹が立つとのこと。時折()()()()()()()()()()()()()()のが気になった。


 年上に思えたが、話題から学生、しかもそれほど齢は離れていなさそうに思える。



 テレーザさんは、このゲームの情景描写に感動してはまったとのこと。それは私も同じだと答えた。


 彼女の趣味は絵を描くことで、出来ればスケッチブックを持ってきて、ここで写生をしたいとのことだった。アニメのキャラを書くのが好きなので卒業したらアニメーターになりたいが、背景を描く仕事もいいかもという。


 この段階で、彼女も学生であることは間違いない。



 カレンさんは、歌が大好きで歌手になりたいらしい。ソロで活躍するよりもバンドを組んでボーカルをやりたいが、なかなか踏み切れないとのこと。今の周囲の人たちに接するのが苦手で、気疲れからこのゲームを始めたらしいが、癒やしにはいいという。そして、リアルの世界で田舎のアイドルでもやろうかと冗談を飛ばす。


 言葉遣いから気弱そうに見える彼女だが、落ち着いた雰囲気から、一番年上かも。でも、アイドルを目指すということから、学生と思われる。

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