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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第2章 スローライフとビジーライフ
35/150

35.オーナーが従業員を希望してやって来た

 柵の向こうから見ていた人は、私の服と同じ柄で薄い青の服を着た、亜麻色のポニーテールで可愛い女の子だった。見学に来た感じもするが、何か言いたそうな素振りを見せるので、私は笑顔で近づいて声をかけた。


「こんにちは」


「こ、こんにちは」


 声は低く、落ち着いた感じが年上を連想させる。照れ屋さんなのか、頬がほんのり赤い。


「見学ですか? もしよかったら、中に入って見ていきませんか?」


「あ、あのー……」


「はい?」


「従業員を募集しているみたいですけど、雇ってもらえますか?」


「え? ……ちょっと待ってくださいね」


 私はオークさんの所に駆け寄り、従業員募集を見てやって来た人がいると話したら、「わしが募集したのじゃ。今でも募集中じゃ」とのこと。山羊のカプラさんとウサギのコニーリアさんに続いて、今度は動物じゃない人間が応募に来たということか。


「このゲームには動物さんだけじゃなく、人間も登場するのですね」


「いや、人間なら、それはオーナーのはずじゃが」


 彼の意外な言葉に、私は目を丸くする。


「オーナーですよ!? プレイヤー自身が従業員になることがあるのですか!?」


「ある。自分の農場経営を諦めると、外の農園で従業員として働けるようになっておるのじゃ」


「お食事は? お給料は?」


「不要じゃよ。1PTも要らん。一種の手弁当、ただ働きじゃ」


「なぜですか?」


「このゲームが最初に出来たときは、従業員として働く他のオーナーの食事代を負担したり給料を払ったりしていたのじゃが、大食らいで食事代が膨らんだり、給料を上げろとかのトラブルが起きたので、費用の負担をやめてしまったのじゃ」


「そうなんですか。もし途中で変なオーナーとわかってやめさせたい場合は?」


「リストに『解雇』と登録するのじゃ。すると、二度とこの農場には来られなくなる」


 一種のブラックリストのようだ。そこに載ったオーナーが農園にアクセスできなくなるのだろう。


(さて、どうしよう……)


 アバターで性格を判断するのは難しい。なので、ちょっと質問してみて、答え方で変な人かを判断しよう。もし見破れず、雇った後に変な人だとわかったら解雇すればいい。


 彼女は近づく私をジッと見つめ、本当に雇ってくれるのだろうかと、心配そうな顔をしている。おそらく悪い人ではないと思うけど、いかんせん、アバターが可愛いのでそっちに引きずられて内面が読めない。


「私はメグ美です。あなたのお名前は?」


「エレナです。メグ美さんって、メグ美農園の名前そのままなのですね」


「どうしてここへ? なぜ従業員に応募したのですか?」

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