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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第1章 荒れ地の果てに
32/150

32.半歩でもいいから踏み出す

 翌日の学校では、普段よりも視線を感じることが多かった。友達が授業中に私の方を見て目配せするのはよくあることだが、その視線ではない。


 まず、担任の先生。しきりにチラチラとこちらを見る。まだ何か言い足りないのだろうかと思うと、ちょっと腹が立った。


 何を考えているのか知りたいので、試しに、ちょっと怒っているような顔をしてみせると、動揺している様子が見えた。


 昨日は言い過ぎたので謝る機会を(うかが)っているのかも知れない。


 ただ、教師としての対面もあるだろうから、「昨日はごめんなさい」と謝ることはおそらくないはず。軽く「ちょっと昨日は言い過ぎたところもあるけど」と切り出して、「やはり、あなたは――」と多少はトーンダウンした説教につなげるだろう。


 素直になれない教師が垂れるお説教なんかに貸す耳はない。



 次に、例の三人――(えい)さん、(びー)さん、(しい)さん(いずれも仮名)――の視線だ。


 昨日の放課後を境に、頭の後ろとか背中に視線を感じて振り向くと、よく目が合う。


 いつもなら、私が彼女たちの方を向くと目をそらしたり完全に無視したりするのに、なぜか彼女たちの方から、偶然目が合ったかのように装うほど、こちらを見てくる。


 あちらも何か言いたいのだろう。


(これは話をするチャンスかしら……)


 そこで私は、休み時間に呼吸を整えて拳を握り、決心して彼女たちに声をかけようと近づくと、なぜかスーッとどこかへ行ってしまう。


 これでは、手の打ちようがない。


 ならば、向こうから話しかけてくるのをひたすら待つ。いつでも話しかけていいよ、というオーラというか雰囲気を発散させて。



 なんだか、ここに来て急に変化を感じる。これを雪解けというのかしら? 良い方向に向かうといいけど。一歩でなくても半歩でもいい。1センチだっていい。前進することは何より大切なことなのだから。



   ◆◆◆

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