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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第1章 荒れ地の果てに
28/150

28.最初の収支決算

 そういえば、カボチャは売れたのだろうか。オークさんに聞いてみると、以下の収支状況を教えてくれた。なお、PTはポイントだ。また、種は袋の数だ。


 ――――――――

 <出金>

 カボチャの種 仕入れ数:50、単価: 180PT

 ナスの種   仕入れ数:50、単価: 60PT

 肥料     仕入れ数:20、単価:2,000PT

 食料品セット 仕入れ数:30、単価:4,000PT

 合計:172,000PT


 <入金>

 カボチャ   売却数:250、単価: 250PT

 合計: 62,500PT


 残高:890,500PT

 ――――――――


 食料品セットとは、オークさん、クラウディアさん、カプラさん、コニーリアさんの四人分の食料のこと。一人1日1,000PTなのだそうだ。単価が4,000PTで30個仕入れているということは、四人で30日分の食料という計算。


 100万PTあったはずが、いきなりマイナスだ。でも、考えてみれば、働く人だって食事はする。自給自足をするには、今まで何も植えていないので無理。なお、コーンスープやレモネードは食料品セットを買う前からあったので、どこから出てきたのかとツッコミを入れたくなるが、そこはスルーしておく。


 これでは、どんどん作物を育てて売らないと資金が目減りしていく。なぜなら、食料品セットが毎月固定的に出て行くのだから。


 でも、初心者の私では、何をどうしたらいいのかわからない。ここは、オークさんたちに任せるしかないようだ。


「ねえ。ナスが実をつけるまで待ってみる? あと5時間だけど」


 しゃがんで秋ナスを見ていた私の背中から、コニーリアさんが語りかけた。私は振り返って困った顔を向ける。


「それでは、私が住んでいる現実世界で夜が明けてしまいます。また明日の同じ時間に来ますが、大丈夫ですか?」


「24時間後? それは実が腐るわね。その前に売ってしまうわよ」


「そんなに早く腐るのですか?」


「この世界では、実が生ったらすぐに売らないと腐ってしまうのよ」


 現実世界ではそんなすぐには腐らないと思うけど、このゲームはさっさと売るような設定になっているのだろう。たくさん作りたいときは、小分けに時間差で植えて、次々と出荷する。そういう工夫が必要そうだ。


(どうしよう……)


 悩んでも、今すぐ実を見たければ、時計を進めるしかないのだ。


 でも、今さっき「なるべく現実世界の季節とずれないようにしばらくゲームを進める」って決めたばっかりなのに、もう時計を進めるのはいかがなものかと。でも、ナスがぷっくりと実を付けるところを実際に見てみたいという誘惑も抗しがたい。


(向こうで23時にインして、こっちは14時になるけど、まあ、いいか……)


 私はさらに6時間時計を進めた。9時間ずれていたから、15時間ずれることになる。


 日が少し傾き、明るい紫の花が一瞬にして太くて艶々のナスになった。


「わー! すごい!」


 私はナスを触ってみた。軽くこすると、キュキュッと音がする。指で弾くと、プランプランと揺れる。鼻を近づけると、あのナスの匂いがする。お日様に当たっているので、実はほんのり温かい。まるで体温みたいに。


(そうなんだ! 店頭に並んでいる野菜しか知らないけど、自然の中ではお日様に当たって暖かいんだ!)


 考えてみると当たり前のことだが、そんな些細な発見にも感動する。農場経営では、未知のことがいろいろ発見できてとても楽しい。



 自然の恵み。それは、植物が太陽を一杯浴びて水も吸って精一杯生きた証に残してくれたもの。それをありがたくいただく。


 そんな食べ物をとても粗末には出来ないと、強く実感したのだった。



   ◆◆◆

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