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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第3章 収穫の時
132/150

132.作物の病害

 現実世界で翌日曜日はいろいろ忙しかったので、農園の様子を見に行ったのは17時頃だった。


 ゲームの世界では日が傾いていて、窓から伸びる光が部屋の中央にある椅子やテーブルの上も照らす。


 そんな中、私はいつものようにドアを開けると、作物の葉の色が昨日と違って濃い緑色ではないことに気がついた。黄色が混じり、部分的に枯れているようなのだ。


 私が手を振るとオークさんたちも手を振ってくれるが、心なしか元気がない。


「どうしたのですか?」


 コニーリアさんが肩をすくめて首を左右に振る。


「病気で全滅したの」


「えっ!?」


 近寄って、変色した葉に顔を近づけると、黄色や白の斑点が見える。カビか何かの病気なのだろうか。


「せっかく植えたのに、これじゃ収穫ゼロ。残念よねぇ」


 コニーリアさんはがっくりと肩を落とす。オークさんは、そんな彼女の背中をポンポンと叩いて言った。


「動物と同じく植物も病気になる。年中無病息災とはいかんのじゃ」


 確かにそうだ。


 現実世界でも、病気に限らず、害虫や鳥獣の被害も起こる。そんな自然の脅威の中、必死に世代を残そうと実をつけるのだ。


 これはもちろん、ゲームのイベントだと思う。


 順調に生育してたくさん実をつけて、それを出荷してPTも貯まる。このサイクルに慣れてくると「なんだ、簡単じゃん」となって安易にゲームを進める。順風満帆のさなかに、このイベントが発生して現実を思い知らされる。


 きっと、害虫や鳥獣もそのうち現れるのだろう。イナゴは見たことがないので、不謹慎な言い方だが、逆に見てみたい。


「さーて、一からやり直しね!」


 コニーリアさんは腕まくりをするポーズを取り、ニッと笑った。


 今回、4種類の作物とも全滅するという痛手を被り、費用、特に時間を無駄にした。でも、やり直せばいいや、と簡単に割り切ることが出来た。


 ゲームだからこの程度の心理的ダメージで済んだが、現実世界ではどうだろう。


(私なら、作業に手が付かないほどガッカリしちゃうなぁ……)


 果樹園だって、いろいろ被害があるはず。風が吹いて、せっかくの実が落ちることだってあると思う。


「さあ、やるわよ!」


 コニーリアさんのかけ声で、片付けが始まった。なんだか、このメグ美農園は、オークさんよりもコニーリアさんに仕切られつつあるようだ。

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