130.果樹園構想
私がしばらくここを離れていたときに何をしていたかのかを、オークさんに聞いてみた。
すると、ひたすら栽培と出荷を繰り返したらしい。ここでその詳細を書いていくととんでもない行数を使うので、結論から言うと、残高1,592,500PTが2,964,500PTとほぼ倍増していた。
あとちょっとで、車が買える。でも、越えてすぐに買ったら残りはほぼゼロ。資金がすっからかんでは何も出来なくなる。
「そういえば、オークさん。募集している従業員は来ましたか?」
「まだ来ないのじゃ」
ゲームだから簡単に従業員が増えると思ったけど、そうでもないらしい。
「コテージの裏の土地には、何か植えているのですか?」
「何も植えてはおらん。そのままじゃ」
「あっちに植えるとどうなります?」
「こっちがあまり植えられん。従業員数の関係でそうなるじゃ」
でも、土地は有効に活用したい。何かいい方法はないかと考えると、ふと、アイデアが浮かんだ。
「毎回耕さなくてもいいなら、植えられますか?」
「例えば何かのう?」
「リンゴとかミカンとかブドウとかの木。つまり果樹園。これなら、収穫の度に肥料をやれば、耕さなくてもいいのではないですか?」
「肥料をやるときに掘るがのう」
「まあ、その時はその時で」
「種からというわけにはいかん。苗木を買うことになる。かなり高いがよいかのう?」
「お任せします」
「最低でも実をつけるまでに3年かかるが――」
「さ、3年……」
確かに、桃栗三年柿八年でした。でも、枝もたわわに実る光景を是非見てみたい。私はオークさんに頭を下げて、裏の畑を果樹園にしてもらうようお願いした。
「本当にいいのかのう? 3年も――」
「クイックモードにしますので」
そのモードなら1年がざっくり19時間28分。3年で58時間24分、つまりおよそ2日半だ。今、土曜日の16時に始めたとして、火曜日の午前2時半頃。
「特定の季節にしか実をつけないがよいかのう?」
「はい。今は秋ですから、秋に実をつければいいです」
エレナさんたちが復帰したときには十二分に間に合う。彼女たちが果樹園を見てどんなに喜ぶだろう。
私はその時を待ち遠しく思いながら、収穫の手伝いを始めた。