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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第3章 収穫の時
129/150

129.AIに言い返す

 コニーリアさんが左右に首を傾げる。


「先週から見ないわよ」


 やっぱりそうだ。エレナさんたちは、ずっとログインしていない。


 (えい)さん、(びー)さん、(しい)さんは月曜日から林間学校に行っていて、今入院している。


 このゲームにBOTみたいなアバターがあれば、自分の代理を立てられるかも知れないが、そんなものは今ない。


 よって、(えい)さんたちが退院したタイミングでエレナさんたちがこのゲームに現れたのならば、(えい)さん、(びー)さん、(しい)さんが、エレナさん、テレーザさん、カレンさんに間違いないと断言して良いと思う。


 長いこと『たぶん同一人物』という前提で考えてきたが、ここに来てようやくはっきりさせることが出来るのだ。


「そうですか……」


「もう来なかったりして」


 コニーリアさんが悪い冗談を飛ばす。AIが笑いを誘うために発しているのだろうが、私の今の心理状態では本気にしてしまうから、正直やめて欲しい。


「いいえ、来ます。必ず」


「なんで?」


「なんでって……直感です」


「ふーん。その直感の根拠は?」


「それは……直感は直感です」


「うまいこと逃げたわね」


 コニーリアさんがニヤッと笑う。私も笑い返す。


「あの従業員、知り合い?」


 いきなり核心を突かれてビクッとした。


「なぜそう思います?」


「あら。私の問いに答えないのに、質問するの?」


 なかなか手強いAIだ。


「それは……」


「じゃあ、答えましょうか? なぜって、直感よ」


 だめだ。ずるいAIだ。


 すると、コニーリアさんは『まいった?』という顔をする。降参である。


「直感って言ったけど、ホントはね、オーナーがごまんといるこの世界で、従業員としてここにやってくることを考えたら、知り合いと思うわよ。見ず知らずの農園に誰が足を向ける?」


「それは……一緒に働ければ面白そうかなと」


「なぜそう思う?」


 そう言われても、企業に就職志望するときだって「面白そう」とかいうのが動機かと思う。


「なぜそう思わないのですか?」


 AIを困らせるため、言い返してみた。


「ん?」


 だんだん、『考え中』の時のパターンが読めてきた。この裏側でCPUが大汗をかいて演算や推論をしているのだろう。


「収穫、手伝う?」


 無限ループに陥ってガードでもかかったのか、全く関係ない話を持ち出してきた。このまま語り合うと禅問答になりかねないので、この方がいい。私は「はい」と答えてコニーリアさんに従った。

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