126.お見舞い
翌朝、ネットサーフィン中に寝落ちしていたことに気づく。
寝覚めは良くないし、体のあちこちがどことなく痛いが、とにかく登校する。
教室は欠席者が多数いたが、頼りになるユウとアカネは登校していた。私は彼女たちに、朝からずっと考えていた提案を切り出した。
「週末、お見舞いに行く?」
彼女たちは快諾した。
すると、周りで話を聞いていた友達が私も私もと手を挙げてきた。林間学校に行く前は三人をなるべく避けていた同級生が、である。
やはり、椎さんの歌声が彼女たちを深く感動させたからだろうか。
結局、病室に入れる人数とは思えないほどの団体になったので、お見舞いに行くのは私とユウとアカネとあと二人の合計五人とし、他はお花とかの費用を任意に供出してもらった。任意ではあったが、全員がお金を出してくれた。
その日の夜も、次の日の夜も、ヘッドギアを被るとちょっと頭痛がする。なので、オークさんたちには申し訳ないけど、しばらく農場経営を頑張ってもらうことにした。
土曜日。私を含めた代表の五人が、花束を抱えて救急病院の受付の前に集まった。
まずは担任の先生のところへお見舞いに向かう。
何を言われるかビクビクしながら四人部屋の扉を開けると、普通に喜んでくれて、人が変わったように接してくれた。
同室の患者の目耳を気にしていたのかも知れないが、それは復帰すれば態度でわかるであろう。
次は英さんと美さんと椎さん。たまたま四人部屋で三人分のベッドが空いていて、そこにみんなで担ぎ込まれたとのこと。
手足の打撲がひどく、歩行困難なため入院したらしいが、英さんは「こんな怪我なんかで大げさ。家で寝っ転がってればよかった」とみんなを笑わせる。おっと、他の患者さんがいらっしゃるので、笑いは控えめに。
美さんも椎さんも元気そうだった。笑顔も見せた。ただし、私以外のみんなの目が気になるらしく、緊張の色を隠せなかった。
話し方も、班行動したときよりは、やや他人行儀。それは、仕方ないこと。いきなりみんなに心を開くのは、かなりの勇気が必要だし。
怪我は痛々しかったが、元気そうで、私たち五人は安堵した。