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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第3章 収穫の時
125/150

125.三人が入院した

 元々予定されていた水曜日の休みを自宅療養に使った私は、食欲がなく、ブランチを通り越して朝昼兼用の夕食を軽く頬張った後、事故のことをとっくに報じなくなったテレビの前から立ち去り、ベッドの上に体を投げ出す。


 頭のそばには流線型のヘッドギアが転がっているが、今日はそんな気分ではないから、さらに遠くへと放り投げる。そして、楽しかった思い出に覆い被さる事故現場の映像を脳内から払拭しようと努めた。


 寝付かれない。このままでは徹夜してしまいそうだ。


 しかし、これ以上起きていると、恐怖体験もあったので、神経がボロボロになりそうで怖い。


 私はキッチンまで行って母親にホットミルクを所望したが、出てきたのは沸き立って表面の膜まで揺れる白い液体。加減というものを知らないこの親は、病人をいたわる気持ちなど持ち合わせていないのではないかと疑いたくなる。


(駄目だ……。クラウディアさんのココアがいい)


 そう思ってベッドに戻るや否や、腕を伸ばしてヘッドギアを装着したものの、頭痛に襲われて背筋が寒くなった。


 当たり前だ。頭に怪我をしているのだから。


(まさか……しばらくゲームが出来ない!?)


 オークさん、クラウディアさん、コニーリアさん、カプラさんが、私の元から遠ざかっていく幻想を見る。


 私は固く目を閉じて、とにかく休息しようと必死になった。


 寝ればすぐにでも回復するはずと、根拠に乏しい理由にすがりついた。


 しかし、案の定、その程度では眠れないし、頭がヘッドギアを拒否している。


 なので、気分を変えるため机に向かい、放置していたスマホを手にした。


 大量の似たようなメールをあさっていると、まだ情報が一部錯綜してはいるけれども、最新情報と題するメールの共通点から今の状況がわかってきた。


 うちの学校で入院しているのは、(えい)さん、(びー)さん、(しい)さんと担任の先生の四人。


 なんということだ!


 同情する私の涙は、頬を伝って顎まで流れて机の上に落ちる。


 先生は全治1ヶ月だが、三人はいずれも1週間から10日程度で退院出来るそうだ。その程度で済んだと安心すべきなのだろうが、あまりに痛々しい。


 私は壁に掛かっているカレンダーを見る。


(火曜日に事故に遭ったのだから、来週の水曜日には退院出来るのかしら)


 いろいろ考えていると神経が高ぶって眠れない。


 本も駄目、音楽も駄目、風呂も駄目。


 そこで、「こうなったら徹夜してやる」とネットサーフィンに乗り出した。

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