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メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第3章 収穫の時
124/150

124.病院にて

 救急病院に担ぎ込まれた私は、額の上の方――生え際付近を切って出血したが、医師の問いに「大丈夫」と気丈に答えてしまったため、軽傷者扱いにされ、廊下に出された。


 もう一人の自分が「損した気分」と嘆き、もう一人の自分が「重傷者優先」と美徳の模範を示そうとする。


 軽い打撲程度でもショックで動けない生徒から軽傷者までが廊下に溢れ、彼女らの間で誇張と想像で尾ひれが付いているかもしれない様々な情報が飛び交い、私を混乱させ(いら)()たせる。


 複数の証言――というよりかは見てもいないで語る憶測っぽいが――どうも我がリムジンバスの運転手が居眠り運転をしていて、前方で急停車したトラックに速度を落とさず突っ込んだらしい、というのが大方の見解だった。


 ほぼ全員が車中で寝ていたはずなのになぜわかるのか大いに疑問で、そういうありがちな交通事故に原因を求めようとする心理がよくわかる。


 最初、一時的に思い出せなかった記憶喪失みたいな症状があったが、事故のショックが収まってだいぶ治ったように思えてきた。


 医者は記憶喪失という言葉を避けたが、それは正しかったようだ。頭の中で記憶が溢れてきて混沌としているが、地震の後片付けみたいに整理をすればなんとかなるだろう。


 それよりも、衝突した場所に近い座席にいた(えい)さん、(びー)さん、(しい)さんがどうなったかが気が気でない。廊下に姿が見えないので、多分まだ治療中だ。


 その後、駆けつけた母親に引き取られた私はタクシーに押し込められ、心残りのまま病院を後にした。

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