表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メグ美農園の収穫祭へようこそ(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
第3章 収穫の時
114/150

114.みんなで星空を眺める

 地方(ローカル)ルールのない単純なゲームほど、不思議と場が盛り上がる。ルールの違いがあると、自分だけ不利な気分になって遺恨が残るからだろうか。


 時が経つのも忘れ、無邪気に遊んでいると、廊下の割と近くの所から「消灯時間が過ぎている! 早く寝なさい!」と甲高い声が聞こえてきた。


「ニューライスの襲来確認! 撤収!」


 (えい)さんから警報が発令され、みんなはそれぞれ自分のベッドに戻って布団を頭から被り、私は散らかったカードをそのままにドアのそばのスイッチを押して消灯し、ベッドに戻るや否やカードとともに布団を被った。


 すると、タッチの差でドアが開き、「寝ているの?」と担任の先生が問いかけたので、思わず吹き出しそうになった。こういう問いかけをする先生は意外に多いが、その誘導尋問に「はい」と答える生徒なんかいるはずがない。


 もちろん、寝ていない。いや、眠れるはずはない。だって、楽しいから。



 その後、みんなも寝静まったと思われる頃、私は布団から抜け出して、音を立てないように窓辺に立って夜空を見た。


 ホテルの周囲に防犯のために明かりが付いているので、あの農場ゲームで見るよりは星が少ないが、それでも都会よりは断然多い。明かりで見えない星を、ゲームで見る夜空の光景から補完していると、両隣に人の気配を感じたのでちょっと驚いた。


 なんと、三人とも窓辺にやってきたのだ。窓ガラスに顔がくっつくほど近づいて、無言で星空を眺めている。私は、誰に問いかけるわけでもなく、独り言のようにつぶやく。


「周りの明かりがなかったら、プラネタリウムみたいに見えるのかしら」


 すると、(えい)さんが「かもね。でも、そこに行かなくてもV()R()()()()で体験できるから」と答えた。


 私は、「V()R()()()()」の単語に息が止まった。


 今度は(しい)さんが「そう。最近のV()R()()()()ってグラフィックが凄くて、五感にも訴えるし、バーチャルを通り越してリアルに迫っている」と言葉を継いだ。


 さらに(びー)さんが「いってみると、えがきたくなるくらい、きれいで、どきどきする」と言う。


(そのV()R()()()()って何、って聞いてみようかしら?)


 しかし、急に聞くのが怖くなって口をつぐんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ