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第三話


それからまた10年。

自分の命より大切で、心の底から愛している。お腹を痛めて産んだ子供達なのだが、見事に神様一族の血が勝ってしまい。

成長する事にニョキニョキと、今では190cm台(神様一族のなかでは小柄だが)にまで成長してしまい。


顔立ちだけは夫に似て、皆愛らしい顔立ちでは有るものの。癒しのちまっこパワーが足りないと

長女様は一族の者達には内緒で、毎回持ちきれないほどの沢山のお土産を持ち。夫の実家がある朝倉村へと頻繁に里帰りしては、朝倉村のちまっ子の村人達に癒されていた。



◇◇◇◇◇



しかし、そんなある日。長女様家族が住む館へと、難しい顔をした父親の神様と母親の女神様、母親の女神様の叔父にあたる叔父の神様夫婦が訪ねて来る。


またもや何事かと思いながらも、そんな4人を客室へと案内する。

しかし客室に案内したものの4人は難しい顔をしたまま、なかなか話を切り出さず。

何度目かのタメ息を飲み込んだ長女様は、父親の神様に何かあったのかと問い質す。


すると父親の神様の妹の女神様の娘になる。新米女神様が母親から管理を(まか)され。

1人管理している世界で、パワーバランスを安定させる事にも慣れ。パワーバランスも安定しているので、少しだけならと思い席を離れている間に、空回りで有名な神様・サナハが、世界をいつもの空回りパワーを大いに発揮(はっき)しまくり。

善意の気持ちで、もっと良くなるようにいじくり回してしまい。


その結果、予定には無かった大きな戦争が起こってしまったらしく。そのせいで管理している世界のパワーバランスが崩れ。

母親にも報告して、何とか力を貸してもらい。

必死に浄化(じょうか)や世界のパワーバランスを整えようと頑張ってはいるが、邪気や呪いが奥深く。

自分達、神への祈りが減ってしまったあの世界への干渉(かんしょう)も、なかなか難しくなってしまい。

自分と母親の女神様の力を持ってしても、全てを浄化するのは不可能に近く。

このままでは世界が崩壊(ほうかい)してしまうと、かなり衰弱した状態で相談があったらしい。



と、そんな父親の神様の話を聞き。

父親の神様が難しい顔をしていた理由も解ったし。なぜ母親の女神様も難しい顔をして、仕事熱心の叔父神様夫婦がこの場に居るのかと理解した長女の女神様であった。



実は空回りで有名な神様・サナハは、今目の前に居る温厚で、他の神様や女神様達から評判高い。仕事熱心な神様夫婦の間にやっと誕生した子供になり。

その為、少し甘めであったが仕事熱心な両親を誇りに思い。正義感が強く、素直ないい子に育ったのだが

……………いくぶんこう思たら一直線で、少々回りが見えなくなるたちで、ちょいちょい空回りをしては、大事(おおごと)な事件を起こす事で有名で

悪気が無いぶん憎めず。最後には、被害を受けた者や周りの者も許してしまう、そんな神様なのだ。

(ちなみに只今サナハは、また下手に手を出したら被害が拡大するとして、自主的に自宅の邸で反省中になる。)



で、話を戻すと。長女様が聞いた限り。1つだけその世界が崩壊せず。上手にパワーバランスを戻す方法を長女様と父親の神様は解っていて、しかしお互いその事をなかなか切り出せないでいた。



するとその時、客室の扉が突然開き。

長女様の愛する夫と、たまたま療養のため館に来ていた。夫の年の離れた18歳になったばかりの末っ子の弟のちまっ子2人が並んで立っていて


「ぼ、僕が、僕がその世界に移住して、その世界のパワーバランスを整えるお手伝いをするよ。

朝倉一族の人は、異世界限定で異世界の人達を助ける不思議なパワーを出せるんでしょう?昔、村にやって来たお爺さんが村長に教えてくれたんだ。

だからいつの日か、僕達に力を借りる日が来るかもしれないから、いつでも村を離れ。1人で生きていけるように心構えや様座な知識を持ってなさいって、村長が村の人達に村の掟として伝えてたんだ。

それにね。ここに連れてきてもらえなかったら、僕は一生歩く事も出来なかっただろうし。

良くしてくれたお兄ちゃん家族や、その周りの人達に………僕、なんの力も無いけど、少しで役に立てるなら恩返しがしたいんだ。」


話し出したのであった。そして、その隣で弟を支えながら話を聞いていた長女の女神様の夫も、弟の考えを尊重するように静かに頷いて。


実は夫の末の弟に当たる、この少年、とても酷い交通事故に遭い。再起不能一歩手前まで大怪我をおってしまい。

寝たきりになる所を長女の女神様が、自身の館へと連れて来て、女神様の力を使い。今は歩けるまでに回復していたのだ。

だから尚更、自分を助けてくれた長女の女神様や、その両親、親族に当たる人達を助けたい一心で、弟君は名乗りでいて


そんな弟君(ちまっ子)の話を聞いた。客室居た神様一族や弟君(ちまっ子)の歩行のリハビリを見守っていた長女様の子供達、遊びに来ていた親戚の神様一族の子供達は、ダム崩壊のごとく涙を流し。

こんな小さいちまっ子が、自分達の為に見た事もない、怖くて不安で仕方がないだろう異世界へと、たった1人で行くと言ってくれ。更には恩返しがしたいだなんて………なんて健気で可愛らしだろうと神様一族の涙は止まらず。


本当はパワーバランスが崩れいるような、そんな危険な世界など行かせたくないのだが、…………けれど、それしかパワーバランスの崩れた世界の崩壊を回避するすべはなく。

だけど、だけど、だけど、と………………長女の女神様が自問自答している間に、長女の女神様の子供達が何度一生懸命説得しても弟君の意思は固く、変わらず。


そして本人が今すぐに両親に異世界に移住する事を説明する為に村に帰りたい言い始めた為。

屋敷に居た神様一族も弟君と一緒に、今だ止まらぬ涙のまま、離れたくないと朝倉村へと移動する。


すると、さっきまでのシリアスムードは一変。

初めて朝倉村にやって来た神様一族は、ちまっ子村人達の余りの可愛さに意識が飛びそうになった者

立ち尽くしたまま、瞬き1つせずにちまっ子村人をガン見する者

ある者は、そのあまりの可愛らしさに我慢できず。村には来てない家族の者へと電話して、抑えきらないちまっ子愛を話だしたり。

ちゃっかり村人に話し掛け、お友達になったりする者等々、様々で。


そして、そのちまっ子愛溢れる電話を受けた者から話が一族全体に伝わり。長女の女神様の兄妹、その家族達が大勢朝倉村へと押し掛けて来るまで、そう時間はかからなかった。



◇◇◇◇◇



一方、村の集会場には村長や本家の大巫女、重役の者達、夫の実家の家族達等が集まり。父親の神様や母親の女神様等と話し合いの場が持たれていた。


そんな席で、長女の女神様の別の不安が膨れ上がっていた。

やはり話が進むうちに、この子(弟君)の意思は固く。異世界に行く事は変わらない事が解り。

更には話し合いの場にいる朝倉一族の者達も皆、弟君の考えを褒め称え。神様の力になれるなんて、素晴らしい事だと喜んでいるぐらいなのだから。


だから私も、この子が私達に返しきれないほどの恩を返すと言うのであれば。私もまた、この子への返しきれない恩を返そうと心に誓い。我が一族のありったけのチートを授けるとして、アレもコレも考えていると、何やら善からぬ事も考え初めてしまい。


この子が異世界に行くことで朝倉一族独自の不思議ノ~ホホン(のほほん)パワーが、他の神達にも知れてしまう可能性が多々有り。

それを知った他の神達が、我が一族が知らぬ間に、朝倉一族の者を勝手に異世界へと連れて行き。

その上、何のチートも授けぬままに連れて行かれでもしたら………………この小さく、心根優しいちまっ子達の朝倉一族の者が、どんな目に遭うか解らず。

そんな恐ろしい事が、この先絶対無いとは確信出来ず。あまりの恐ろしさに長女の女神様は頭を振り。


いつしか頭の中の思考が暴走し始め。

よ~し!ならばこの際、朝倉一族全てに異世界限定のどんな危険からもとうざけるチートを授けまくろうじゃないかと考え。


その為には、自身の兄妹達をこの村に呼ばなくてはと考え。兄妹全員を、どうやって村へと呼び寄せようかと長女の女神様が頭を悩ませている頃。


実は壁を一枚挟んだ向こう側で もう既に兄妹達を含めた一族の者達が朝倉村へと大集合していて。更にどんちゃん騒ぎまで発展していて……………。

そんな事を集会場の者達は、まだ知らないのままで、話し合いは続いていたのであった。



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