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開拓団Ⅱ

「ずいぶんと遅いお帰りだ。探し物は見つかったかね」


 扉の鍵を開けレグス達を向かい入れたのは、老いから出来た皺が目立つ顔の持ち主シドだった。

 彼の茶色い瞳は純潔の青目人ではない証。

 ベルフェン王国は他のミドルフリアの国々同様に国民の大多数が青目人である。にも関わらず、レグス達が顔を見てきたこの開拓団の人間の内、純潔の青目人はガドーという男だけ。

 ローガ開拓団の特殊な事情はこうした構成員の人種という点からも窺えるものがあった。


「ああ、それなりには」

「そうか。……今ちょうど皆が集まっている。君にあらためてこの開拓団に所属する面々を紹介しよう。荷物を置いたら奥の部屋に来てくれ」


 シドの指示に従いレグス達が移動すると、そこには何人かの男女が集まっていた。

 昼頃に会った人間を別にして新顔が四人。男が三、女が一。最初に目を引いたのはそのうちの二人の男女であった。

 くすんだ灰色の瞳と明るさの増した髪、加えて年頃や顔立ちまでがグラス達に似ている。灰瞳の四人が何らかの血族である事は間違いないだろう。


 場に人が揃うなり、まず年長者のシドがその口を開いた。


「ここにいるのが現状のローガ開拓団の面子という事になる。と言いたいとこだが、実は何名かは王都の方に滞在している。事情あってのことだが、彼らについては『壁』で合流することになるとだけ伝えておこう」


 事情とはロブエル・ローガが今だ王都で囚われの身である事に違いなかった。ロブエルは罪人として事実上の追放処分を待つ身であり、逃亡を防ぐ為に壁に送られるまで自由には動けなかったのだ。


 それぐらいの情報はレグス達も事前に掴んでいる。

 もともと開拓団が出るという情報も彼が所属するギルド『アウロボロス』を通して得た物。ベルフェンの大臣まで務めた男が政争に破れ、新王の興も兼ねた思い付きで、吊るし首ではなく灰色の地へ送られるのだという事まで蛇の組織は知っていた。


 ただグラスを含めた灰瞳の四人については何の情報も聞かされていない。

 情報を出した人間が知らなかったのか、あるいは意図的に伏せたのか。今となっては探りようもない。


「それではまず軽く自己紹介でもしてもらおうか」

「ゲッカだ。剣の腕を見込まれて参加する事になった。よろしく頼む」


 シドに促がされレグスが簡素な挨拶を済ませると、ガドーがおおげさに反応してみせた。


「おいおい、それだけかよ。もっと他にもあんだろ。酒とか女の好みだとかさぁ。長い付き合いになるんだ、それだけじゃあ話題に困るぜ」

「別にお前たちと馴れ合うつもりはない。私は私の仕事をこなすだけの事だ」

「かぁ冷たいねぇ。どうして強えぇ奴ってのはこうもいけ好かない野郎が多いのかね」


 嘆く男にグラスがクスクスと笑いながら問う。


「それって僕も入ってるのかな?」

「いえいえ!! ボス達は違いますよ!! いやあシドさんも含めてこんな俺によくしてくれてますからね、いやほんと」


 己を卑下するようなガドーの言い回しからは明確な力関係が見えた。

 そのやり取りに苛立った様子で昼間の女が口を開く。


「貴方の事はどうでもいいのよ。それより、さっさと済ませてくれないかしら」


 彼女の棘のある言葉にガドーが詫びると手番はファバへと移った。

 一同の視線が集まる中で少年はぎこちなく挨拶する。


「あ、ああ。ええと、トウマだ。まぁゲッカの付き添いというかいろいろ雑用など手伝ってる。……そんなとこだ、よろしく」


 周囲の反応は薄い。ファバの顔の事もあまり気にかけない様子である。

 そんな中、例の女が問いかける。


「どう? ミルカ」

「あ……、うん……」


 何を尋ねているのか判断しかねる唐突な質問のはずだが、ミルカと呼ばれた女にはわかっているらしい。

 オドオドとした口調ながら彼女は告げる。


「えと、音だけじゃ自信ないけど……、たぶん男の子の方は嘘ついてると、……思う。揺れがひどいから……」


 ミルカはこの場で出会ったばかりの少年が嘘をついているのだと即座に見破った。

 それが魔術の類いだとレグスには思えない、術の発動の際に感じられるような魔力の動きがなかったからだ。

 ならばこれも灰の瞳を持つ者達の能力だというのか。しかしグラス達の時のような奇妙な不快さは感じられなかった。


「そう。なら、まさかそっちのお子様の方だけ嘘つきって事もないでしょう。当然貴方も嘘をついている、そうでしょゲッカ?」


 女の瞳は灰色のまま変化はしない。しかし紫の瞳に変貌せずとも彼女からは独特な圧力が感じられた。

 万が一の事態に備えてレグスはより警戒を強くする。


「いったいこれは何の真似だ。話は既に付いているものだと思っていたが」

「そうね。だけどそれは貴方達が大嘘つきじゃなければの話よ。ここに来てそこの坊やが話したのは一言二言の簡単なもの。それすらも嘘だってこの子は言っているの」


 女の言うこの子とはミルカの事である。


「言いがかりだな」

「いいえ、言いがかりなどではないわ。この子の嘘を見破る力は本物よ。私達はそれを疑う事などしない」

「嘘を見破る能力か……。そこのグラスという男は剣の振りを見ずにその技量をはかると言う、お前達はいったい何者だ」

「話をそらさないでもらえるかしら。私達についてはどうでもいいのよ嘘つきさん。どうして嘘をついたの? 何を隠しているの?」


 この状況でシラを切り通し続けるのは不可能に近い。

 ミルカの嘘を見抜くという能力が本物であるならば、不用意な言葉は命取りにすらなりかねない。


 レグスは言葉を慎重に選ぶ。


「信頼のおけぬ相手に偽名を名乗る、……魔術師に自身の本当の名を知られる意味をまさか理解出来ないはずもあるまい」

「グラスが自分より上と認めるほどの者が、名前を知られたぐらいでどうだと言うの? 名は万能の鍵にはならないわ」

「未熟な子供の場合はそうではないだろう」

「では嘘をついたのはその坊やだけで、あなたは違うと? 馬鹿馬鹿しい」

「その言葉そのままお前達に返そう。お前達の馬鹿馬鹿しい試験のせいで、ここはずいぶんと人手不足のようだな。王都にいるという者を加えるにしてもわずかこれだけの人数しかこの場にはいない。どうやってグレイランドの地を生き抜くつもりだ」

「シドの言葉はそっくり信じちゃうわけ。わざわざ偽名を名乗るような人間にしては浅はかな判断ね」

「彼の言葉だけで判断しているわけではない」

「ではどうして?」

「お前達の恐れが見えるからだ」

「恐れ? 意味がわからないわ。私達がいったい何を恐れると言うの」

「それはこちらの問いだ。お前達はいったい何をそんなに恐れている」


 女とレグスの険悪な会話。これ以上事態が悪くなれば血を見る事にもなりかねない。

 そうならないうちにと一人が間に入る。


「待った!! 待った!!」


 その男は青い目をしていた。だが平均的な青目人に比べて肌が少々焼けているようで髪色も黒に近い。

 これらの特徴からレグスが最初に思いつくのはユロア大連邦に属する一国『デリシャ共和国』の人間。

 実際その推測は当たっていた。


「ロブエルの旦那の状況が状況だ。あんた達が警戒するのは当然の事。だけど東黄人の彼が言う事にも道理がある。ハッキリ言って異常だぜ、この人数の少なさ。ベルティーナ、あんたのふるいがけが厳しすぎる」


 その指摘にもべルティーナと呼ばれた女は態度を変えなかった。


「無闇に人を増やしたところで灰の地の魔物の餌を増やすようなもの、雑魚を何人連れようと足手まといになるだけよ」

「だったら彼はグラスが認めるほどの実力者だろ。偽名だなんだつまらない理由ではじくなんて馬鹿げてるぜ」

「得体の知れない半端な実力者とやらの方が厄介なものでなくて?」


 その頑なな態度にたまらず批難の声が飛ぶ。

 その声の主も見た目からしてどうやらデリシャ人の男らしかった。


「馬鹿げてる」

「なんですって」

「馬鹿げてるって言ったんだ」

「ずいぶんな言いようね、ディオンのおまけで雇われたにすぎない貴方が」


 ディオンは最初にレグスとベルティーナのやり取りに割り込んだ方のデリシャ人の事だろう。この男の方は彼のおまけで雇われたにすぎないらしいが、態度は堂々としたものだった。


「俺やディオンだけじゃない。ガドーやシドだって内心あんたにはうんざりしてるんだ」


 彼は口調を強めて断言する。


「ハッキリ言ってやるよ。かつてはロブエル・ローガを殺したいほど恨んでる奴はごまんといただろうさ。だけどな奴は今じゃただの落ちぶれた罪人。誰もがこう思ってる、自分達が手を下すまでもなく灰の地で惨めにくたばるってな!!」


 主をコケにする言葉をベルティーナは看過しない。

 くすんだ灰の瞳が一瞬にして紫の色に変わり、隠しようもない殺気が場にあふれた。


 その瞬間、ディオンが真っ先に動いて男を殴り飛ばす。


「馬鹿野郎!! 取り消せ、ツァニス!! 取り消して詫び入れるんだ!!」


 そうする事でディオンはツァニスを助けようとしていた。

 しかしそれだけで許してやるほどべルティーナは甘くない。


「ディオン、いくら貴方の恋人でもロブエル様に対するあの侮辱、許すわけにはいかないわ」


 彼女の言葉にファバは自分の耳を疑った。

 ツァニスは確かに美形ではあり、顔だけ見れば女に見えなくもない。だが体格も声の高さも男のそれである。ディオンの方もどう見ようが間違いようのない男そのもの。


「ベルティーナ、あんたの怒りはもっともだ。ツァニスの言葉、雇われの俺達が口にしていいような台詞じゃあねぇ。だが、どうかこの通りだ!! 勘弁してやってくれ!!」


 ツァニスの頭を無理矢理押さえつけると同時に自身も頭を下げるディオン。

 それを見たシドがベルティーナに言う。


「もうよせベルティーナ」

「あら、いつから躾のなってない犬の味方をするようになったのかしらシド」

「どちらの味方をするつもりもない。ただ、こんな事でお前が手を汚すなどロブエル様が望むまい」

「では貴方がケジメをつけさせればよろしいのではなくて?」

「何らかの処分は必要だろう。だが命を取るほどの事ではない」

「大恩ある主に対する侮辱の言葉を聞いて、出てくる言葉がそれ? 呆れたわシド。貴方もあいつらと同じ恩知らずって事かしら」


 政争に破れ罪人に身を落としたロブエルを大勢の人間があっと言う間に見放した。

 それまで媚びへつらい、なんとか恩恵に与ろうと近寄ってきていた者達が受けた恩も忘れて見捨てたのだ。

 そんな者達をベルティーナは決して許してはいない。


「言葉が過ぎるぞ。シド・オルブのロブエル様に対する忠心、一度足りとて揺らぐ事はありはせん。だが、ツァニスを害せばディオンとて黙ってはいまい。何より人手が不足気味なのは事実だ。グレイランドの地において主の身の安全を確保する為にも、内で争ってる場合ではない」

「だからって名を偽るような者達すらも信用しろって言うの?」

「彼らの全てを信用する必要はない。だがお前には敵を見分けるだけの力がある。そうであろう?」


 敵を見分ける力。具体的にそれが何であるかレグス達にはわからない。

 されどグラスやミルカかが特殊な力を持っているように、ベルティーナが何らかの力を持っていても不思議な事ではないだろう。


「しっぽをだしてから気付いても手遅れだって可能性もあるわ」

「ではこうしよう。ミルカにこの者達を『見て』もらう。質問は簡潔に一つ、ロブエル様に対する害意があるか。この問いに答えられたのなら彼らが何を隠していようと、お前とて問題はあるまい」

「はぁ、……いいわ」


 溜め息を一つ吐いた後、ベルティーナはその提案を受け入れた。


「でも、肝心の彼らが受けてくれるかしら」


 ミルカの嘘を見破る力は霊力を使う。

 魔力と霊力は厳密には違えど、ある程度近しい性質を持った力ではある。

 魔術師の術に自ら好んでかかりたがる者はいない。

 ミルカの嘘を見破る力だと偽り、悪意ある術にかけられる可能性は否定出来ないのだ。


 当然、レグスとて警戒する。

 ミルカの試しを受けるにあたっては彼の方からもいくつか条件が出された。

 質問する言葉はあらかじめに決め一字たりとて変えぬ事。

 先に試しを受けるのはトウマ、つまりはファバである事。

 試しを受ける間、剣をミルカの首筋につけて構わぬ事。


 レグスは言う、異常を感じれば首をためらいなく斬ると。


 その要求にベルティーナは強く反発したが、結局シドとミルカ自身がそれを受け入れた。

 そうしてすぐにファバに対する試しが行われる。


「……大丈夫、すぐ終るから」


 緊張する少年に静かに語りかけるミルカ。

 彼女の瞳がくすんだ灰色から紫に変貌すると、ファバは奇妙な感覚に襲われた。

 まるで全身に視線が突き刺さるかのような感覚。それは奇妙ではあるが不快ではなかった。


「ロブエル・ローガを害しようという意志が貴方にはありますか?」

「ない」


 紫の瞳に見つめられながらファバは力強く即答する。それを受けてミルカの瞳はくすんだ灰色へと戻った。

 同時に少年が感じていた視線のようなものも消える。彼女は少しだけ笑顔になると、ベルティーナの方を見て言った。


「嘘はついていない」


 見守っていた者達の中で、ガドーやディオンなどはあからさまに安堵した表情を見せるが、レグスはというとすぐにファバの正気を確かめる作業を行っていた。

 少年の瞳に陰りはないか、いくつかの質問と共に妙な術をかけられていないか確認する。

 そして異常がない事を確認し終えると、次は彼自身がミルカの試しを受ける番となった。


 レグスが悪意ある術に落ちるような事になればファバではどうにもならない。精霊のセセリナが指輪に隠れているといっても、ボウル村でかなりの霊力を消費してしまった今の彼女の力がこの場でどの程度通用するかは未知数で安心出来ない。

 シド達としてもレグスが妙な気を起こせばミルカの身が危なくなる。

 試しを見守る周囲の緊張感は少年の時よりも高まっていた。


「では、いきます……」

「ああ」


 ミルカの瞳の色が再び変わり、レグスもファバと同じように全身に視線を浴びるような妙な感覚に襲われた。

 だがこれも奇妙ではあるが不快さはなかった。悪しき術独特の禍々しさなど全く感じられなかったのである。


 それでもレグスは油断しない。相手の首筋につけた剣をいつでも動かせるようにしていた。


「ロブエル・ローガを害しようという意志が貴方にはありますか?」


 ファバの時と同じ言葉で問うミルカ。


「そんなものありはしない」


 レグスの答えに、彼女は瞳の色を戻し息をついた。


「問題ありません」


 そのミルカの言葉にガドーが反応する。


「おお、決まりだな。嬢さん、この男は絶対使えますって!! まじで半端ねぇ使い手でしたから」

「わかったわ、好きになさい」


 ベルティーナもこうなっては強く反対する事は出来なかった。

 それでもこの結果を心から歓迎しているわけではない。


「けどガドー、この男が問題を起こしたら貴方もただじゃ済まないわよ」

「ええ、そんな……」

「当然じゃない。貴方が連れてきたんだから」

「そ、それはたまたま俺が今日当番だっただけで……」


 うろたえる男にレグスは内心同情していた。

 確かに彼にはロブエル・ローガに対する敵意など存在しない。

 だが、根本的にこの開拓団に貢献しようという気もさらさらなかったのだ。


 所詮は壁を越える為に得た仮宿。レグス達が勝手にこの開拓団から去った後ガドーはどのような目にあうのだろうか。

 それは考えるだけ無駄な事でもあった。



 正式にローガ開拓団への参加を認められたレグス達は、シド達から彼ら自身について、その名やこの開拓団での現在の役割、それぞれの関係など、簡単な説明をあらためて受けた。

 それが済んだ後、ガドーがレグスらを少し遅い夕食に誘う。酒場で彼らの歓迎会を兼ねようと言うのだ。

 ただシドや例の四人は参加しないらしく、ガドーとディオン、ツァニスの三人だけが来るようであった。

 その集まりならそう警戒する事もないだろう。むしろ有用な情報も聞き出せる機会かもしれない。

 レグスは素直に誘いに乗り、ファバを連れてデモッサンの酒場へと移動した。


 昼間とは違い店内には大勢の客がいた。誰もが酒を片手に食い、歌い、笑い、煙草を吹かす者や賭け事に興じる者達の姿も見える。客層はお世辞にも良いとは言えないが雰囲気は決して悪くない。

 大変に賑わう客達を尻目に、空いた席へとレグス達は腰を下ろした。


「よおし、新しい兄弟に乾杯だ!!」


 自分達の席に酒が運ばれてくるなり、ハゲ頭の青目人が大声で言った。


「兄弟になった覚えはないが」


 レグスの冷めた返答にガドーは言う。


「おいおい、グレイランドじゃ生きるも死ぬも一緒の身だ。家族みてぇなもんだろ」

「お前が勝手にそう思う分にはいいがな。私はお前と運命を共にする気はない」


 ハッキリと物を言う男にディオンが苦笑いする。


「おいおいゲッカ。いくら何でもそんな言い方はないだろうよ。せっかくあんたの歓迎会兼ねてんだ。酒がまずくなるような台詞はなしだぜ」

「おう、ディオン。いい事言うじゃねぇか!!」


 二人にそう言われても、レグスとしては彼らと親しくなりたいわけではない。むしろそういった関係になるのはいざ壁越えを果たし、灰色の地で彼らを捨て別れようという時に、無駄な心理的負担となりかねない。


「ガドー、私には私なりの人付き合いの仕方というものがある。一緒に酒を飲む程度なら問題ないが、よくも知らぬ男に、まるで家族のように振舞われるのは不愉快だ」

「つまらねぇ野郎だぜ。なぁ、ディオンよ」


 ガドーに対してディオンは肩を竦める仕草で返す。


「そんな事よりも、お前達に聞きたい事がある。あの四人の事についてだ」


 レグスがそう切り出すと、ガドーはあからさまに警戒心を高めた。


「悪いが、ボス達について喋れる事なんて一つもないぜ」

「兄弟にもか?」


 含みを持たせた笑みを浮かべるレグスに、ガドーは呆れたような口調となりながら言った。


「てめぇ、都合いい事を言いやがって。それがお前なりの人付き合いの仕方ってわけか」

「そんなところだ」

「……ったくよう、特別酒の席で酔って出た言葉だ、俺は明日には忘れてるぜ」

「ああ」

「何が聞きたい。先に言っとくがたいした事は俺達も知らねぇぞ」


 ロブエルのもとで働くようになってからガドーは約四年、ディオンとツァニスは一年ほどしか経っていないという。

 レグスが接触した人物で、グラス達について深い部分まで知っているのは本人達を除けば、恐らくシドという男のみ。だが、口の固そうな老兵からそういった情報を得るのは困難な事だろう。


「あの四人、ロブエル・ローガに対してずいぶんと温度差があるように感じたが、ロブエルとはどういった関係にある?」


 ツァニスの暴言に殺意を剥き出しに激高してみせたベルティーナ。

 静かで落ち着いてはいるが悲しそうな表情だったミルカ。

 呆れたような表情をしていたグラス。

 そして最後の男、自己紹介の場でギルと名乗った男は、全く興味を抱いていない様子だった。


 容姿は似れど、態度は大きく異なった四人。その差はどこから生まれてきたものなのか。


「ロブエルの旦那にとってあの人らは自分の子供みたいなもんさ」

「子供?」

「ああ、四人とも赤ん坊の頃旦那に拾われて育てられたのさ。最初は皆、トーリの爺さんに魔術を教わっていたそうだ」

「トーリ?」

「まだ爺さんの事は聞いてなかったっけか。昔からローガ家に仕えてる魔術師で、旦那が子供の時分から面倒を見てきた人だ。旦那は仕事熱心な人じゃないから、実務の事に関しちゃシドさんと一緒にトーリの爺さんが取り仕切ってたよ。魔術の腕に関しても相当なものらしい。今は王都の方で旦那の様子を見てる。爺さんとは壁で合流する事になるだろうな」

「その魔術師トーリがあの奇妙な能力も授けたのか?」

「あれは……」


 そこでガドーの言葉が少し止まるが、何やら諦めるように溜め息をついた後、続けた。


「詳しくは知らんが、教えられてどうのってものではないらしい。生まれた時からすぐってわけでもないようだが、ガキの頃にはもうあんな感じの不思議な力は持ってたみたいだな」

「他の三人と違ってグラスは魔術のみならず剣を使うようだな」

「グラスの坊ちゃんは魔術より剣の方に興味を持ったらしく、途中からシドさんが教えるようになったらしい。まぁグラスの坊ちゃんにとってシドさんは剣のお師匠様って事になるな」

「ベルティーナやミルカはロブエルを慕っているように見えたが、男二人の方はえらく冷めていたな」

「グラス坊ちゃんは昔から誰に対してもあんな感じさ。けどギルの坊ちゃんの方は……あまり旦那とは上手くいってないみたいだな。俺達の事も好くは思っていないようだしな」

「四年も前からか」

「俺が雇われだした頃にはもうあんな感じだったな」

「そんな男が何故わざわざ今回の壁越えまで付いて来る。もう魔術師として独り立ち出来るだけの力はあるだろう」

「そりゃ、仲が悪いたって育ての親だぜ。見捨てるわけにもいかんだろう……って言いたいところだが……」

「なんだ」

「ぶっちゃけ他の三人が行くからだろうな」

「兄弟愛か」

「そんなところだ。ギルの坊ちゃんが心許してるのはあの三人だけだろう。シドさんやトーリの爺さんとも仲が良いようには見えなかった」

「兄弟間の仲自体はどうなんだ」

「ああ……、まっギルの坊ちゃんの旦那に対する態度はちょっとな。特にベルティーナ嬢さんは良い顔しないぜ。近頃の旦那の境遇もあってか、よく言い争いになってるよ。どうやらギルの坊ちゃん、旦那見捨てて……って、喋りすぎだな俺」

「見捨てて、どうしたんだ?」

「そこまで言っちまえば、もう同じようなもんか……。つまりだな。旦那があんな事になって仕えてた人間もほとんど逃げるように辞めていっちまってな。ギルの坊ちゃんもそれに加わって、旦那と決別しようとしてたのよ」

「それは興味深い話だ」

「けど、さっきも言ったけど他の兄弟は残る気だったからな。まぁ、ただ残るだけならギルの坊ちゃんもそのままサイナラしてたんだろうが、グレイランドに行くとなると、さすがに心配だったらしく、説得しようとしたみたいなんだよ。もう旦那なんかお前達も見捨てちまえってな」

「ベルティーナはさぞ怒った事だろう」

「そりゃあもう大変よ。二度と顔を見せるなや、果ては消し炭にしてやるだ。騒ぎに駆けつけたシドさん達が必死になって止めてどうにかなったけど、もうあれから二人の仲は最悪の状態だな。というより、ベルティーナ嬢さんが一方的に嫌ってる感じだ」

「何故、ギルだけがそこまで他とロブエルに対する態度が異なる。単純な性格の差とも思えんが」

「まぁ、いろいろあるのさ……」


 それ以上は追求するなと男の目が言う。


「……さて、次はこっちの質問に答えてもらう番だぜ」


 グラス達について喋りすぎたのを後悔しているのだろう、ガドーは少々強引に話題を変えようとする。


「そうだなぁ。ずいぶんと腕が立つがどこで剣を習った。その歳で我流を極めたってわけじゃないだろ」

「もとは故郷の村に来た流れ者に教わったものだ。旅にでるようになってからは自分なりにそれを磨いていった」

「あんたに剣を教えた男ねぇ。どんな男か興味がわくぜ」

「私も彼については詳しくは知らない。あまり自分の事を話したがる男ではなかった」

「まるで誰かさんみたいだな」

「……ああ、だから気が合ったのかもしれない。言葉より剣を交え、日々を過ごしていた」


 それらしい事を並べるレグスであるが、実は全て嘘である。彼に剣を教えた無口な流れ者の男など、この世のどこにも存在しない。


「言葉よりも剣ね。なんだかあんたらしいなと思えるよ」


 ディオンが納得するように言った。


「俺からも一つ質問していいか?」

「なんだ」

「ゲッカ、あんたは何の為にグレイランドを目指す。正直、金だ名誉だ、そんなものに目が眩むような人間には見えない」

「お前はどうなんだ、ディオン」

「おいおい、質問に質問で返すなよ。……まぁ、俺はあれだ。愛する奥さんの為だ」


 その言葉をレグスの隣で聞いていたファバの視線がツァニスの方へと向く。それに気付いたのだろう、ディオンが笑って言う。


「ツァニスじゃねぇよ。女みてぇな顔してるが、正真正銘、まじりっけなしの男だよ、こいつは」


 ムッとした表情でディオンを見るツァニス。女のような顔と言われた事が気に喰わなかったのだ。


「いや、けどベルティーナとかいうのが恋人がどうとか言ってたような……」


 自分の聞き間違えだったかもしれないと思ってるのか、小声気味にファバが言う。


「はは、お前さん、トウマだっけか。まぁ、フリアの小僧じゃデリシャの事なんて何も知らんか」

「ああ……」


 どう説明したものかと考えた後、ディオンは視線の先を変えた。


「ゲッカ、お前さんもデリシャの事は何も知らねぇのか?」

「直接訪れた事はない。だが、学としてなら多少の覚えはある」

「へぇ、フリアの東黄人にはデリシャがどう伝わってるんだ。聞かせてもらおうじゃないか」


 その求めに応じてレグスは遠き南西の異国について少年に説明してやる事にした。



 デリシャ共和国。

 蒼宝海の湾奥部に位置するこの国は共和政治、その始まりの地として知られている。

 今ではいくつかの街や村を抱えるだけとなったデリシャではあるが、かつて伝説となりし古き時代には、デリシャ人は今のユロア大連邦にも劣らぬ巨大な大王国を築いていたという。

 古の石碑にその名を記された古代王国は、デリシャ人に黄金に輝く栄光の日々を与えていた。

 だが暴虐無知なる一人の愚王によって偉大なるデリシャの王国は滅び、デリシャ人達は二度と悪しき暗君を立てぬ為にも、彼らは彼らの手によって国を治める事を始めたのだった。


 それこそが大陸初の共和政治であった。


 時代の流れにより隆盛著しいユロア大連邦に呑みこまれはしたものの、王を持たずの共和政治の理念は今日、ユロアのみならずフリアの人々にも強く影響を与えたという事を疑う者はいない。

 ユロア大連邦に属する国、つまりはユロアの大王の臣下となりながら、デリシャの人々は今でも彼ら独自の文化を維持していた。建前上においてはデリシャは大王の臣下であるが、ほとんどのデリシャ人は大王に対して崇敬の念など抱きはせず、彼らは今でも国家の運営において民主的な政治体制を維持し、大王や外部の干渉を容易には許していないのである。


 連邦に属する諸国において、大王と並び彼らの神であるルブ神は絶対的な存在であり、最大の敬意を持って信望せねばならぬ対象であるのだが、デリシャは唯一異教の神々を祀る事を許されていた。

 無論、デリシャ国外の連邦の地でデリシャの神々の名を出し、ルブ神を貶めるような発言はデリシャ人であっても許されはしない。だが、デリシャ国内では大王を批判し、ルブ神ではなくデリシャの神々を崇める事が許される、その空気があった。

 それがどれほど連邦の地において特殊な事であるかは、異教の神々を連邦内で布教すれば極刑となる連邦法の重さが示している。


 なぜユロア大連邦の大王が、属する諸国が、デリシャに対してそこまで寛大であるのか。

 それは長い歴史の中で生まれた様々な因縁や、小国ながらも一流の戦士と魔術師を擁する古き偉大な王国の末裔に対する一種の畏れなどもあるのかもしれない。

 強大な連邦の一応の支配下に置かれながらも、強い独自性を維持し続けるデリシャ人達を、他の連邦人は反感を込めながら、デリシャ人本人達は誇り持ってこう言った。


『デリシャは染まらない』。



「で、その立派なデリシャ人様とやらが何だってんだ。その……、恋人がどうとかいう話とどう繋がるんだよ」

「さっきも説明した通り、デリシャはユロアの中でも独自色の強い国だ」

「それで?」

「連邦自体男色には寛容だが、デリシャはその中でも特殊でな。寛容どころか男色至上主義者の集まりだと言われている」

「うげぇ」


 レグスの説明にファバはあからさまに嫌そうな顔をする。


「男色至上主義ってのはちょっと聞こえが悪いな。男同士の愛情こそが至高だと考えてる奴らが多いってだけさ」


 笑いながら微妙な訂正を入れるディオン。


「どこが違うんだよ……」

「別にヤる事だけが愛の形ではないってことだ」

「でも結局男同士でやってんじゃねぇのか?」

「まぁそうだな。性交だけが愛の形ではないが、それが一つの愛の形である事は違いないからな」

「結局変態野郎どもの集まりって事かよ、気持ち悪りぃ」

「そう言うな坊主。お前も真実の愛に目覚めてみるか? 案外気に入るかもしれんぞ?」

「気持ち悪い冗談はやめろ!!」


 強く嫌悪するファバの様子に、レグスが言う。


「気持ち悪いか」

「何だよ……ゲッカ」

「お前からそんな言葉が出るとはな」


 気持ち悪い、醜い顔を持つファバ自身が何度となく言われてきた言葉。『お前からそんな言葉が出るとは』、その言い様に少年は無心ではいられない。


「な、なんだと。てめぇ……」

「トウマ。よく聞け、お前はもう理解出来るはずだ。自分がそうではないからと、異なる者を忌み嫌い、軽蔑する事の愚かさを」

「それは……」

「男が男を愛し、それで一体誰が損をする」

「誰がって……」

「誰が傷つけられるというのだ」


 レグスの目は真剣そのものだった。

 別に怒っているわけでもない。軽蔑しているわけでもない。ただ真剣にファバに問うている。


「……わかったよ。俺が悪かった。あんた、ディオンだっけか、……気持ち悪いだなんて言って悪かったな。あんたは俺の顔を見ても何も言わなかったのに」

「はは、素直でいいね。気にするな坊主、別になれたもんだ。なぁ、ツァニス」


 ツァニスは無言のままファバとディオンの方へ交互に目を向けるだけであった。


「ありゃりゃ、ちょっとお怒り気味かい。まあ気にするな。あとで俺が可愛がってやれば、機嫌もすぐ直るだろうしな」


 その台詞に机をドンと叩きツァニスが立ち上がる。

 彼は女のように見えるほど整ったその顔を赤くし、何か言いたげにディオンを睨んでいた。


 そんな様子にガドーが大笑いして言う。


「ガハハ、痴話喧嘩なら余所でやってくれよ」

「おお、そうだぜツァニス。今はゲッカ達の歓迎会の最中なんだぜ。楽しく飲もうじゃねぇか」

「帰る」


 ツァニスが言う。


「酒がまずくなった。俺は先に帰る!!」


 彼は銀貨二枚を置いて席を立ち、そのまま店の外へと出て行ってしまう。


「いいのかよ」


 ファバが心配そうにディオンに言うが。


「気にすんな。あいつはちょっと子供っぽいところがあんのさ。……で、何の話してたんだっけ俺ら、そうだ、そうだ俺の奥さんの話だったな」


 ディオンは脱線しかけた話題を本筋へと戻す。


「えぇとだな。ゲッカがさっき説明してくれたように、デリシャは男の同性愛を至高とする奴らが多いんだが、当然男同士じゃ子供は作れねぇ」

「ああ」

「だからまぁ、男同士の愛とは別に、女の嫁さんをきちんと貰って家庭を持つのさ」

「その嫁さんの為にあんたはグレイランドに?」

「そうだ。まぁこれがいい女でな。気立てが良くて美人で、俺にゃあもったいないぐらいの女なんだが、昔から体があまり丈夫じゃないうえに悪い病にかかちまってね。その薬がまたえらく高価でな。とてもじゃないが普通の仕事じゃ買えるようなもんじゃない。一年ほど前、ミドルフリアに仕事求めてやってきて旦那に雇われたまでは良かったんだが、その旦那が新しく即位した王様に牢屋送りにされちまって……」

「なんでわざわざこっちまで来たんだ、あんた結構強いんだろ? デリシャにも金になる仕事ぐらいあるだろ」

「まぁ、いろいろ特殊な国でな。俺は自他共に認める愛妻家だけど、デリシャじゃそういうのは変人扱いされる。女に堕落した軟弱者だと、美味しい仕事が貰えないのさ。連邦内ではデリシャ人ってだけ反感買う事も多いし……、となると大金求めるならミドルフリアだってなったわけだ」

「なんだよそれ、おいゲッカ!! 男が男を愛する事で誰が損をするだ、偉そうな事ぬかしてやがったが、きっちりデリシャ人の女がひどい目にあってるみたいじゃねぇか!!」


 責めるような視線をファバに向けられ、レグスは言う。


「デリシャが抱える行き過ぎた女性軽視の問題を男色という嗜好のせいにするのは愚かな事だ。現にディオンは男を愛しながら妻の為に命を賭して灰の地を目指そうとしているのだろう。男色自体が問題なのではない、それを至高とし、他の形を認めようとせぬ狭量さこそが問題なのだ」

「まぁ、そういう事だ。同性愛がここまでデリシャに広がった背景には大昔、共和国としてデリシャが纏まりに欠いてた頃、内で争うデリシャの人々を見て政治家であったティリテウスが言った一言にあるそうでな」

「隣人を愛せ その愛がやがてデリシャを包む」

「おお、よく勉強してるじゃねぇかゲッカさんよ」

「こんなもの勉強しているうちには入らん」

「おうおう、ご立派なもんだ。……でそれは本来まぁ、金だ女だ権力だ、そんなものを意地汚く我が物にしようとする輩を誡めて、戦地で肩を並べ共に戦う者、デリシャの為に命を賭して共に政治をする者こそが、愛すべきものであり、そんな愛すべき者同士が軍功や政治利権の為に足を引っ張り合うなど愚かな事だと、それはまぁ立派な理念だったわけだよ、かつては」

「だが、途中で歪んでしまった」

「そうなんだよなぁ。いつのまにやら戦場で戦う男、政治をする男、男こそがデリシャ人であり、女はおまけみたいな馬鹿な考えが蔓延していっちまった。ティリテウスも嘆いてるだろうよ、そんなつもりで言ったんじゃねぇって」

「デリシャのある種、歪んだ選民思想に警告を発していた者もいたようなのだがな。デリシャの愛は外界を覆わない、と」

「デリシャの選民思想に対するラクマトスの警告か。彼の言葉に耳を傾けた者が大勢いたのならデリシャが連邦に呑まれる事もなかったかもしれないな……。ってまぁた話が逸れ始めてるな」


 それからディオンは自分の妻の病の症状の話や薬の原料がグレイランドに生息している事などを説明し、新しい仕事を探すよりロブエルのもとに残り、ツァニスと共に灰の地を目指す事を選択したのだと言った。


「とまぁ、俺がグレイランドを目指す理由はこんな感じなんだが……。で、ゲッカ。お前さんは何故開拓団に加わったんだ?」


 ようやくといった感じで、ディオンの最初の質問へと話題がかえってくる。

 その質問に席を立ちながらレグスは言う。


「残念ながらそろそろ時間切れだ。その話はまた今度だ」

「おい、人には長話させておいて、あんまりじゃねぇか」

「今聞いておかねばならん事でもないだろう。これから長い付き合いになるんだ、そうだろガドー」

「ハハ、違いねぇ。まぁいいじゃねぇかディオン。この兄ちゃん、無理矢理聞き出そうとしたところで喋る気のない話を喋るような男じゃねぇだろ」

「ちっ、俺も酒がまずくなったぜ。ここでお開きだな」

「おお、そうかい。俺はまだしばらく飲んでくぜ」


 レグス達は支払いを済ませるとガドーを残し酒場を後にした。

 その帰り道の事、ディオンが静かに言葉を漏らす。


「ゲッカ、あんたらが何を考えてこの開拓団に加わったのか、俺には想像もつかない。ただ、悪い風を運び込むような真似だけはしないでくれ」


 難病の妻の為に死地に赴かんとする男のその言葉が、ファバには少しばかり痛く感じられた。

 一方レグスは表情を変えずに答える。


「安心しろ、そんな事にはならない」


 少年はまだ何も知らなかった。

 レグスという人間を、彼が背負った過酷な運命を、そしてこれから先に自分自身に待ち受けているものを。

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