仮面の試練 1
ども、かつどんです。
今回から数話かけて火神君の過去編です。
hideの方と同時投稿してますのでそちらもよろしくお願いします。
少し昔の話をしよう。
どのくらい昔かと言うと、火神が殺される6年前の話だ。
それは火神が仮面十一座に入ってすぐの話であり、まだ須奈の話も始まっていない時の話である。
火神は仮面十一座になってすぐ、一番目から呼び出しを受けていた。
火神「塚一同盟?」
いきなり言われた言葉は当時の火神には聞き慣れない言葉だった。
一番目「そう、第三世界で活動している殺し屋集団だ、まだ情報が少なくてな、その情報を集めて欲しいって訳だ、第三世界の王となる人物がいるかもしれないからな」
火神「第三世界と言えば情報の世界で他の世界より戦う手段が劣る世界ですが、そんな世界にも物騒な集団がいるのですね」
一番目「物騒つっても、構成員は他世界の奴らだぜ、一人だけ第三世界の人間だけど」
火神「他世界の?」
一番目「そう、構成員を発表すると、第一世界の荒木、第二世界の樋森、第三世界の久我原、第八世界の東雲、第十一世界の浅野、そして謎の武器商人ムスリム、この六人だ」
火神「謎の武器商人ってなんすか、それに荒木って」
一番目「そう、私の一族も一人入っているから気を付けてな、ムスリムは本当に情報がない、武器商人ってだけしか分からないから多分前線には出てこないのだろうな」
火神「はぁ…」
一番目「取り敢えずお前には第三世界に向かってもらう、安心しろ、塚一同盟とはすぐに会える様に調整してある」
火神「調整って?」
一番目「それはクリアしてからのお楽しみ、まぁ期待してるよ火神君」
そんな訳で俺、火神 鏡は第三世界に降り立った。
降り立ったとかそんな大げさな表現はしなくていいか、まだ仮面十一座でも下っ端なんだから。
それにしても第三世界、俺が仮面十一座に入るきっかけが出来た世界。
今回の任務は塚一同盟の情報集めだから戦闘はないと思うが、もし戦闘になったらどうする?
経験がないと言えば嘘になるが、向こうは殺し屋集団、きっと殺しのエキスパートだ。
それに比べて俺はまだあまり戦闘経験が少ない。
だが思い出せ、俺が初めてこの仮面を着けた時に見た奴の視界を。
この第三世界で出会った殺人鬼の視界を。
先代の映の仮面を着けていた人はその殺人鬼に殺された。
だからたまたまその場にいた俺が着けて生還したことから俺が仮面十一座の一人となったのだが、仮面を着けた時は驚いた。
あの殺人鬼の視界、そして殺す相手のどこをどう見ているのか、俺は一瞬にして理解できた。
その殺人鬼は生きている相手を殺す事を考えていたのだが、快楽殺人ではない。
その場合でもこんな奴がいるのかと思うが、快楽殺人はまだ予想できる範囲だ。
まさか生きている人間全てを殺さなければならないと考えている奴がいるとは…。
その殺人鬼は後に最悪の殺人鬼と呼ばれる事になるのだが、今は関係ない。
俺はそいつの視界を見た事で相手と殺し合いをする時、どこをどう見るのかを学んだ。
だから今まで生きてこれた。
この殺し屋たちからもそれで生き残れたら良いが。
火神「しかし、この第三世界の人間はか弱い人間ばっかだな」
この世界では少し暴動、しかも誰の被害も出ない暴動でも大騒ぎになる。
他の世界、特に第二世界では常に殺し合いが起きていると言うのに…。
火神「あ、でも…」
こんな世界で殺し屋なんてしていても簡単だろ、だったら戦闘も弱体化してるはずだ。
だったら例え戦闘になっても応戦して勝てるかもしれない。
まぁ、流石に六人全員を相手にするのはキツイだろうけど。
火神「もし、戦闘ってなったら…」
その時だった。
ぶおおおぉぉぉぉぉぉ、っと鈍い音が鳴り響いた。
火神「!!」
そしてすぐに気付いた。
この世界で火神の様に仮面を着けていたら変人扱いして通行人が見て来る。
もちろんその視界を火神は見ている。
だがその視界が一気に消えた。
つまり周りの人が消えたのである。
火神「なんだ?」
もちろん誰かに狙われているのであろう。
それは分かる、だが誰に?もしかして塚一同盟か?
いや、この世界に来てまだ何もしていないのに狙って来るのか?
もしそうだったら情報が早過ぎる。
いや、情報の世界だから当たり前なのかもしれない。
だがすぐに分かった。
そいつが現れたのだ。
殺し屋が火神の後ろに現れたのだ。
「塚一同盟が一人…」
だが火神には秘策があった。
火神「先手必勝!」
火神が一番目から渡された拳銃、初心者でも扱い易い銃を構えて声のする方に発砲した。
だが、
火神「!!」
パァンと音鳴ったと同時にその殺し屋は名乗った。
浅野「浅野 和也だ」
それは発砲してはならない相手だった。
ちなみに連日投稿します。




