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after story   作者: かつどん
不幸の再結成
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不幸の再結成 10

ども、かつどんです。


実はこの章はこれで終わりです。

全くと言っていいほど話が進んでいませんねw

ただ、次章から本格的な戦いが始まる予定です。

財府 芦亜(ざいふ ろあ)と言う人物は元普通のレースである。元と言うのだからもちろん今は違う。今は普通のレースではなく、レースのリーダーである。

一応かつての二つの大戦にも参加しており、第三世界でも川須とはクラスメイトだったこともある。

だが参加したと言っても他の世界からすると個人名も挙げられないようなモブキャラの立ち位置だったのだろう。

そんな彼女がいきなりレースの、第三世界を支配していると言われているレースのリーダーとなったのだ。

しかしなぜそのような人物がいきなりレースのリーダーになれたのだろうか?

それは須奈も新しくレースの幹部となる櫛原と小森も知らない。


火神「ほう、それでは一番目に言ったあれは嘘だと…」


一番目が来た翌日、俺と新井さんが今日も火神の事務所に着くと、須奈と火神がなにやら話していた。

だがその雰囲気は昨日とは違い、なにやらピリピリした空気に感じられる。

そして俺はふと天井を見た。


小川「良かった、日比谷はもういないや」


当たり前か…

しかし火神が言っていたことが気になる。

須奈が一番目に嘘をついた?

何が嘘だったのだ?


小川「もしかして尾嶋さんのこと?」


尾嶋さん、俺のクラスメイトである尾嶋さんはどうやら一番目の誘拐対象となっているが、その一番目はレースに尾嶋さんを拉致するよう命令した。

レースである須奈は何やら渋々承諾していたような感じである。

と言うことは尾嶋さんを拉致する依頼を受けたことが嘘だったのだろうか。


須奈「いや、ごめん…そっちじゃないんだ」

小川「え?」

火神「レースのニューリーダーを会議に参加させることだな、だがいいのかそれで」

須奈「前のエンさんは会議に参加してメリットがあったが、今のニューリーダーは会議には不向きなんだよ、それこそみんなにレースの最大の弱点を晒すことになる」

火神「だとすれば全世界で決める条約やらが勝手に決まるがいいのか?俺は貴様が代わりに参加しても良いんじゃないかと思うが」

須奈「それこそ無理だな、一応俺は死んだことになっているからな、しかも俺は第二世界の王の部下だったんだし」

火神「そうか」

須奈「それに、つくっておいて何だが、俺はあまり会議って言うのが好きじゃないんだ」

火神「ほう」


この話を聞いて背筋がゾクリとなるのを感じた。

最初にレースを知った時は殺人鬼やらが集まっている裏社会集団だと思っていた。

だけどそのレースによってこの第三世界が動かされていた。

この人たちによってこの世界は守られていたのだろうか。

その条約と言うのもみんなの知らない内に決まっていたことも沢山あるのだろう。

しかし良いのだろうか、レースと言う誰も知らない組織が勝手に決めていたこと、そしてそのレースさえ参加しないと言うのは…


須奈「実際よ、世界は繋がり過ぎたんじゃねえの?だから第二世界だけの戦のはずが全世界を巻き込んだ戦争になってしまったんだ、一旦会議とかは解散して自分の世界のことだけを考えるべきなんだよ、第一世界の侵略が失敗したんだ、どこの世界も他世界に侵攻するとか無謀なこと考えないだろ、もしそんな面白いこと考えてるんだったらあの時と同様他の世界が協力して阻止するだけだ」

火神「お前は分かっているのか?そのレース不在の条約によってこの第三世界は少しずつ他世界に侵略されることになるかもしれないぞ?」

須奈「だったら丁重にお迎えするだけだ、丁重ね」

火神「お前は…全世界を敵に回す気か?」

須奈「全世界ねぇ…俺はレースになる前は周りの全てが敵だったよ」

火神「分からない…」

須奈「ん?」


その時の火神の手は震えていたように見えた。


火神「分からないんだ…」

須奈「何が?ソウコとVFDの効果適応範囲の違いか?」

火神「お前が今言ったことの意味ももちろん分からないが、俺が分からないのはレースだ、レースとは一体何なんだ?」

須奈「さぁ、なんだと思う?」

火神「それを聞いているんだ、俺だってお前の視界を見たことがある、だけどよ、お前は見ている全てを無意味だと思っている、視界を覗けば分かるんだ、あの一番目さえただ周りの奴より強い、ただそれだけにしか見ていない、他の誰もが感じている恐怖、心酔、尊敬、そのどれも感じていない、お前が感じているのはただ面白いかどうか、面倒かどうか、それだけだろ?」

須奈「人の気持ちを感じ取る能力か」

火神「違う!お前の見ている世界を見ただけだ!普通はそれだけでは完全に気持ちを読み取るなんて出来ない、だがお前の場合はそれだけではっきりと分かってしまうんだよ、だからこそ分からない、レースとは何なのか分からない…」

須奈「それこそそう言う物と感じ取るしか無いだろ、レースが何なのか、答えを考えるなんて全くもって無意味だと思わないか?」

火神「その通りだ、だが、だからとしてリーダー一人が死ぬだけで後任者をすぐに決めようとせず、まるで自暴自棄に陥るとか、好きか嫌いかだけで全世界を敵に回そうとするのか」

須奈「はっ、お前はどう思う?レースと同じ第三世界に住む者としてさ…」


須奈はいきなり俺に問いかけて来た。

俺はドキッとしたがすぐに状況が掴めた。

だがレースが何なのか、俺には答えられなかった。


須奈「もしかして人殺しを簡単にするような悪の組織だと思ってる?」


その須奈の予想にはすぐに答えることが出来た。


小川「そんなことはない!」

須奈「ほう、それは嬉しいね」

小川「だってレースってその二つの大戦でこの世界を守って戦ってたんだろ?だったら俺たちからしたら英雄達じゃないか」

須奈「英雄か…」

火神「英雄、確かにその称号はお前に相応しいな」

須奈「だがレースの最終目標って知ってるか?」

小川「最終目標?」

火神「第三世界の管理人としてもちろん俺は知ってるさ、だから俺も気になるな、レースを英雄として評価したお前がどう思うかな?」

小川「俺が?」

須奈「そう、レースの最終目標、それはよ…」


そして彼は答える。


須奈「レースが多数派となることさ」


多数派?どういうことだ?


須奈「つまりレースを増やすってことだ…ってな訳ないぜ!レースを増やしてもレースなんて10人に1人いれば良いほうだ、これじゃあ全世界のレースを覚醒させてレースにした所で多数派にはならない、じゃあどうする?」


それこそ簡単だ。

だが答えは簡単でも実際にするとなると…


須奈「そう、レース以外を減らせば良い、抹殺すればいいんだよ」

小川「っ!」


レース以外を抹殺する?それって…


須奈「だからレースは殺人集団と言われてもしょうがないんだよな」

小川「…じゃあさ!なんで尾嶋さんをこの世界に住ませてたの?あの人もレースなの?」

須奈「うーん、よく言われるけどただの気分としか言えないな~、尾嶋ちゃんはレースじゃないし、でもそんな簡単にレースじゃない人をポンポン殺したりしないよ、むしろレースのためになる人だっているんだしさ」

小川「ってことはレースが対象って…」

須奈「そりゃレースの害になる人物だよ、つい先日君の学校からも一人消えたんだけど知ってた?」

小川「え?」


いや、知らない。

誰かが消えた?ってことはレースの誰かが殺したってこと?


須奈「やっぱり知らないか、でも知らない方が普通なんだよな、別に知ってても不思議って訳じゃないけど…」

小川「でもさ、なんでそんなことするんだ?なんで多数派になりたいんだ?」

須奈「そりゃお前、普通になりたいからだよ」

小川「普通?」


普通?どう言うこと?

普通なんてそんなの…


須奈「普通なんてそんなの普通にすればいいだけだってか?」

小川「えっ…」

須奈「お前は知らないだけだよ、普通になりたかったのに、普通にしていたかったのに、普通だと思っていたのに、普通だと認められなかった変人達だっているんだよ」

小川「………」

須奈「お前らレースが変人の集まりだとかどっかで思ってるだろ?別に否定はしない、どちらかと言えば正解なんだ、だがよ、レースの中じゃ変人であることが普通なんだぜ?だからよ、レースが多数派となるってことはよ…」

小川「変人であることが普通になるってこと…」

須奈「大正解!」


いつだってそうだった。

少数派は抑えられる、少数派はもみ消される、少数派は、


須奈「いじめられる…、レースになる前じゃ俺もいじめられてたっけな、まぁ他のみんなよりはかなーりましだったが、だがよ、いじめられる奴ってのは大抵一人でいる奴だ、そんな奴らが数人集まればどうなる?居場所ができたらどうなる?周りの奴らは気持ち悪がって手出しできなくなるんだ、面白いだろ?あぁもちろん俺はもうクラスメイトだった奴らを恨んじゃいない、むしろレースにしてくれたことに感謝してるくらいだ」

小川「でもさ周りの誰かが手を差し伸べたって…」

須奈「お前が実際にそうなれば分かるよ、そんなのは自分の居場所じゃない、自分の居場所って認めたくなくなるよ、いつかこっちから出て行くさ、簡単だろ?いじめられる奴らだけを集めればそこは素晴らしい居場所になるんだ、そうして出来たのがレース…」

火神「そうだったのか…」

須奈「ってのがほとんど正解」

火神「は?」

須奈「言ったろ?レースってのは簡単には定義出来ないって、いまのじゃレースってただのいじめられっ子集団じゃん、別にいじめられてた訳じゃないレースだって沢山いるんだぜ、ピリオドとかがそうだな」

火神「だがレースが何かは少しだけ分かった気がするよ」

須奈「へぇ、それは?」

火神「レースはレース達の居場所ってことだな」

須奈「うん、大正解だと思うぜ!」

財府「まぁ居場所がどうとか私には関係ないけど」

「「「!!」」」


いきなり玄関から声がした。

やはり一番目が壊したドアは一日では直っていなかったのか、俺たちが入って来たままの開けっ放しになっている。

だから誰かが入って来たことに気付かなかったのだ。

うん、駄目だなこの部屋。

だけどこの部屋に入って来たのは一人だけでは無かった。

一人の女の子と、その後ろに三人の男性がいる。

一人は知っている。

昨日も一昨日もいた川須と言う人物だ。


火神「その並びで大方理解出来るが、あいつがか?」

須奈「そう、レースの新しいリーダーと俺含めた新しいレースの幹部でございまーす」

財府「そう!私がレースのリーダーに選ばれるほどのカリスマ性、美貌、才能、知識、その他諸々を兼ね備えた財府 芦亜よ!」


新しいレースのリーダーと称した女性は一歩前に出て自己紹介した。


火神「こんな奴がリーダーで良いのか?」

須奈「さぁ?」

財府「さぁって何よー!この私がリーダーよ!ニューリーダーよ!もっと崇めなさい、奉りなさい!」

須奈「奉るって…神か何かか?」

火神「須奈、すまん、どうやら俺はレースを勘違いしていたらしい、こんな奴なら確かに会議に出席させたくないな」

須奈「だろ?」

財府「ちょっと聞いてんの!?」


なんか五月蝿い人だな。

そのニューリーダーって人を無視する様に後ろの二人が前に出て来て自己紹介した。


小森「俺は小森 才人(こもり サイト)、レース名操縦士(リモコン)だ、名前で分かると思うが今は殺人鬼勢力の小森を支配している、と言っても俺は特に何もしていないが」

財府「ちょっと!何でいきなり前に出るのよ!リーダーより後ろにいなさいよ!」

櫛原「僕は櫛原、櫛原 久我丸(くしはら くがまる)、レース名は写真家(フォトグラファー)、覚えやすいでしょ?職業は小森と同じく殺人鬼勢力のリーダーやってます、と言っても櫛原と小森って別勢力だけどね」

財府「ちょ、何あんたまで!いいからさっさと後ろに…」

川須「そして俺が…」

火神「お前はいい」

須奈「じゃあ俺が…」

火神「お前もいい」

財府「ぷぷぷー、拒否られてやーんのー、ぷぷぷー」


………。

殺人鬼勢力って何だ?

なにやらおぞましい言葉が聞こえた。


「そして俺が中谷」

「俺は佐藤」

「わっちは浜田」

「ついでに俺は間宮」

「じゃあ私は加藤」

「わしはそこらに居た山田さんじゃ」

火神「おい待て!何か勝手にぞろぞろと俺の部屋に上がり込んで来たぞ!?」

須奈「ああ、名乗りたい人は集まれーってそこらにいたレースと山田さんに言ったらこんなことになった」

火神「はい解散、自己紹介は終わりだ、はいさっさと帰る!」

「えー俺まだ…」

火神「いいから帰れ!」

「「「わーわー」」俺は和田ー」

火神「………」

財府「何だったのあいつら」

火神「俺が聞きてえよ」

須奈「だからそこらにいたレースとそこらにいた山田さんだって」

火神「そう言うことじゃねえ!」


何かいきなり人がいっぱい入って来て出て行った。あと山田さんは誰なんだよ。


火神「まぁお前らがレースのニューリーダーだって言うならそうなんだろう、だがいきなりぽっと出の奴がお前らの上になって良いのか?」

須奈「何で?」

火神「普通リーダーがやられたら副リーダーが次のリーダーになるだろ、お前らだったらピリオド…はいないから須奈、お前だろ」

須奈「お前レースに普通が通用すると思ってんの?」

火神「だったな…」

財府「それに、私の様なてっぺんに立つに相応しい女がリーダーやらないで誰がリーダーやるの?」

火神「本当にこんなのがリーダーでいいのか?」

須奈「ちょっと考える」

財府「何でよ!」


騒がしい人たちだな。


火神「それより、レースは会議に出ないってのはレースの総意で良いのか?」

財府「会議って何?」

須奈「俺はいいと思うぜ」

川須「俺もだ」

小森「俺も」

櫛原「あまり詳しくは知らないけどいいと思うよ」


あれ、肝心のリーダーが…


火神「そうか、じゃあそう一番目に報告しておく、もちろん俺の前に現れたのだから新しいリーダーについても報告させてもらうぞ」

須奈「うん、よろしく~」

火神「しかし、今気になったが須奈は今どこに住んでいるんだ?」

須奈「いきなり何?」

火神「いや、ちょっと気になってな、今までは自分の家に住んでたのだろうが今はどうしてるんだ?まさか今までと同じとはいかないだろ、妹も戦に巻き込まれたらしいし」

須奈「んー、ちょっと説明しにくい所だな、もちろん今までのとこじゃないぜ?こっちでも一応死んだことになってるみたいだし」

川須「いや須奈、お前はまだ死んだことにはなってないぞ」

須奈「そなの?」

川須「死体が見つかってないからな、死体がなけりゃ死人にはならない、誰かが埋めたとかならまだ分からんが、そんな報告とかしてないだろ?」

須奈「確かにしてない、ってか流石第三世界、こういう時面倒だよね」

川須「むしろ勝手に死んだことにしてるお前の方が面倒だよ」

須奈「それに俺の妹殺したのってスパイだよね?」

川須「だな」

須奈「殺しても大丈夫だったの?」

川須「頑張った、そして頑張った」

須奈「そうか」

財府「許しちゃうのかよ!」

須奈「いや、恨んでも俺にはメリットないしな」

財府「そう…でも」


財府は川須に睨み付けるような視線を送った。


財府「私はあんたのこと許さないから」

川須「それでいい、俺は裏切り者だからな」

火神「………」

須奈「ふっふっふ、これはこれで面白そうだろ?」

川須「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


いきなり川須が吹き飛んで行ったんだけど!?


須奈「あれは何かの怒りだな」

小川「何のだ?」

須奈「いずれ分かるさ、いずれな」

火神「それよりレースよ、昨日須奈が勝手に尾嶋を荒木に差し出すことを約束したんだが、実際の所どうなのだ?」

財府「尾嶋って誰?」

櫛原「ああ、それなら準備は出来てるよ」


準備?


小森「明日実行するんだったな、瀬滝田中も尾嶋の住んでいるところも櫛原のエリアだから俺は何も出来ないが」

火神「ほう、そちらはやる気になったのか?」

須奈「まぁね、調べた所一番目の言っていることは正しいみたいだし」


どうやって調べたのだろう。


火神「そうか、そこでだ須奈、実はな…」

須奈「嫌だー!死にたくないー!」

火神「何回も死んだ奴が何を言うか」

須奈「まぁね♪んで何?」

火神「実はな、もう一つ一番目から依頼があってだな」

須奈「やっぱ俺死ぬんじゃね?」

火神「いや、お前テイルオブデスサイズの在り処を知ってるか?」

須奈「テイル?」


テイルオブデスサイズ?何それ。そういや尾嶋さんが持ってたのはサンダーオブデスサイズって言ってたっけ。

それと何か関係あるのかな。


川須「テイルオブデスサイズは七目が持ってたやつだが?」

火神「須奈、貴様が堂主館の通路で戦闘タイプのレースと戦わせる所に七目を出さなかったのは何故だ?奴がいたら俺も生きては戻れなかったかも知れなかったが」

須奈「さぁね、シャドーのことなら一番目の方が知ってるんじゃない?だってあの時シャドーは堂主館にはいなかったんだから」

火神「やはりか」

川須「そういやいなかったな」

須奈「シャドーの存在はエンが俺たちレース幹部にも知らせなかったんだぜ?」

川須「正確には伝えるのを忘れてたみたいだけどな」

須奈「流石に今どうしているかは知らないな、どっかで死んでるんじゃない?」

川須「見事な生存フラグだ」

須奈「仲間思いだろ?」

火神「そうか、知らないか…シャドーはともかく、一番目は今デスサイズを収集してるらしくてな、何故かは分からんが」

須奈「はーん、だから尾嶋さんが襲われたと」

火神「そう言うことだ」

須奈「だが待てよ、テイルオブデスサイズだけなら粉で作れるよ」

火神「は?」


そう言うと、須奈の目の前に粉が集まり、デスサイズ、死鎌ができていった。

そのデスサイズは鎌の持ち手の部分が長く、また柔らかくなっており、その先はとんがっている。

それはまるで尻尾の様に見える。

なるほど、だからテイルオブデスサイズなのか…。


火神「出来るのかよ!」

須奈「出来たね」

川須「便利やね~」

財符「飽きた」


そこで突拍子もなく財符さんが口を開いた。


櫛原「あらら、流石に一般人にはきついか」


一般人?


財符「はわわわわ~、眠い、帰る」


この人呑気に欠伸してやがる。


小森「仕方ないな、今日は顔出しだけだし帰るか」

櫛原「そうだね、と言うわけで火神君、僕たちは明日尾嶋さんを連れて来る予定だけどそれでいいかな?」

火神「連れて来るならそのまま一番目の所まで送って欲しいが」

櫛原「流石に無理があるよ」

火神「だったら尾嶋を抑えられる奴も同行してくれ、俺ではあの電撃は防げん」

櫛原「分かった、一応探しておく」


レースも数がいたら電撃を耐えられる人もいるって訳か。


櫛原「あっそうそう、君も参加するかい?」


櫛原が聞いてきたのは俺だった。


小川「えっ、俺?」


俺が参加する?尾嶋さん捕獲作戦に?


櫛原「もちろん直接関わる訳じゃないさ、ただ僕たちレースの働きを見学するだけさ」

小川「でも何で関係ない俺が?」

櫛原「関係ない?クラスメイトなのに冷たいね」

小川「い、いや…」


俺が関係ないって言ったのはレースと関係ないって言ったんだけど…


櫛原「まぁ、こちらのことに関係ないって言ったんだったら、お生憎様、もう君も関わってしまった人間なんだよ」

小川「え?」

須奈「確かにな、第三世界の王と会った人物なんだし」

川須「これから関わらない方が難しいだろうな」

小川「でも…」


俺は新井さんを送ってくるだけ…


財符「長いから先帰るねー」

小森「じゃあお先に…」


それだけが役目なんだ。


櫛原「うん、お疲れ~、そこですでにこちら側に関わってしまった小川 雄大君」

小川「え?」


今俺の名前を?俺はこの人に一回も名乗ったことはないはずなのに?


櫛原「ああ、名前くらい知ってるよ、角絵さん、同じく君のクラスメイトなんだろ?」

小川「え、えぇ….」


角絵さん…あの人もレースだったのか…


櫛原「ほら、こんな近くにもレースはいる、それでも関わってないって君は言えるのかい?」

小川「………」

櫛原「まぁ認める認めないはともかく、この第三世界で最大の勢力を誇るレースの動き、後々のために見ておくのもありだと思うけど」

小川「た、確かに」


確かに、それもそうだ。

この人たちが自分たちの情報を渡してくれるのならそれを得ておくのもありだ。


小川「わ、分かりました、明日は見学させていただきます」


それにもしかしたら尾嶋さんを助けられるかもしれない。


櫛原「うん、じゃあ君は明日の放課後いつも通り新井さんをこの事務所まで送ってくれ、途中で僕の部下が君に声をかけるからそこで支持に従って欲しい」

小川「分かりました」


出来れば平和な方法で解決させよう。

出来れば…だけど。

その日はそこで解散した。

俺も家に帰ったが、レースの三人は作戦会議みたいなのを火神の事務所で行っていた。

一体どんなことをするのか、その場に残った新井さんに聞いてみようかな。

でも答えてくれるのだろうか…。



場所は変わって…


酒々井「………」

阿部「いやぁ、まさかそうなるなんてね」

酒々井「それは本当なの、千忍?」

山田「はい、確かにこの目で見ました」


酒々井、酒々井十六忍武の頭領、酒々井 兎樹の前に酒々井十六忍武の忍者である山田 千忍が跪いている。

その横で阿部 礼二と言う人物が話を聞いていた。


阿部「それにしてもどうやって彼らの中に侵入できたの?レースじゃなかったらバレるでしょ絶対」

山田「それが、そこらにいる山田さんとして声をかけられ、そのまま火神の事務所連れられました」

阿部「罠だとか疑わなかったの?」

山田「それは…」

酒々井「彼らのことだから拒否る隙も与えられず流されたのでしょうね」

山田「は、はい」

阿部「ふーん、でもさおかげでレースのリーダーが分かったんだから大手柄じゃん」

酒々井「ええ、そうね…私たちが分裂する理由が分かったんだもの、かなりの大手柄だわ」

阿部「ふふ、でも今は戦えない、これがあるから」


そう言って阿部は首を指差す。

その首にはまるで機械が埋め込まれているかの様に見える。


酒々井「そうね、貴方がここを出て行くのはそう遠くはなさそうね」

阿部「おおっと、怖い怖い、それより今は尾嶋って娘だ、第十二世界の兵器のことはまだしもその尾嶋さんをなんで一番目が欲しがるんだ?元々自分の配下だったのに」

酒々井「さぁね、でも向こうの物を向こうが使うのなら文句は言えないわ」

阿部「向こうの物ね…」

酒々井「もしかして何かするのかしら?」

阿部「そうだね、ちょっと動いてみようかな…」


翌日、小川 雄大はもう日常に生きていないことを知らされる。

hideでネタバレし過ぎた感じがするのは私だけ?


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