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第四話 『襲撃と規則』

1月28日 20時02分


 とても楽しみにしていたが、ヘリコプターの乗り心地は、かなり悪い。

空の移動手段だから速いのは当然だが、とにかく揺れる。

この状況でもウルドは、やけに楽しそうだ。


「おー、揺れる揺れる!!」

「楽しそうだな……お前。」

「君は楽しくない?」

「つまらなくは無いが、立ってるのが精一杯だ!」


 さっきから、頭を数回ぶつけていて楽しんでる場合では無い。

ウルドは、バランスを崩した様子が一切見られない、やはりただ者ではない。


「ウルド!!他のヘリとぶつかりそうだ。」

「オッケー。」


1月28日 21時05分


「あれ?」


 気がついたら、ヘリコプターはビルが立ち並ぶ街の上空を飛んでいた。

いつの間に、ここに!?

どれだけスピードを出したんだよ。


「ホテルに着いたよ。」

「ん?もう着いたのか?まだ10分くらいしか経ってないけど。」

「時間はね、楽しいと早く過ぎるんだよ。」

「お前、頭ぶつける時間が楽しいのか?」

「まず、ぶつけないからね。」

「ああ、そうですか。」

「実際は、一時間くらいだよ。」

「えっ!?」

「途中で時間を止めたんだよ。」

「お前、そんなこともできるの?」


 コイツ、強いのか?

何だか良く分からなくなってきたな。

その会話が終わるタイミングでヘリコプターが、ホテルの屋上に降りた。


「さあ、行こう7045号室だよ。」

「ここは何階だ?」

「屋上……あえていうなら12階。」

「そんなに逃げられない場所アリなのか?」

「安心してホテルにいる間に襲撃するのはルール違反だから。」


 そうなのか、良かった。

まだルールを全く聞いていないが、今向かっている7045号室で話してくれるだろう。

全く道に迷う素振りをしないで先導しているウルドを見ていたら、部屋の前に着いていた。

ば、場所が分からない。どうやってここに来たのだろう。

ドアを開けて部屋に入ろうとすると。


「桜庭くん、ちょっと伏せて。」

「何でだ……わっ!」


 ウルドは伏せた俺の上で回し蹴りを決めていた。

いつ、俺の後ろにいたのか帽子を被った男がよろめいている。


「桜庭くん、部屋に入って。」


 男の手にはナイフが見える、さっきホテルでの襲撃はルール違反って言ってたのに。

ウルドは、男のナイフを膝蹴りで弾き、そのまま強引に背負い投げを決めた。それと同時に足で落ちたナイフを蹴って俺が開けっ放しにしていた部屋に入れた。

早い。とにかく早技だった。

その後、気絶した男を担いで部屋に入ってきた。


「こんな感じでホテル内での不審者は、僕が対処するよ。」

「は、はぁ……。」


 鮮やかな戦闘だった、素早く綺麗な動き。

強いな、頼もしいと素直に思った。

この人と、一体どれくらいの時間を共に過ごすのだろう。長いなら仲良くしないと。

そんなことを思いながら、ベランダに男を横たえて誰かに電話をしているウルドを見ていた。

その時、不意に俺の携帯が鳴った。


「はい、もしもし。」

「もしもし、榊原です。」

「さ、榊原先生!?何で俺の番号を知ってるんですか?」

「ヴェルダンディーさんにお聞きしました。」

「ヴェルダンディー!?誰ですか?」

「パートナーらしいです。桜庭くんにもパートナーが?」

「えっ……あ、はい、ウルドがいます。先生は今どこに?」

「エンジェルホテルの部屋にいます。桜庭くんは?」

「俺は、プリンスホテルにいます。近いですね。」

「そうですね、とりあえず無事そうでホッとしました。今度は直接会いましょう。じゃあ、また!」


 ヴェルダンディーって誰何だろうか?ウルドの仲間かな。

とりあえず、明日は先生に会いに行こう。


「桜庭くん、何て呼べばいい?」

「えっ?」


 いつの間にか背後に居た、ウルドが変な事を聞いてきた。

桜庭くんって今、呼んでるじゃないか。


「何でもいい。」

「そっか、じゃあこれからは、心って呼ぶよ。」

「そうか、俺は今まで通りウルドって呼ぶよ。」

「うん、それが良いね。何か質問ある?無ければ寝るけど……。」


 は?ルールを教えろよ!!

何故か俺から聞くのは納得できないが、言わなきゃいけないのか……。


「ルールを教えてくれるって言ってたよな?」

「ああ、そういえば……面倒臭いな、でも話してあげるよ。まず1つ目、ホテル内での襲撃は禁止。2つ目、ホテル外であればサバイバルに参加していない者に襲われても自分で対処する。3つ目、朝9時までにホテルの外に出ること。」

「……終わり?」

「うん、心が知ってれば良い事はこれだけ。」


 3つ……もっとあるが秘密ということか、今は教えないという意味か。

あと、もう1つ聞いてないことがある。


「じゃあルール説明したから寝るね。」

「待て、ウルド。最後に1つ。」

「何?」

「このサバイバルゲームの目的は?」

「俺たちの仲間を選ぶため。……おやすみ!!」

「あっ……おやすみ。」


 選ぶのは1人なのか?と聞きたかったが部屋に入り鍵を閉めた。

サバイバルゲームは明日から本格的に始まる。

武器、まだ渡されてないな。銃とかくれるのだろうか?

ああ、だんだんと心配になってきた。ゲームと聞いて少し気が緩んでいたが、いつ死ぬか分からないのだ。

何にせよ、ルールを守れなきゃ意味無いな。

アラームを7時にセットしてベッドに入った。


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