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第三十九話 『焦燥と合流』

2月26日 18時36分


 この刀は俺の秘密兵器で、先生の刀に唯一対抗する刀だ。坂城さんが先生の刀は未来で自分が作ったものと判断してそれに対抗する刀を作ったそうだ。

 でも、この刀は不完全だ。本来は能力だけを切り取る刀、なのだが時間がなかったので他のものも切れる。

 それが幸いした、この戦いにおいて便利である。血が一滴、空から降ってきた――先生は上か。

 ナイフを下に向けながら降ってきている、タイミングを合わせれば次で勝てる。

 俺はちょこまかと動き回ってタイミングを計る。先生がナイフを手放して拳銃をを取り出した。


「桜庭くん」


 ――今だ。

 俺は銃で撃たれないようにジグザグに動きながら先生の落下点へと移動して刀を振り抜いた、手応えが無い!?


「――こっちです」


 銃声と血飛沫、遅れて鋭い痛み――どうやら撃たれたらしい。


「ぐあっ……ちっ……」

「油断しましたね、落下中でも私が身じろぎ一つしなければ瞬間移動ができます」


 なるほど。さて、過去に戻るか。


2月26日 18時36分


 空を見上げる、先生を見つけた。

相手の手が読めても油断はできない、未来は変わっている。それに先生にはバレている。

 先生はナイフを上に放り投げてから拳銃を取り出す。


「桜庭くん」


 さっきと同じように動いて刀を振り抜く、そしてすぐに横方向へと跳ねた。


「随分と早い判断ですね、まだ撃ってませんよ」


 咄嗟に背後に減速の壁を作る。銃声が聞こえた、銃弾がゆっくりと動いている。

 なんとか助かった――


「よそ見してる暇はないと言ったはずですよ」

「――っ!!」


 また減速の壁を作る、だが銃声が聞こえない。

 そして背中に激痛が走る、先生がすぐ後ろにいる。あの時上に投げたナイフか!

 過去に戻ろう。


2月26日 18時36分


 駄目だ、これ以上は過去に戻れない。どうしたら――


「はあぁぁぁぁ!」


 アレースさんの声が聞こえる。そうだ彼女を頼ろう、一人でやる戦いじゃない。

 俺はアレースさんとウルドのいる方へ風を使って加速して走る。


「アレースさん!」


 銃声が聞こえたが、痛くない。先生はどうやら外したようだ。

 アレースさんの後ろに回り込んだウルドに向かって刀を振り降ろす。


「ちっ……心か!?」


 よし、かすった。お前の能力少し貰うぜ。

 ウルドがアレースさんから離れる、その隣に先生が現れる。


「アレースさん、無事ですか?」

「ああ、平気だ」

「協力プレイでいきましょう」

「わかった、だが急にどうした?」


 自然と口元が笑ってしまう。


「なんとなく悟っただけです」

「ふん、そうか」


 俺もアレースさんも加速の壁を作り出して走り出す。お互いに狙いは先生だ。


「くっ!! 二対一ですか、受けてたちましょう。ウルド、あなたは手を出さないでください」

「香、それは無茶だ!」

「いいから、来ないでくださいっ!」


 ウルドが渋々という様子で先生から離れる。先生がナイフを左手に銃を右手に持つ。俺は右手を狙う、銃対策のために減速の壁を目の前に作りながら接近する。


「桜庭くん、あなたには……あなたには負けたくないんですよ」


 先生が銃を連続で撃ってきた、全て減速の壁によって遅くなる。

 アレースさんが左側から攻撃を仕掛ける。それに対しても先生は銃で対応した。

 先生の銃がカチカチという音を出している、弾切れか。


「榊原、もう終わりか」


 アレースさんの挑発に乗った先生は刀を右手に握った。

 この人……何をムキになってるんだ?


「心!」

「はい!」


 アレースさんが左手のナイフを取り上げて俺にパスしてくる。

 作戦は頭の中に出来た、俺は先生の足を狙って刀を振り抜く。先生はジャンプする、さっきと同じミスだ。

 俺はナイフを上に投げる、先生は上体を反らしてそれを避けた。計算通りだ。


「桜庭くん、ナイスパスだ」


 アレースさんが俺のナイフをキャッチして振り下ろす。先生は刀を瞬間移動させ、ナイフを防ぐ。


「先生、俺の勝ちです」


 刀の峰で首を殴る。先生が地面に突っ伏す。

 動かない、気絶したようだ。

 アレースさんが拳を作り先生を跨いで立つ――殺すのはダメだ。


「アレースさんっ! ストップ!」

「どうした」

「まだ殺さないでください、先生はウルドにほのめかされただけな気がします」

「違かったらどうするんだ?」

「その時は……俺が殺します」


 これは俺の問題――生徒として彼女に命を救われた者として。


「桜庭くん、次はウルドだ」

「はい」

「さぁ、やろうか!」


 ウルドがそう叫ぶ。待ちくたびれた、という表情だ。


2月26日 18時38分


 テミスちゃんが作ったバリア製の梯子の上を走る。

 もう随分と走った、足が痛くなり始めている。


「沙季お姉ちゃん、もうすぐだから頑張ろう!」

「うんっ!」


 地下は不思議な場所だ、太陽の光が当たらないからビルの明かりなどで補っている。

 だから建物の屋上はあまり光が届かないので薄暗い。


「あそこだよ、沙季お姉ちゃん」


 テミスちゃんが指差したのはそこそこの高さの塔だった。

 ここに小早川がいるのね、この建物の構造からして一番上かしら。


「沙季お姉ちゃん、あれ!」


 テミスちゃんが別の方向を指差す、そこには私達と同じように走っている人――美季がいた。

 美季に聞こえるように思いきり叫ぶ。


「美季っ!」

「お、お姉ちゃん!? なんでこんなところに……」

「あんたを探しに来たのよ、一人じゃ死なせないわよ」

「…………」


 黙りこむのは図星である証拠だ。

 これ以上ここで話していても時間の無駄だから、私は塔を指差して、


「あそこにいるわよ、美季」

「そっか、結局最後の場所か」


 アテがあるような事を言っておきながら複数の場所を回ったらしい。


「お姉ちゃん達、行こう!」


 三人で塔に向かう。



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