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第三十八話 『地下と地上』

2月26日 17時53分


 テミスちゃんのバリアで出来たチューブの中を走る。バリアを通路にするなんて斬新な発想だ。


「テミスちゃん、地下にはどうやって行くの?」

「組織の人は瞬間移動使うんだけど……沙季お姉ちゃんが使えないから、組織のオフィスの地下に繋がる階段から行くの」

「へぇ、そんな階段があるんだ。でもみんな瞬間移動出来るのに何でそんな階段を造ったの?」

「みんなじゃないよ……ヴェルダンディーお姉ちゃんが造ったの」


 ヴェルダンディー。榊原のパートナーだった人で何者か――恐らくはウルド達に殺された人。

 あれ……美季はどうやって地下に向かったんだろう? 


「ヴェルダンディーお姉ちゃんはね、いつも何か違うものが見えてたの。階段造るって言い出した時も、『私は使わないけど、サバイバルゲームで必要になるわよ』とか言って造らせてた。ヴェルダンディーお姉ちゃんには、こうなるって分かってたのかな……」


 テミスちゃんが懐かしそうに話をする、ヴェルダンディーって人はテミスちゃんにとっては特別な存在だったのかな。


「沙季お姉ちゃん、ここからは滑り台だよ!」

「え、滑り台!?」


 チューブがいきなり下り道になっている、テミスちゃんは楽しそうに滑って行ってしまった。

 普通に怖いんだけど! 見た目はウォータースライダーみたいだけど角度が急で怖い。

 深呼吸をして目を瞑ってテミスちゃんの様にスライダーに飛び込む。


「きゃああああ!!」


 怖いって! 速いって! 死ぬって、ヤバいヤバい……あ、止まった。うー、気持ち悪い。

 目を開くとどこかの街の中だった。人がいない、美季がウルド達との戦いに備えて街の人を避難させたのかな?


「沙季お姉ちゃん、こっちこっち!」


 テミスちゃんが反対側の歩道で手を振っている。スライダーによってより元気になってるようにみえる。

 とりあえずテミスちゃんの元へ向かった、車なんて通ってないから車道を横断する。


「遅いよ~、待ちくたびれちゃったよ」

「ごめんごめん。ところでこれが組織のオフィス?」


 どこにでもあるビルだ、唯一他と違う点は会社名が入り口に書いてない事くらい。


「そうだよ、中に入ろ?」

「うん」


 入り口は自動ドアだ、中に入ると黒を基調とした物でロビーが出来ている。ふと視線落とすと黒い大理石の床が濡れている、気になるから近づいてみた。


「……血?」

「沙季お姉ちゃん?」

「誰かいるよ、テミスちゃん」


 テミスちゃんも近くでしゃがんで血をまじまじと見ている。

 しばらくして、テミスちゃんが急に立ち上がった。私を見つめてくる、可愛い。


「沙季お姉ちゃん、行くよ!」

「え……ちょっと!?」


 手を掴まれたと思ったら、テミスちゃんは走り出した。

ロビーの奥の階段を下っていく、大体二階分下ったところで大きな部屋に着いた。

 奥まで廊下が続いている、テミスちゃんに手を引かれていると、部屋の中央にまた血溜まりが出来ているのを発見した。

 一体誰がこんなところに来ているんだろう?


「この奥だよ!」


 テミスちゃんが走るスピードを上げる、100mほど先でまた開けた空間になった。

 そこでテミスちゃんが急に立ち止まった、着いたみたい。

さっきまで黒い廊下だったのに、この部屋は真っ白だ。

 テミスちゃんは正面を見つめている、そこにはぐったりとした様子で座り込んでいるプロメーテウスさんがいた。


「プロメーテウスさん……?」

「う……。ああ、やっと来てくれた」


 そう言ってプロメーテウスさんは、ゆっくりと顔を上げ、口元に笑みを浮かべている。


「僕の予想は的中したみたいだ、ははは……。この扉は能力者がここに居ないと開かないうえに時間がかかる……はぁ……だから先回りして開けといてあげたんだよ」


 あの怪我でここまで来たの!? 何で言ってくれなかったの……とは言えない、あの時はそんなことできる状況じゃなかった。


「そうだよ、この怪我でここまで来た。……ふぅ、あの時ここに向かうことを伝える余裕があっても誰にも伝えなかったよ。テミス、何でとか考えるなよ。分かるだろ?」

「かっこいいからでしょ?」

「そうだよ、分かってるなら早く行けよ。僕が死んだら閉まってしまうぜ」

「プロメーテウスお兄ちゃん……ありがとう」


 テミスちゃんが扉の向こう側に行く。


「沙季、美季のこと頼んだよ」


 私はプロメーテウスさんに頭を下げてテミスちゃんの後を追う。扉の向こう側は下りの螺旋階段が続いていた。テミスちゃんに追いつかなくちゃいけない、だから全力疾走で階段を下った。しかし螺旋階段は思ったより短かくて、出口に着いたところでテミスちゃんと合流した。


「ここを出ると地下地区……テミスちゃん、地下には良く来るの?」

「ううん、こないだ坂城おじさんと下見に来たくらいかな」

「下見?」

「ウルドが使いそうな場所を調べるって言ってて……あの人はヴェルダンディーお姉ちゃんと同じでこうなることを見透かしてたんだ」


 テミスちゃんはそういって外へと出る。私も続いて出口を出る、螺旋階段の上から扉が閉まる音が聞こえた。


1月26日 18時00分


「ふん!!」


 アレースさんがウルドを吹き飛ばした。さっきからウルドの動きを読んで攻撃している、未来予知も使えるのか?


「よそ見してる暇はないですよ」


 ウルドは任せよう、俺はこの人だ。刀を構えて向かいあう。今度は風の能力で隙を作ろう、手順としてはさっきと同じだ。

 まずは、突風を使って一気に近づく! 加速の壁を進行方向に作り、走り出す。風が吹き始め俺をされに加速させる。


「……くっ」


 先生はナイフを取り出し俺に向けてきた。同じ手には乗らないか、でも人間は焦ると同じミスをしてしまうものだ、だから焦らせれば良い。俺は姿勢を低くしてナイフを避けて腰から下を狙う、その狙いは先生のジャンプによって外れた。

 ここからが本命だ。狙いが外れた時の勢いのまま回転する、風を使って自分を浮かせる。

先生は空中にいる、空中で止まるのは至難の技だ。瞬間移動は出来ないだろう、刀を使ってくることは分かってる。

 刀が瞬間移動して先生を守るように現れる、先生はしまったという顔をしている。

 刀同士が当たらないように上手くずらして振り抜く。振り切る前に先生が消えた、辺りを見渡すがいない。遠くに逃げたか、予想が外れた。

 手応えはあった、刃に血もついている。それに戻ってきている感覚もある――俺の能力が戻ってきている。


  



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