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第二話 『予想と会議』

1月28日 13時43分


 善本がいなくなり、先生と二人きりになった。

お互いに黙りこくっていて、微妙な空気になってしまっている。

どうしよう、困ったな。

と、とりあえずお礼を言おう。


「先生、ありがとうございます。」

「いえ。」


 うわ、話が続かない。

授業中は、質問ばかりしてくるのに。


「な、何で俺が危ないって分かったんですか?」

「危ないのは知りませんでした。ただ、あなたを探しに来たんです、見つけたと思ったら、あなたが銃口を向けられているから。」

「そ、そうですか。……せ、先生がさっき言ってた1日がどうとかって何ですか?」

「私は君のことも分かってます。」


 嘘だろ……まさか、タイムスリップがバレたっていうのか!?

あり得ない、カマをかけてるんだな。


「何の事ですか?」

「宝くじで儲けられそうですね、桜庭くん。」

「……!!」


 これは、バレてるな。

理由は分からないが、過去に戻ってることは確実にバレてる。

つまり、善本も俺と同じように何かあるのか?


「とりあえずあなたの事は、置いておきましょう。あの男の事が気になるのでしょう?」

「はい、先生は全部知ってるんですか?」

「いいえ、全部は知りません。」

「じゃあ何を!?」

「彼は……」



1月 28日 16時58分


「終わったぁ~」

「今日、部活無いし遊ばない?」

「いいよ、いいよ行こうぜ!!」


 あちこちから放課後に何をするかとか、部活が面倒だとか会話が聞こえる。

部活をやっていない俺には関係ない。

普通であれば真っ直ぐに家に帰るのだが……今日はそうも行かないようだ。

今日は、放課後に善本を捕まえる予定だ。

先生は捕まえるのは至難の業と言っていたが。


「まさか、こんなことになるなんてな。」


 第二会議室に来てくれとの事だ。

しかも生徒の波から離れちゃいけないと……。

まだ詳しい話は聞かされてない。

けど、指示に従ったほうが良さそうだ。

周りに耳を傾けていると周りの連中は、未だに遊ぶ場所を決めてないようだ。


「俺さ、今日サイフ忘れたから金を使わないとこがいいな。」

「金を使わない遊びって何だよ?」

「う~ん……お前の家は?」

「無理、お前の家は?」

「いいけど、帰るんだったらサイフ持ってどこか行こうぜ!!」

「どこに行くんだよ?」

「う~ん……。」


 金が無いなら遊ぶなよ。

第一に……おっと、そんな会話を聞いてるうちに会議室に着いた。

扉を開けると榊原先生が居た。


「やっと来ましたか。準備はいいですか?」

「はい、大丈夫です。」


 そういえば、歩いてる間に善本が出てきても良かったのに、善本は出てこなかったな。

あいつなら俺がどこに居ても関係ないはずだ。何故なら善本は……


「さぁ、始めましょう。時間を止める事ができる人間の対策会議を!」


 そう、時間を止められるのだ。

だから、急に姿を現すと先生は言っていた。


「先生もしかして、対策会議とか作戦会議とか好きな人でしょう。」

「す、好きではありません、あなたが好きそうだから!」


 ああ、好きなんだな。

それより、このセリフ言う人まだいたんだ。

ホワイトボードに大きく作戦会議と書いてある。


「はいはい。……で、先生が何で俺の能力や善本の能力が分かったんですか?」

「そうですね、そこから始めましょうか。……実はですね、私も能力みたいなものがあるようです。」

「は?」


 一瞬戸惑ったが、つまり先生も何かできるという事か。

なるほど、これなら勝てる気がしてきた。


「私は、何故か時間が戻った事と時間が止まった事を知ってました。ですが、時間が戻る前何をしていたかを覚えている訳ではなく。時間が止まっても止まっている間動けた訳でもない。つまり状況を把握する能力があるようです。」

「……それで?」

「以上です。」


 ……使えねぇ!!

時間が止まったのが後から分かっても今回は仕方がないじゃないか。

期待させるなよ、勝てない気がしてきたじゃないか。


「そうですか、じゃあ先生。善本についての事を。」

「分かりました。1つしかありませんが、あの男には出来ない事があります。」

「出来ない事?」

「恐らく、時間を止めている間は本来は動く物つまり動物に触れられず、動かない道具や置物を動かす事もできない。」


 なるほど、そういうことか。

ずっと気になっていた。

時間を止められるならどうして止めている間に俺を殺さないのか。

出来ないだけなら納得だ。

教室にいる間はドアが閉まっているので入ってこれず、保健室に居る時は扉は開いていた。廊下に居る時は障害物は無い。


「恐らく、触れたら時間は動き出すのだと思います。どうですか桜庭くん?」

「まだ憶測の段階ですが辻褄は合いますね。」


だが、保健室に行った時に感じた違和感がある。

保健の先生が居なかった事だ。


「はい。これを踏まえて作戦を練りましょう。」

「待ってください、1つ気になることがあります。」

「何ですか?」

「保健室に保健の先生が居なかったんですが……。」

「なるほど……いや、恐らくそれは、今回とは関係が無いでしょう。」


いや、おかしい。

何かあるはずだ、先生も見落としている事……まさか!?

いや、可能性としては充分だ。

多分他にもこの学校に……


「失礼します、1年1組の片倉です。榊原先生少しよろしいですか?」

「はい、何ですか? 桜庭くん待っててください。」


 先生が出ていく時、生徒の目がホワイトボードを見て、小さく微笑んでいた。

まさか、あいつ……。


「ちょっと先生が心配だな。」


 扉を開け、会議室から出ると先生が倒れていた。


「先生、大丈夫ですか、一体何が……うっ!?」



目の前が真っ暗になった。





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