表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

第十八話 『三人と歳上』

2月1日 12時45分


 とりあえず沙季さんの家で昼食をいただき、その後に役割分担となった。

作戦は、新田さんをあらかじめ決めておいたポイントに追い詰めていき、誰かが離れた場所から撃つというものだ。


「私が新田くんを撃つわ。」

「ちっ……俺は誘導役かよ。」

「沙季さん……お願いします。」


 俺には無理だ、俺の中に金成の事が引っ掛かってるのは事実だ。

昼食に使うナイフですら怖かったのだから。


「桜庭、俺らは別行動になるからな。」

「え、何で?」

「ふん、馬鹿が。2人同時に動いたら聖条院が別で何かをしてるのがバレるだろ。」

「あ、なるほど。」

「善本の言う通りよ、心くんよろしくね。」

「お前ら、敬語って知ってるか?」


 善本が何か言ってるが無視だ。

相手をしちゃいけないと沙季さんがアイコンタクトを送ってくる。


「聖条院、新田の場所は分かってるのか?」

「新田くんの場所は美季のいる場所よ。美季の未来は把握してるわ。」


 流石だ、抜かりない。

美季さんが中心になってる未来が分かってるのは大きい。


「……とりあえずこの3人は同盟を組んだ仲間よ。連絡を取り合うためにトランシーバーを渡すわ。」

「よろしくお願いします。」

「ふん、これっきりだ。」


2月1日 13時30分


 今、私はビルの屋上にしゃがんでいる。

心くん達がいるのは目の前の駅ビルだ、誘導する場所は駅ビルとショッピングモールを結ぶ橋の中間にある広場だ。


「心くん、こっちは準備できたわ。そっちはどう?」


 私の見えてる未来だとまだ心くんは誰とも接触していない筈。

念には念をというやつだ。


「2人は見当たりません。」

「そう、大丈夫よ。あと5分で新田くんと接触する事になるわ。」

「身構えといた方が良いですか?」

「うん、お願い。まわりの人は全員敵だと思って。心くん……気を付けてね。」


 心くんは、今日は死なないと未来は示している。

だけど、能力者がたくさん集まり過ぎ……まず、この後の未来はコロコロ変わる。


「お、やっと繋がった。おい聖条院!俺だけ周波数合わせてねぇじゃねぇか。」

「ちっ……早かったわね。じゃあ、随時状況報告頼むわね。私は美季の未来に集中するから2人の未来は報告してくれないと新しくならないわ。」

「了解です。」

「ああ、ハナからお前の力に期待してない。」


 美季の能力によって1人の一般人が違う動きをしただけで未来が大きく変わってしまうことがある。

 坂城さんは、バタフライエフェクトについての論文を書いていたような……機会があったら聞いてみよう。


「善本だ、何やら人混みが出来てる。」

「注意して、美季の能力かも知れないわ。」


 未来が更新された、善本が死ぬ。

人混みを抜けた先で撃たれるらしい。

彼が居ないと私達は不利……止めないといけない。


「善本、人混みに近づかずに回り道して!」

「了解。」


 ……あっ!

未来が大きく変わった。

善本が死ななくなったが、彼が先に新田くんに接触するらしい。

 だけど新田くんを都合良く誘導できる筈がない……だから私はもう1つプランを立てておいた。

さぁ、出てくるかな?


2月1日 13時40分


 沙季さんの言った通りに事が進んでない。

ということは、未来が変わってるらしい。

新田さんは現れなかった、変わりに一般の人が列を作って四方八方を見ている。


「善本だ。新田を発見した、威嚇の発砲と誘導を開始する。」

「了解、頼むわね。」

「了解。沙季さん、僕の未来はどうなってますか?」

「心くんは、何事もない筈だけど……どうかしたの?」

「一般人が通路を見張ってます。」

「ちょっと待ってね……心くんっ!今すぐ逃げて!」

「え?あ、はいっ!」


 物陰から出て、階段を降りる……ここは2階だ。

その時、爆音と共に3階が崩れてきた。


「うわっ!」

「心くん、走って!」

「は、は、はいはいっ!」

「善本、2階の中央広場の心くんを救出して!」

「俺には無理だ。」

「あー……使えないわね!心くん、何かない!?」


 おいおい、善本頼むよー!

俺の足と体力が持たないよ、中央広場まで行けるのか?


「心くん、何をしたのか分からないけど、未来ではあなたは助かってるわ!」

「えぇ!?……考えことなんか、無理っすよ!」


 考えろ、考えろ、考えろ!

早く向こうに行く方法……3階の爆発が何とかなれば!

早く行く……自分を早く……周りを遅く……あっ!金成の能力!

一発勝負だ!


「遅くなれぇぇぇ!」


 爆発がスローモーションになった。瓦礫もゆっくり降ってくる……成功だ!


「おい、桜庭か!?俺にも変な影響が出てるぞ!」


 善本のテンションがやたらと高い……気持ち悪い。

アイツ上の階で何してんだよ!


「制御が難しいんだよ!」

「いつ、そんな能力を手に入れたんだ。」

「うるせぇよ、黙ってろ!あー、沙季さん、もうすぐ中央広場をこえて中間の橋です!」

「分かった、心くんはそこから離れないで!」


 3階の爆発が止んだ。

間に合った……はぁ。

辛いな、ちゃんと部活に入っておけば良かった。

後は頼んだよ、善本。


2月1日13時39分


 聖条院の言っていた通りに回り道をしていると、見覚えのある人影が見えた。

ターゲットだ、悪いが消えて貰うぞ。


「 善本だ。新田を発見した、威嚇の発砲と誘導を開始する。…… おい、新田。」

「うわ、善本さん!?」


 反応がむかつく。

時間を止める、時間が止まっている間はなるべく素早く行動する。

なので走って新田の後ろに回る。


「終わりだ。」

「うくっ……!」


 本気で狙ってるフリをして、わざと外す。

新田は走って逃げていく……醜い姿だな……さて、真っ直ぐ誘導すれば橋に着く。

ふん、誘導なんか楽勝だな。

その時、爆発音が階下で響いた。

何だ、桜庭がドジを踏んだか?

さっきから連続で爆発しているが、俺には関係ない。


「はははっ!逃げろ新田!」

「 善本、2階の中央広場の心くんを救出して! 」

「俺には無理だ。」


 ちっ、うるさい奴だな。せっかく良いところなんだ。

人の楽しみを邪魔するな……トランシーバーの電源切るか。


「 あー……使えないわね!心くん、何か、ブチッ! 」

「これで静かだな。俺から逃げられると思ってるのか?おい新田!」


 もう一度、銃をわざと外す。

人が逃げているのを追うのは楽しい、楽しい、楽しい。

一発ぐらい食らわせてやりたい。


「おい新田!普通に逃げるだけか……つまらない奴だな。は!?」


 体の自由が効かない……違うな。

俺だけじゃない、空間の時間の流れが遅くなったんだ。

新田も同じようだ……ということは桜庭か。


「おい、桜庭か!?俺にも変な影響が出てるぞ!」

「 制御が難しいんだよ!」

「いつ、そんな能力を手に入れたんだ。」

「うるせぇよ、黙ってろ!あー、沙季さん、もうすぐ中央広場をこえて中間の橋です!」


 クソガキ、それが歳上に対する口の聞き方か。

この能力、おそらく金成のものだろう。

金成が死んだというのは聞いたが……まさか桜庭が殺ったとはな。


「分かった、心くんはそこから離れないで!」


 ふん、動けるのは俺だけという事か……。

まぁ、見てろ。

生意気なガキに、歳上の力って奴を見せてやる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ