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第十七話 『遭遇と作戦』

1月31日 22時32分


 俺は過去に戻った。

榊原先生との電話は繋がったが、榊原先生が行方不明になるという事実は変わらなかった。


「電話した時は元気そうだったのにな……。ウルドが来るまでの間に何があったんだろう?」


 そして、沙季さんのメールアドレスはしっかりとゲットしておいた。

それだけではない、沙季さんとは1つ約束事を決めておいた。

それは、俺が過去に戻ってきたら必ず「ダイヤと炭は紙一重」と言って未来を見てきた事を伝えるという約束事だ。


「はぁ……さっぱりした!心、寝るのかい?」


 ウルドが風呂から戻ってきた。

こいつと関わると考えがバレるから、ささっと沙季さんにメールして寝るか……。


「ああ、寝るよ。おやすみー。」

「おやすみ。」


 とりあえず、沙季さんには明日の10時に沙季さんの家に行くという旨を伝えておこう。


「あー、疲れた……。」


2月1日 7時50分


「はぁ……よく寝れなかった。」


 まさかここまできついとは思っていなかった。

夢に金成が出てきた、夢の中で襲ってくる……恨まれてるんだろうか?

人を殺めるというのはこういう事なのか?

この夢も含めて、しっかり背負って生きなきゃいけない。

生きるのは最大の償いで恩返しだ、と昔に誰かが言っていた。


「心、先に行ってるね。待ち合わせに遅刻したらダメだよ。」

「何で……お前が知ってるんだよっ!」


 適当に着替えて、朝食を摂らずに外に出る。

武器の入ったバッグを受け取り、適当に身につける。

朝の間は、あまり参加者に会わないと最近学んだ。沙季さんの家に着いたら何の話から始めれば良いのだろう。


「おい、桜庭。」

「っ!?善本」

「やはり、ここのホテルか。」

「何でいるんだよ!?」


 いや、そんな事は分かってる。

俺を殺しに来たに違いない、逃げなきゃ、逃げなきゃ。


「お前に話があってな。」

「へ?話……。」

「話 、だ。お前の事だ、どうせ殺しに来たと思ったんだろ?自意識過剰なガキだな。お前などいつでも殺せる。」

「お前にとっては、殺すってそんな軽い事なのか。」

「ふん、なかなか面白い事を言うな。俺は殺すことについて何も考えていない、とりあえず歩きながら会話だ。あの女、聖条院の家に向かうんだろ?」

「……。」


 何も考えていない……か。

もう慣れてるのか、一度も人を殺めた事が無いのか。

俺を刺した時は、楽しそうだったが……。


「今は、お前を殺す気はない。だから口を開け。」


 敵意は感じない。

けど、信用ならない……俺はこいつに一度刺されている。


「何が目的だ。俺と何の話がしたいんだ?」

「一時的な同盟を組め。」

「何でだよ。お前は俺を殺して俺の能力を手に入れたいんだろ?なら同盟を組む意味なんか無いだろ。」

「そう、だが新しい目的が出来た。お前を殺すのはその後だ。」

「目的?」

「ああ、内容は聖条院の家で分かる。あの姉妹はなかなか面倒くさいな、なるべく関わりたくない。」


 善本が苦手意識を持つとは……小早川と同じだ。

さすがは、聖条院姉妹だ。

妹さんの方が少し話しにくかった。


「お、心くん。」

「沙季さん!」

「ちっ……、何でいるんだよ。」

「うるさいわね、善本だっけ?黙ってなさいよ。さもないと……。」

「分かった。それだけは止めろ。」


 善本の弱味を握ってるのか?

それはかなり有利だけど危険な話だな……。

善本が狙うのが俺から沙季さんになりかねない。

そんなこんなで、沙季さんの家に到着だ。


「心くん、アイツ……美季がいるから気をつけてね?」

「は、はい?」


 気をつける……一体何に気をつければ良いのだろう?

美季さんに気をつける要素は無かった筈だ。


「あ、お姉ちゃん……と桜庭くんっ!」

「……どうもです。」

「いらっしゃーい、あっ……善本さんも居たんですね。」

「黙れ、昨日あんなセリフを吐いといて良くそんなことが言えるな。」

「ふんっ!」

「くっ……図に乗るな。」


 美季さんがフレンドリーだからだろうか……善本が仲良さそうに話しているように見える。


「多分、そうだよ。桜庭くん。」

「え……えっと、に、新田さん?」

「お、良く覚えてたね。」


 衝撃の登場があったので忘れない、何て言ったってカップルが急に現れたのだから。


「いやいや、カップルじゃないんだよ。」

「は?今何て?」

「翔有!待ってたよー!」

「美季!」


 なんか、イチャイチャしてる。

いやいや、そんなことより!

今、俺の心を読んだような……?

カップルじゃない?

どう見てもカップルだろ。


「心くん、こっちこっち。」


 沙季さんに呼ばれるがままに、沙季さんの部屋に入ると、すぐに善本が扉を開けて入ってきた。


「さて、聖条院。話があるんだろ。早く言え。」

「あんたに喋っていい権利は無いの。黙ってなさい。」

「沙季さん、俺も気になります!」

「うーん、分かったわ。まず、心くん……ウルドという男を信頼しないで。」

「ウ、ウルド……ですか?」


 何でだ?

確かにアイツは先生の件について事実を全て話してはくれない。

それだけの理由で……か?


「沙季さん、理由……は?」

「まず、ウルド以外の主催者側の人がその事件を知らなかった。つまり彼が犯人という事もあり得るの。仮に犯人じゃないとしても何か企んでいると考えるのが妥当よ。」


 沙季さんは、真剣な顔つきだ。

嘘を言っているとは思えない、言っている事は筋が通っている。

善本は、さっきから微笑しながら俺を見てくる、気持ち悪い。

俺が悩んでいるのを面白がってるんだろう。


「分かりました、とりあえず信じます。けど、まだ続きがあるんですよね?」

「あるわ、私の目的は事件の真実を知ることよ。このサバイバルの裏で何かを企んでいる奴がいるなんて気分が悪いわ……だから、手伝って。」

「組織の奴と戦うのか、面白そうだ。」

「……。」


 善本の同盟は、このことか……。けど3人でウルドに勝てるだろうか。


「ということで、今日私達はウルドを捕まえる作戦を練るのよ。」

「捕まえる……つまり、命までは狙わないんですね?」

「そうよ、殺したって意味ないもの。でも、目的が凶悪なら殺すわよ?心の準備はしなさい。」

「……はい。」

「私の考えた作戦を言うわね。質問があれば、答えるわ。」


 沙季さんの言葉に善本と俺は頷く。

この1日で善本を丸め込み、作戦を立てている……流石だ。

この差は大きい、俺は現状報告で満足しようとしていたくらいだ。


「今日または明日に、新田翔有を殺して彼の能力を手に入れるわ。彼が同盟を組んでくれれば良かったけど、拒まれたわ。」

「彼の能力が何なのか分かってるんですか!?」

「うん、分かってるわ。彼の能力は……」


 沙季さんが口を開こうとした時、勢い良く扉が開いた。


「読心の能力だよ!」

「美季、何でいるの!?」

「翔有、一回帰るって。暇だから参加させてー。」

「あなた、事実上は敵じゃない。」

「敵なんですか!?」


 沙季さんがシラっと実の妹を敵にまわしたので、大声を出してしまった……いけない、いけない。


「桜庭くん、お姉ちゃんじゃなくて私と手を組まない?」

「え……いや、僕はいいです。」

「そう、ざーんねんっ。んー、じゃっ!またね。」


 美季さんはあっさりと部屋を去っていった。

俺が美季さんが去ってボーッとしていると、沙季さんがコホンと咳払いをした。


「美季の言った通り、読心の能力よ。」

「心を読む能力ですよね?」

「そう、心を読む。相手の考えが分かるの。」


 考えが分かる、ウルドのアレだ。

俺はその能力を毎日体験している……嫌な能力だ。

いや、待てよ……?


「沙季さん、話が変わるんですけど……美季さんが敵って事は新田さんの味方なんですよね?でも、新田さんは美季さんと付き合って無いって言ってましたよ。」

「そうよ、彼らは付き合ってないわ。美季の新田くんに対しての一方的な恋愛感情よ、それも歪んだ。」

「歪んだ?」


 歪んだって、どういう事だろう。

歪んだ、歪曲……。


「アレだ、桜庭。若い奴の言葉で言うならヤンデレって奴だろ。」

「うわ、キモ!」

「気持ち悪い……。」


 今日分かった、善本って気持ち悪いな!

ヤンデレとか言い出しちゃったよ……沙季さんも俺の後に続いたという事は同じ意見だろう。


「まぁ、この人の発言は置いといて……もう分かっただろうけど、今回の作戦の問題は聖条院美季よ。」


 それは、ただ単に沙季さんが手加減をしているからだろうか。

それとも……。


「厄介なのは彼女の能力よ。」


 ……やっぱり、そうだったか。

出来れば前者であって欲しかった。

そんなことは、気にしちゃいけない。


「沙季さん、美季さんの能力はどんな能力何ですか?」

「心くん、気づいてなかったの!?」

「はい、気づくも何も無いじゃないですか。」


 美季さんの能力に目にする機会など無かったのだから、当然だ。

ここでは沙季さんしか知らないと考えるのが普通だ。


「……そう、しょうがないか。えっとね、美季の能力は人を操る能力よ。」


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