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第十五話 『精神と緊急』

1月31日 18時52分


 あれから、家に戻るのをやめて通りをフラフラと歩いている。

実は、心くんが昨日の会議という名の雑談で言っていた瞬間移動っぽい二人組の接近を避けているからだ。

心くんの調子が段々と直ってきているのに、また戦わせては今度は精神科行きである。

私たちが未来から逃げているので、未来が著しく変化していく。

未来の変化……いわゆる、更新である。


「そういえば……沙季さん。」

「何?哲学的質問は禁止よー。」

「何で、爆弾の威力を足に負傷を負わせるだけの規模にしたんですか?あ、別に沙季さんにどうして欲しかったとかでは……。」

「……あなたは、人を生き返らせる事ができるから。」

「え?それってどういう……。」

「例えば私が死んだとして、その時に心くんが過去に戻る。そうすると心くんからすれば私は生き返ってるでしょ?」

「……いや、そうですけど。それと関係が?」

「だからー、君が死んだら意味ないじゃない。」

「……。」


 心くんが黙っちゃった。

あー、やっぱり死ぬとか使ったらまずかったかな……?

うーん、どうしよう。


「沙季さん。」

「ん?」

「なんか、気をつかってもらっちゃってますね。ありがとうございます。」

「……いいよ、気にしないで。あっ、左に曲がろう。」


 しつこいなー、多分善本って人だけど。

時間を止めるって心くんは言ってたけど、そのせいで更新した情報が入ってくるのがギリギリのタイミングだ。

目の前に現れたらアウトだ。


「あの二人……まだ、この辺に居るんですか?」

「そうみたい。心くんは、あの二人とは一度対峙してるのよね。なら対策とか見つかった?」

「まったく、見つかってません。小早川の能力については乗り物で攻撃してる……くらいしかほとんど分かりませんよ。」

「そっか、難しいわね。」


 1度だけで分かったら、それは化け物だ。

だから、心くんの先生……榊原さんには警戒している。

おっと……あれ?


「おい、桜庭……と聖条院沙季だったか。」


 不幸な事に善本が目の前に現れてしまった。


1月31日 19時22分


「そっか、難しいわね。」


 そう、難しい問題だ。

この問題は、答えの決まっていない国語の問題ではなく決まっている数学だ。

正解は1つ、見直しが間違う可能性もある。

榊原先生は答えを1回で導きだした、まだ答えと決まった訳じゃないが筋が通っている答えだ。

数学の答えで言うなら、式が合っている。


「おい、桜庭……と聖条院沙季だったか。」


 うわ、善本!?

沙季さんの未来予知がハズレたのか……いや、それはない。


「心くん、事情は後で説明するわね。いい?」

「はい。」


 すると沙季さんは足に付いてるトランシーバーを指差して、1、2、3とリズムをとった。

これは、3、2、1、Go……だろう。


「桜庭、目上に対して挨拶すら無しか?」

「こんにちは。」


 さりげなく、イヤホンを耳につけ、足に付いてるトランシーバーのスイッチを押す。


「最近のガキは礼儀を知らない奴ばかりだ。ちっ……来やがった。」

「善本さん……と桜庭さーん!探しましたよ!」


 うっ、小早川まで来たよ。

挟まれた、逃げ場が無い。

金成のことで疲れてるのにな……本当に疲れてる。


「心くん、ナイフは小さい方ね。」

「……はい。」


 ち、小さい方?ナイフは一本しかないから大きいも小さいも無い。


「……コツ……。」


 小早川と善本の身長は……あ、あんまり変わらないな。


「……コツ……。」


 小早川?小早川……小!?

よ、よし!きっと小早川だ。


「……コツ。」


 ダッシュ!

実は最近スタートダッシュに自信が沸いて来たのだ。

小早川は、笑ってナイフを構えだした……っと!善本が瞬間移動してきた、ナイフを手に持っている。

でも狙いは小早川みたいだ、ラッキー!

善本がナイフを降り下ろすタイミングに銃を撃とう……撃てるか?


「心くん、次は私が撃つわ。」

「お願いしますっ、沙季さん!」


 いつ取り出したのか拳銃を構えていた。

そして、乾いた音が鳴り響いた……が次に聞こえたのは血の音ではなく、金属音だった。


「ウルド!?」

「桜庭のパートナー!?」

「桜庭さんの……。」

「心くんの!?」


 視界に入ったのは善本と小早川の間に立っているウルドだった。

右手の指で銃弾をキャッチして左手に持ったナイフで善本のナイフを防ぎ、小早川を守っていた。

人間の業じゃないことは度々あるが……何故、小早川を守っている!?


「熱いっ!あーあ、右手は僕の利き手だよ。使えなくなったらどうするんだい?」

「そんなことはどうでもいいよ。何でウルドが居るんだよ!」

「あ、そうだ。緊急事態が発生した、直ちにホテルに戻ること。能力は使わないで戻ってくれ。」

「ふん。しょうがないか。」

「そうですか、分かりました。」

「なんだか良く分からないけど……心くんは、どうするの?」


 善本も小早川も、何故かあっさりと退いてくれた。

主催者直々にやってくるような緊急事態ならしょうがないか。

でも、一体何が……。


「なぁ、ウルド。何が起こってるんだ?」


 ウルドは少しの間うつむいて考え事をしていたが、正面を向いて口を開いた。


「榊原香が行方不明だ。」




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