第十二話 『同盟と予感』
1月30日17時20分
やっと見つけた。
歩き続けて1時間、ついに沙季さんを見つけた。
ランチ食べ歩きの日の最後から2番目の店に居た。
「沙季さん。」
「……心くん、どうしたの?」
やっぱり後ろに目があるのだろうか?
一度も俺を見ずに俺と判断するなんて……能力か。
ここでゆっくりしてるということは、沙季さんは戦わないのか?
それとも、何かの作戦か?
「心くん、そんなとこに立ってないで座って。」
「あ、すいません。」
俺には狙われないと思ってるのだろうか。
俺は沙季さんと話をしに来たんだ、戦うつもりは無い……と思う。
「私に何か用?」
「いや、話したいなと思って。」
「……そう、何かしら。」
「僕と手を組みませんか?」
「魅力的な提案ね、私も手を組みたかったとこよ。でもどうして心くんは手を組もうと思ったの?」
「それはですね、僕の能力では敵に勝てそうに無いみたいで。沙季さんの力を借りようかと。」
「ふふっ……。」
「な、何ですか?」
「ゴメンゴメン、私と理由が同じだったから……つい笑っちゃった。」
「沙季さんも?」
「うん、それでも手を組む?」
沙季さんの能力にも殺傷に使える特徴が無いって事か。
でも能力によって組み合わせることができるかも知れない。
「……はい、手を組みましょう。数学ではマイナス×マイナスはプラスですからね。」
「分かったわ、手を組みましょう。それに心くんの能力気になるし、まずは互いに自分の能力の開示と説明をしましょう。」
「分かりました。まずは俺からしますね……俺の能力は過去に戻る能力です。」
「なるほど、過去に戻る……ね。色々と合点がいったわ。」
「え?」
「心くんと最初に会った時のこと……いや、先に能力の話ね。私の能力は未来予知よ。」
「未来予知って、よく本に出てくる未来予知?」
「そうよ、私が知りたい時にこれから起こることを予知するの。そうね……だいたい1日先くらいまでの起こることが分かるわ。」
「それって、誰々が何するとかも分かるんですか?」
「分かるわ、でも私以外の個人の未来予知は時間がかかるの。それに条件があってね……私の視界に入ってるか、名前、居住地、年齢、体重、身長、その他諸々の個人情報3つ以上が分かってれば予知できるみたい。」
なるほど、俺が逃げ出す事が分かった訳だ。
でも、待てよ……俺は能力を使って一度だけ沙季さんから逃げだせてる。
その後、過去に戻ったから沙季さんは覚えて無いけれど。
「私の能力は未来の出来事が分かるから、未来を変えることができるの。……でも天敵がいたわ。」
「天敵!?誰ですか?」
「君よ、心くん。」
「えっ、僕ですか?」
「そう君よ。話を戻すわね……私と最初に会った時のこと覚えてる?」
「ショッピングモールで会った時のことですか?あの時は、大変でしたよ 。」
「最初に会った時は、心くんの未来はショッピングモールで起きるバスの事故で死亡するとなっていたの。でも、私がショッピングモールから出た後……気づいた時にはショッピングモールで起きる事故はバスとジェット機の事故に変わったの。」
なるほど、確かに過去に戻らなかったら俺はバスに轢かれて小早川がジェット機に何かをすることも無かったな。
つまり、俺の能力は過去を変えることによって未来を変えてるのか。
「つまり、私が避けたはずの未来を過去から避けてないことにする。これは私にとって最悪な能力よ。」
「……。」
「だから、手を組むわ。天敵が味方なら別に気にする必要もないからね。」
沙季さんは無条件で俺を信頼してくれている。
だったら、俺も信頼しないといけないか……。
「よろしくお願いします。」
「はい、よろしく。それで?」
「へ?いや、これからのことは今から決めましょうよ。」
「情けないわねー、考えてきなさいよ……分かったわ。会議を始めましょう、勝つための。」
1月30日 20時52分
あれから会議と雑談、つまり脱線を繰り返し明日の予定が決まった。
まず、朝の待ち合わせが8時50分に聖条院宅に集合して簡単な打ち合わせの後に金成を捜索する。
何故、金成なのか……沙季さん曰く、今のところ殺傷能力があると知っていて比較的倒しやすそうなのが金成なんだそうだ。
「心、お帰り。」
この声は……ウルドだ。
隣に誰かがいた気がしたが気のせいだろうか。
「いや、分身くらいできるって。」
「心を読むな。そんなことより、お前がホテルの外にいるなんて珍しいな。」
「僕も出掛けててね。今、帰ってきたところだよ。」
「ちゃんと仕事してたのかよ。」
「心外だなー、心みたいに逃げ回らずにちゃんと働いたよ?」
「一言多いんだよ。」
「 "The only man who never makes a mistake is the man who never does anything."って言葉、知ってる?」
「知らねぇよ。俺は英語が苦手なんだよ。」
「ダメだなー……まぁ、いっか帰ろう。」
「ああ、もう寝たい。」
「相変わらずだね、君は。」
「まだ短い付き合いなのに何言ってんだ。」
「それもそうだね、ははっ!」
ホテルにつくまでウルドが爆笑してるのは置いといて、嫌な予感がする。
また、階段で?……ウルドがいるから大丈夫だろう。
明日、何か始まる気がする……気がするだけならいいけど。




