第十話 『参加者と相棒達』
1月30日 12時00分
あれ、ここはどこだ?
ウルドが8時50分まで部屋に居ろって言ったから、おとなしくしてたのに。
何で昼まで待たされた挙げ句、こんな会議室みたいな場所に瞬間移動させられなきゃいけないんだ。
ん?……会議室、会議……あっ!
「うわっ、なになに?」
「サキさん!?」
サキさんが、俺の正面の席にいきなり現れた。
よく見ると席は、八角形に並べられている机に対して8個置いてある。
俺を入れて8人来るのか……。
「心くん!?何でいるの?」
「僕は、瞬間移動させられました。」
「あ、私も。スクルド……あ、私のパートナーね、が待ってろって言ってさ。」
「待ってたらここに……ですよね?」
「そうそう。もしかして心くん相手の心を読む能力なのかしら?」
「違いますよ。僕と状況が全く一緒だったから。」
「なーんだ、つまらないなぁ。」
「痛っ!」
「うっ…。」
「あ、善本と…小早川。」
「おう、桜庭。」
「桜庭さん、こんにちは。あなたも飛ばされましたか?」
「ああ、そうだよ。」
何だよ、この組み合わせ。
何か痛そうだったし、頼むからここで殺し合いを始めないでくれよな。
「それにしても、意外な場所に集まることになりましたね。」
「口を開くなクソガキ。」
「おー、怖い怖い。善本のおじさんは短気ですね。」
「いちいち一言多いんだよお前は!桜庭には優しくしやがって。」
「優しくして欲しいんですか?」
「ちげぇよ。ただ差別みたいな真似はイラッとするんだよ。」
「ふむ、ここか。なるほど秘密裏に会議を行うにはうってつけだな。」
また人が現れた、1万円札のおじさんだ。
あの人も、この場所に飛ばされたのかな。
まぁ、あの時から参加者風だったから当然か。
お金のお礼を言った方が良いのかな?
「あ、あの……この前はどうもありがとうございました。」
「あの少年か……まぁ気にするな。金など大した問題ではない、それにどうやらお前は勘づいているようだしな。」
「……?」
はい?何の事だろうか。
何か勘違いしているよな……昨日の女の人といい、この人も。
皆に買い被られてるなんて、本当に最悪だよ。
多分、いや絶対にこのメンバーの中で最弱だよ。
「それに、お前と一緒にいた…そこの女の洞察力も侮れんしな。」
サキさん。あの時この人に会った時一言も喋らなかった。
「あの、忘れてたんですけどあなたの…」
「おっと!ははは!何コレ?みんな集合的な?」
何か来た、いや誰か来た。
また1人、今度は知らない男だったが彼もまた飛ばされたのだろう。
「何でシリアスムードになってんの?静か過ぎんだけどー、もっと明るく行こうぜ!」
うるさい、うるさい、うるさい。
俺、こういう人嫌いなんだよ。
皆は平気なのか?小早川は平気そうだけど…他の人イライラしてる気がする。
「お兄さん、面白い人ですね。」
「おっ!分かってるじゃねぇか、お前。やっぱ、こういうノリが良いよなっ?」
「こういうの大嫌いです。さっさと消えてください。」
「あ?」
あーあ、小早川ってこういうタイプだったけ。
この2人相性最悪だな。
残るは2席……榊原先生は来るのだろうか、特別な役割だから来ないかもしれないな。
「きゃっ!」
「うわぁ!……大丈夫かミキ?」
「だ、大丈夫大丈夫。シュウは大丈夫?」
「大丈夫だよ。こ、こんな瞬間移動じゃ物足りないね。」
「ちょっと、あんた!」
「サキさん?どうしたんですか?」
「何でもない、ごめん。」
サキさんがいきなり大声を出すなんて、一体どうしたんだろうか。
カップル風の男女が、飛ばされてきたということは、榊原先生は来ないのか。
「これで、全員ですね。うるさいお兄さんはともかく、皆さんここがどこか把握してますか?」
「おいっ、テメェ!」
「ここはアンダーだろ。」
「ほう、一般人はアンダーと呼んでいるのか?」
善本と1万円のおじさんが、何か言ってる。アンダー……2人とも何言ってるんだ?
もしかして、地下の事か?
え、ここ地下なの!?
「流石ですね、2人とも。どっかのうるさいのとは大違いだ。」
「おい、いい加減にしろよ!?」
あー、あの人今にも殴りそうだな……善本より相性悪いな。
やめてくれよ、こんなとこケンカしないでよ。
「やめなよ、楓。あまり人を怒らせるのは良くないよ。」
「カストル……いつから居たんだ。」
「今、来たんだよ。皆とね!」
カストルという男が、話終わると各メンバーの後ろにパートナーらしき人が現れた。
顔と身長、髪型以外が全く同じである。
すると、机の8角形の中央にもう1人現れた。
「始ましょうか、会議を。」
中央の男がそう言うと、参加者のとなりに椅子が1つずつ増えて各席にパートナーらしき人が座った。
もちろん、俺の隣はウルドである。
そして、俺に飛んできたのはナイフだった。
ちょっと!過去に……
1月30日 13時59分
「今、来たんだよ。皆とね!」
よし、ナイフが飛んでくるのは、中央の人が会議の開始を宣言するのと同時だ。
「始めましょうか、会議を。」
椅子が出てきて……ウルドが座った……来た!
これなら分かっていれば余裕で避けられる。
「ふふふ、やはり皆優秀ですね。こうでなくてはつまらない。」
他の参加者にもナイフが投げてあった様で、1本だけがうるさい男の上の天井に刺さっていて、7本は俺を含む他の参加者の後ろの壁に刺さっている。
参加者の中で顔色を変えている者はいなかった。




