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知恵の木の森の中で  作者: 竜丸
10年 11月
11/17

地下鉄、道路、歩道橋、上空 立体交錯点 (2)

     4


 窓の小さな部屋。大きいとは言えないが、一つの机と来客用のソファーと小さな台だけを置いておくには広い。数も少なく、換気をする時には全部開けても、部屋の中で濁った空気を出すのに時間が掛かりそうだ。

 浅く、自分の足で立っていると言ってもおかしくないほど椅子に尻を乗せていない男の前で平均身長よりも小さ目な男が頭を下げた。下を向いた拍子に、定規で測ると四十五度になりそうなほど倒したので危うく眼鏡が落ちそうになったが、大きな鷲鼻が受け止めた。

 頭を下げるという行為の後に続く言葉は誰でも想像がつく。ほとんどの人類が思いつく、国の謝罪言葉を述べた。

 力関係はこの構図で分かるように椅子に座っている男の方が上。だが年齢になると別。頭を下げた男の方が上に感じるのは、彼が老け顔だからだろうか、それとも本当に上なのか。

 どこの会社でもそうだが、特に警察組織では年上の部下は当たり前のようにいる。キャリアとノンキャリアと言われる、実力ではなく学力主義の最たる例だ。それが悪いとは一概に言えないが、いい場合の方が少ない。警察官などは、知識よりも経験なのだから。

 教科書に乗せて一番いい謝罪の角度ですと紹介されてもいい姿勢のままでいた男に、椅子に座ったまま声を掛ける。

「警視、君の方が立場が上なんだ。どこぞの誰かと同じように、昇任を拒み続けているだけの人間に気を使う必要はない。もう三度目だ、よろしく頼むよ」

 謝罪の姿勢から体を戻して、微笑みが混じりながらも引き締まった表情で分かりましたと返事をして反転する。早くも遅くもない歩みで出口の前に立ち、もう一度頭を下げて部屋を出た。「申し訳ありませんでした」

 閉まる扉。目の中では閉まったと認識しても、音が聞こえて初めて表情を椅子の上で緩めた。浅く腰掛けていたが、深く座り直して大きく息を吐く。

 注意を促す立場とそれを受け止める立場という違いがありながら、緊張していたのは上の立場であるはずの椅子に座っていた男の方だった。

 先程吐いた息では出し切れず、体の中に残っている嫌な空気を全て出そうと、大きく深呼吸をして先程よりも深く溜息を吐いた。

 呼吸のテンポを平常に戻してやっと落ち着いた。一度ゆっくりと目を閉じて、謝罪していた男の影も残っていない出口に目を向ける。何とも恨めしそうに、憎らしそうに。

「嫌な男だ。自分に対しての嫌味を言われているのに、表情一つ変えやしない。もっと上に、あんな男など踏みつぶせるぐらい上に行かないと、いつか、いつか私が踏みつぶされる。そう、もっと上に」


 少し大きな身長と、小柄な女性二人が並んで歩く。二人とも大きな袋を抱えて、周りとは明らかに違う速度で進んでいる。皆が皆、速足ではなかったが、ゆっくりと動いている者は少ない。

 制服姿とスーツの人間ばかりがいるここは、警視庁の千代田庁舎。テレビドラマや映画などで東京の警察が舞台になるとほとんどの場合映る、三角柱のあの建物だ。

 この中を、足の長さがよくわかる制服姿の大きな女性と、クリーム色に近いスーツを着ている女性が楽しそうに会話をしていた。

 全ての人が事件に係わっているわけではないが、なぜだか忙しそうに見えるこの空間で、呑気に喋っている姿は正直、違和感の塊でしかない。制服を着ている女性は、このまま街に出ても女性警官がいるな、くらいの反応になる。もう一人の小さな女性がこの姿で歩いていたなら、就活中の女子大生かなと思われることが大半だ。まさかここ、警視庁が仕事場だと聞いても、笑って流される。

 警察の総本山のような場所だ。普通なら入るだけで緊張するが、そんな様子もないので一か月や二ヶ月でもないのだろう。まあ、大きな袋から透けているのが主にお菓子類なので、緊張なんて微塵もないが。

 人の流れとは逆行するように二人が廊下を曲がると、丁度一人の男と顔を合わせた。楽しそうに喋っていた口を止めて二人して頭を下げた。制服姿の女性はきっちりと、目上の人に対する態度だったが、もう一人は身長同様幼い態度を取った。口にお菓子を咥えて、一二度頭を倒しただけの挨拶。

 四十過ぎに感じる男は、嫌な顔一つせず、微笑みを湛えたままおはようと返した。

「何で警視がこんな時間にいるんですか?」

 見た目が幼いから声も幼いだろうと思っていたが、想像通りあまり声帯が使われてないような若い声をしている。

 警視と呼ばれた男、篠田光太郎は微笑みながら二人と同じ方向に歩く。

「上から呼び出されて怒られていた」

 女性二人は驚いた顔をした。顔を見合せた時の表情には多少、ではなく大きな違いがあった。制服姿の女性は素直に驚きを表現していたが、幼い感じの女性は驚きの後すぐに、企みがあるような嫌らしい顔になった。

 怒られた。上司に注意をされたと聞かされた時、相手がとる行動で互いの人間性を知る事が出来る。心底心配してくれる人は間違いなく良い人だ。善人と言っていい。普通、心配そうな態度をとっても、内心が違ったりする。話された相手が素直に驚いた場合。これも単純で、怒られた人間が不用意な行動をとると思われていないとこういう反応になる。制服姿の女性は、篠田が怒られるような人間ではないと思っていたので、感情に素直に反応してみせた。

 だがもう一人の取った行動は違う。幼く見える女性は脇腹でも突っつくように目を細めた。出てきた言葉も、「警視、何か悪い事したんですか」と、篠田が何かしたと思っている。

 確かに平、警察官で言うなら巡査や巡査部長なら本人が怒られたと思っても妥当だが、警視になると部下の数も多く、本人が怒られたとすぐに持っていく人はそういない。はずなのだが、この子はすぐにそこに持っていった。目上であり、階級も上だろうにこの態度は如何なものかと感じるが、本人、篠田はまったく気にしていない。これが普通だから、何も感じないのだ。この子の性格は、見た目通りに幼い。だから慣れてしまっている。

 言葉には出さないが大人な態度をとる。

「紙谷警部が他国でトラブルを起こしたらしい」

 怒られるとは思っていなかった制服の女性は納得した表情を作ったが幼い女性は顔が固まった。足は動いていたが、瞳は明後日の方を向く。単純な、本当に幼い感じがする対応だ。碌に隠せもしていない。

「文香君が連れて帰ってきた、あのコップを火炎放射器に変える恵種が、そのトラブルの原因だったようだ」

 先程の対応の仕方を大人だと言ったが、確かに合っていた。嫌味の方法も大人の世界で使われる手法。自分が先ほどやられたよりは直接的だが、後回しにした分性質が悪い。

 幼さが前面に出ている女性、野原のはら 文香ふみかに上手く切り返せる要素はない。依然表情が固まったまま、目だけが篠田と出会う。

 一言目、どう反応しようか。そんなことあったかなと恍けるか。それが効くような男ではない。だったらそんな事もあったかなと思いだしたふりをするか。さてどうする。

 ぐるぐる回る頭の中での対応の仕方も、篠田にはすべて透けて見えている。追い詰めるつもりで言ったわけではなかったが、予想よりも面白い反応にさらに突きたくなったらしい。

「今回で三度目だ。そのうち君は全てに関わっている。そこでだ、紙谷警部と仲のいい君が注意をしてくれないかな」

 とんでもない事を言い出したと顔前面に押し出して首を振る。

「そんなの無理に決まってるじゃないですか。だって紙谷さんは警部だし、まあ私も警部なんですが、それは意味合い違いますから」

 うろたえている姿は確かに可愛らしいが、苛める手を緩めないのは野原文香を好きだからか、それとも嫌いだからか判断しずらい。可愛がり方からして嫌いではないと思うが。

「本来なら私が注意するところだが、いかんせん紙谷警部はここに入った頃の直接の先輩で、私の口からは言いにくい。ところが君は、警部ではなくてさん付けで呼んでいる。親しいからできる事だ」

 この篠田よりも年上で長く務めている人間に対して階級名ではなく、『さん』で呼ぶのは確かに近しい関係に思える。篠田に対しては警視と呼んでいるから余計にそうだ。

 本人は大して意識していないのだろう。人間性を近くで詳しく知っている篠田なら理解しているが、反応がいい人間は弄っていると楽しい。

 これで小さな声で泣かれたりしたら、ただの苛めになってしまう。その点この子はそんな心配がない。慌てて、身振り手振りで何とか状況を打開しようとしている。言葉は一つも出てこないが。

 必死で何かを発しようとしているが本当に何も思い浮かばないのか、大きかった身振り手振りも小さくなってきた。流石にもういいかと篠田は冗談だと口を開く。

「そこまで真剣に悩まなくてもいい。君が悩むとしたらどうやれば恵種が成長するか。こっちにしてくれ」

 体で示していた言葉が出ない動きを止めて、分かりましたと小さく頷く。何とも言いずらい空気になった野原文香は、袋を抱えている手に持っていた紙パックの中の袋に入っているスティック状のお菓子を口で咥えた。

 黙って微笑ましいやり取りを見ていた制服姿の女性だったが、何かがおかしい事に気づいた。

「ところで警視。何でこっちに向かって歩いてるんですか? 呼び出されただけなら、もう外に出てもいいですよね。この時間なら外に出てますよね」

 最初に野原文香もそのような趣旨のことを言っていた。

「呼び出しはもう一つあってね」

「部屋からですか?」

 首を縦に振る。「何かあったらしい」

 間に置かれて頭の上で会話をされているが、今はなるべく関わりたくない。コンプレックスの身長の低さを、この時ばかりは忘れて親に感謝していた。

 音を慣らさないように湿らせて口の中で割って食べている。器用に舌だけで中に引き込んでは割り、先に残して食べ終わったらまた引き込むを繰り返した。最後の一口を含み終わると、丁度左に折れる角に差し掛かり三人が曲がる。

「あぁ、警視」

 一人の男が、角を曲がった三人に近寄ってきた。

 三メートルの袋小路の廊下。あるのは一つの扉だけ。

「そんなに慌てるようなことがあったんですか、海田さん」

 待っていた男は頷く。それほどまでに早く伝えたい何かだが、待っていた男は中でと扉に誘う。

 四人になって扉に近づく。何の変哲もない普通の扉だが、壁にはカードを通す機械が付いていた。扉の前に立つ前にカードを用意し、待っていた男が素早くロックを外して扉を開ける。

 一番初めに野原が入り、続いて制服姿の女性、篠田と続いて扉を開けていた男が入った。

 普通の部屋、場所から考えて物置か何かだと思っていたが、白いペンキの塗られた短い廊下だった。先にはサイドオープン式の、重なるように見えているエレベーターの扉がある。

「おはようございます警視」

 早朝の挨拶。待っていた男が今挨拶するのは変だ。だとしたら誰か。短い廊下の一つの壁には扉があり、中に六人男がいた。

 マンションなどの管理人室のような外観をしており、窓の傍にいた男がした挨拶に続けて残りも頭を下げる。

 おはようと篠田が返している間に、前にいた三人を抜かしてエレベーターの前に待っていた男が立った。

 この短い廊下に入る為に使ったカードを、同じく壁に備え付けられている機械に通す。ただし、今度のエレベーターはこれだけでは使えない。カードを通す横には九つの数字。パスワードを打ち込む必要があった。

 サービスのいいホテルでもここまで気が効くだろうか。素早く数字を打ち込み、下行きしかないボタンを押してエレベーターが開く。一歩も立ち止まらず、調整もする必要なく野原がエレベーターに乗り込み三人が続く。勿論最後に待っていた男が乗り込み閉まるボタンを押した。

 四人が乗り込んだエレベーターには『閉まる』と『開く』しかボタンがなく、閉まるボタンを押すと勝手に下に動き出した。

「警視、これを」

 ポケットから一枚の紙を取出し、篠田に渡す。

 受け取った篠田は、制服姿の女性はそのままでも見やすいが、野原の為に左腕の肘の辺りに紙を下げた。

「なんですかこれ」

 そこにはこう書かれていた。

『おはよう、篠田警視。これは犯行予告です。今晩八時、我々「名前無き恵種の花」は日陽大学の図書館地下にある、月下の巫女、初版本を盗み出したいと思い手紙を送りました。もし盗み出されたくないのならそれなりの準備をしてください。それでは、また今夜』

 読む速度は人それぞれ。目の中に絵として入れるだけの人もいれば、ちゃんと文字を読んで理解している人もいるし、引っかかるところがあれば解決しながら読む人もいる。

 最初に声を上げたのは野原だった。

「わざわざこんなので警視を呼んだんですか?」

 待っていた男は頷いた。顔は真剣で開いて欲しい口が動くのを待つ。ゆっくりと降りていたエレベーターはまだ下についていない。

「文香君。君はこれが『こんな』だと思うのかな」

 反応を待っていた男に返すのではなく、一番初めに喋った野原に言葉を向けた。受け取った言葉の意味を深く理解できずに、苦笑いではいと返事する。

 二人のやり取りがあって、やっと読み終えた制服を着ている女性が確認を取る。

「これって特事課に送られてきたんですか、直接」

 聞いたのは待っていた男にだが、そうに決まってるじゃないと言いたげに野原が口を出す。

「だって篠田警視って書いてるし、ウチにでしょ」

「そう、このまま送られてきた」

 同じような答えだ。当たり前じゃないという顔でうなずく野原に対して、聞いた女性がでも変ですよねと口にする。

「こんな一枚の紙を送るなら封筒がいりませんか」

 変なところを気にするなと訝しげに眉を寄せる。

「別にそんなの、抜いて持ってきたんじゃないの」

「だって警視に見せるんだよ。封筒にも手がかりあるかもしれないじゃない」

 素直な疑問だ。焦っていて、一刻も早く見せたいと連絡を寄越してきたのに、篠田に見せない物があるのはおかしい。封筒に入っていたなら、もし何も書いていなかったとしても一緒に持ってきて渡すべきだ。

 そうしなかった。本当にそうだろうか。待っていた男が言った言葉は、このまま。言葉の意味はこれに通ずる。

「封筒はなかった」

 返事をする待っていた男に、篠田は続けて聞く。

「これがウチに直接、どこも介さず送られてきたのなら、届けたのはポストマンかな」

 変だなと思っていた制服を着ている女性も、何の疑問もなく悪戯だと思い込んでいた野原も同時に驚いた。返事を待たずともそうだと確信して聞いている篠田と違って、二人は驚きの表情のまま喋り出すのを待つ。

「はい。今朝、彼の新聞と一緒に渡されたようです」

 エレベーターが開く。待っていた男が開くボタンを押した。

 横では展開についていけない頭で、必死に理解しようとしている。

「ちょっと、待ってください。ポストマンって、なんでポストマンがそんなことするんですが。あの人がどこかの組織に肩入れしたら、大変な事になりますよ」

「恐らく今回だけだろう」

 冷静にポケットに紙を収める。

「今回だけって、それでもアウトじゃないですか。彼はどこの味方でも、どこの敵でもないから信用されてるのに、こんな手紙持ってくるなんてウチと敵対するって事ですか」

 ちょっとだけボルテージが上がる。興奮して、美白とまでは呼べないがそれでも白い頬を赤くする。

 怒る事はあまり体に良くない。出来れば笑い、たまに泣くだけでいいのだが、人間も動物だ。本能を忘れないために神様が残した幾つかの感情で、一番使用頻度の高い怒りを宥める為に、篠田は頭を軽く、撫でるように二度ポンポンと叩いた。

「これが本当に特事課と敵対するような内容に見えるかな」

 子供のように扱われて、余計に興奮したのか頬が真っ赤になる。

「だって襲うって言ってる手紙ですよ。こんなの持ってきたら敵対じゃないですか」

「持ってこなかったらどうかな」

 持ってきた。彼女の中ではイコールポストマンが予告を出してきただったが、篠田の視点は違う。

 一方だけ見ていた物が、実は反対に回るとまるで別の物に変化する。一つの面しかないと思い込んでいた野原には、すんなりと受け入れられない言葉だったが、制服を着ている女性は納得した。

「確実に盗まれています」

「そう、彼は届けてくれた。犯行予告のこの紙を見せられて、彼は捨てる事が出来なかったのだろう」

 万国不干渉者。世界のどこの国、組織にも縛られず、所属せず、干渉されない存在。どこに対しても平等であり、公平である。ポストマンは数少ない万国不干渉者の一人。

「彼がこういう行動をするという意味は」

 結論は一つ。開くボタンを押して待っていた男も当然理解できている。「放っておけば、確実に盗むのが可能な組織。それはつまり――」

「彼が見過し、拒否できないほどの強い組織」

 唾を飲み込む音が聞こえた。女性人二人は喋れなかったが、篠田が背中を押してエレベーターから出るように促した。このまま開けっ放しには出来ない。

 二人が出てから、男二人も続いた。

「でも、名前無き恵種の花なんて聞いた事ないですよ」

 エレベーターはやっと解放されて口を閉めた。仕事をよくするエレベーターならこの階に止まってはいないだろうが、口を閉めたのがアクビだったのかそのままこの階で寝るようだ。

「知られていないのは強いからこそ」

 朝の早い時間。まだ十時間以上先だが突っ立ているわけにはいかない。命令を出そうとした篠田に、男がもう一つと後回しにしていた伝えたいことを話す。

「赤丸物産の半径二十メートル以内にまでは搾れたんですが、日の上がる前に恵種の反応があったようです」

 下準備。普通ならそう思う。野原も制服姿の女性もそう思ったが、篠田はどうだろうか。一瞬考え込んだが、瞼が一度、沢山する人でも三度の間の短い思案で答えを出した。

「増井と平野を向かわせて調べさせる」

「え、二人だけですか?」

「今回の、名前無き恵種の花とは関係ないだろう。だが、あの辺りで恵種の反応は珍しい。無視するわけにもいかない」

 頷くには頷いたが、関係ないのかなと納得していない顔だった。

「今晩の為に恵種を集める。動けて戦える恵種は、霧子、硝太、それと剛谷くらいか」

 返事をした待っていた男に、すぐに連絡を取れと命令した。

「花ちゃん、君には名前無き恵種の花の事を少しでも調べてもらう」

 眠ったばかりのエレベーターを起こして男は乗り込んだ。

「文香君、君は何かあった時の為に目新しい路地がないか頭の中に入れておいてくれ」

 返事をした二人が一つの部屋に消えると、篠田も違う部屋に入った。



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