春隣③
本書はフィクションです。実在の人物・団体・省庁とは一切関係ありません。また、執筆にあたり複数の公務員の取材や架空のエピソードを組み合わせて構成しています。
ご覧いただきありがとうございます。
本作は、実話をもとに再構成した「叩き上げ公務員」の半生を描くサクセスストーリーです。
学歴もコネもなく、定時制高校からスタートした主人公。
決して順風満帆ではなかった彼が、どのような葛藤や壁を乗り越え、霞ヶ関の本省、そして幹部へと駆け上がっていったのか。
実際の官僚機構や他省庁でのリアルな泥臭さ、そして人生後半での新たな挑戦までを丁寧に描いていきます。
働くすべての人、そして逆境から這い上がりたい人に届く作品になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いください!
早いもので、季節はもう2月を迎えていた。
放課後の教室で、芝田が声を潜めるようにして3人を誘う。
「なあ、今度の土曜日にボウリング行かへんか?」
「ええけど……急に何でや?」
首をひねる浩一に、芝田は待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「ボウリングの無料券があるねん」
「お前……またなんか企んでるやろ?」
「いやいや、企むだなんて」
「怪しいな。これ、前の『須磨水族館事件』と同じパターンやぞ」
「事件って言うなや……」
「お前、あの時めっちゃ楽しんでたやん」
「そりゃ楽しかったけど……」
「楽しかったけど、なんや?」
「お前に上手いこと乗せられて、まんまと引っかかったんが悔しいねん!」
「ハハハ! そのセリフ、めちゃくちゃ気持ちええわ〜。もう一回言ってくれや!」
「言うか! アホか!」
コントのようなやり取りを繰り広げる二人に、耐えかねた桐通が割って入る。
「おいおい、これじゃいつまで経っても話が進まんやろ。芝田、その無料券って何枚あんねん?」
「……25ゲーム分。しかも、有効期限が今週の日曜日までやねん」
芝田が白状した数字に、瓜生がとぼけた口調で呆れ声をあげた。
「は〜……? 芝田、お前それなんやねん」
「な? だから行かなアカンねん!」
「行かなアカンって……」
散々文句を言い合い、なかなか話がまとまらなかったものの、結局のところ今週末の土曜日は4人で「第一回・ボウリング大会」を開催することに決まったのだった。
ご覧いただきありがとうございました!
放課後の教室で繰り広げられる、芝田・浩一・桐通・瓜生のテンポ抜群の会話劇。
「まんまと乗せられたのが悔しい」と言いながらも嬉しそうな浩一と、それを面白がる芝田たちのやり取りは、誰もが経験したことのある青春の1ページそのものです。
転校という寂しさを胸に秘めながらも、目の前にある今この瞬間を心から楽しむ彼ら。
今週末のボウリング大会で、またどんな新たな思い出が生まれるのかワクワクが膨らみます。




