2030年最期のディナー事件。
マイホームを持つのが殺された夫との夢だった。
『お前たちだけでも逃げろ!』
夫は私を逃がすために『8本足の巨大なバケモノ』にバリボリと喰われた。
『お前たち』か。
私が妊娠していたの。気がついていたのね。
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私は走って走って何とかこの豪邸に辿り着いた。
こんな家に夫と住みたかった。
私は外にいるであろう『あいつ』に怯えながら毎日を過ごした。
幸いにもこの家には水も食料もあった。
誰か他に生き残りはいないの?
……誰かの気配はする
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体調が悪い。吐き気が止まらない。
妊娠してるから?
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出産をした。
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ヤツがとうとうこの家を見つけた。
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体調が悪い理由が分かった。
ああそんなこと。
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悪魔的なアイデアが頭をよぎる。
『毒を食うなら喰われろ』よ
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最期のディナーを楽しむことにした。
それは甘く酸っぱく香ばしく……口の中に虹ができたと錯覚するほど美味しかった。
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覚悟を決めた日。ヤツが家の中に侵入して来た。
都合がいい。
私は夫と同じ様に下半身からゆっくり喰われた。
”ザマァ見ろ”
子供たち。あなた達は生きるのよ。
私みたいに最高のパートナーを見つけて幸せに。
生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて
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アシダカクモの死体があったので片付けた。
なんでお前が死ぬんだよ?
妻にバレないようにティッシュに包んで捨てた。
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最近アイツらを見ない。
毒餌が効いたっぽい。
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翌日のゴミの日、運悪くゴミ袋の中にあるクモの死骸を見て妻が悲鳴を上げた。
しまった。底に沈めてなかった。
ティッシュに包む時に強く握って潰したのでクモの腹は裂け、『中身』が飛び出ている。
「このクモ!ゴキブリを食べてる!」
「アシダカクモはそうなんだよ」
このクモ。毒餌を食ったゴキブリを食ったから死んだのかな?
「おっと」
台所に仕掛けておいた『卵、巣ごと死滅させる毒餌』も捨てないとな。




