表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班活動停止 ― 白いカラスはタキシードを着る ―  作者: ぽすしち
魔法使い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/231

魔法使いにためされる


 ジョーは、首をのばして「きみのケガは、―― 」と言葉をさがした。

「 ―― きっと、魔法使いがためしたんだろう」



 なにをだよ?と聞き返したのはザックだった。



「・・・こんな《むかし話》がむこうの大陸にある。《魔法使いと悪鬼のだましあい》の話なんだが、その中で嘘をみぬいた魔法使いは、最後にカラスの羽を悪鬼の手につきさす。するとそこから悪鬼の血がすべて流れ出してしまい、真っ白になった悪鬼は、そのまま魔法使いに仕える『白いカラス』になるっておはなしだ」



 ザックが立ち上がる。

「そのはなし、どういう意味だよ?」


 ザック座れ、とショーンが指先で命じ、「おれもききたいね」と、先をうながす。


 ためらう様子もなく、元聖父は口をひらいた。


「 どうやら『白いカラス』は、そのルイ親子をずっとむかしから追いかけている。 それならばルイのまわりにいる人たちにも興味をもったはずだ。 ―― カラスはきみたちのことを、とっくに『魔法使い』に報告していると、おれは思う」



「そん中に、おれみたいな《悪鬼》に近いやつがいたんで、羽をつきさしたってわけか?」

 台所にすわるケンが左手をあげてわらう。


「そうだ」



 ジョーの肯定にまた立ち上がろうとしたザックの頭は、近くの椅子にいるジャンにおさえられた。



「もし、きみの魂が《悪鬼》ならば、すべての血が抜け去っていただろう。―― だが、きみは悪鬼などではなくて、・・・」

 

 そこでケンの嫌そうな顔をみて、わらって言葉をとめた。


「・・・おれが言うべきことじゃない。 ともかく、彼はためされた。そして、きみたち《みんながためされている》ところだ。 ―― 芸術好きできまぐれで多少自己愛のつよい『魔法使い』は、自分のせいでひきおこされる『混乱』を楽しむ傾向があるらしい。 ―― しまっておいた過去がひきだされ、だまっていたこころのうちがさらされ、ゆきちがいが起こり、すれちがう。 芸術とともに恋愛をこのんだ魔法使いには、それも楽しい《芸術》らしい」



「そういうことか・・・」

 疲れたように額をもんだジャンが「どうりでみんなバラバラになるわけだ」と目をとじる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ