カラスに会った左手
驚いたようにほかの男たちをみまわした元聖父は「誰か、『光』がみえるのか?」と聞く。
「ウィルからそれを聞いてきたんじゃないのか?」
「いや、おれが『白いカラス』のことを知ってるときいて、とにかく副班長に会ってきてくれと命じられただけだ」
しゃべる間もジョーの目はケンから離れなかった。
ケンは機嫌悪そうに見返しているが、怒ってはいないようだった。
ジョーのくちもとがゆるく微笑んだ。
「・・・美しい魂の再生だ・・・」
「あん?なにの再生だって?」
ようやくケンが口をひらく。
「きみは、《カラス》に会ったな」
「ちがうって。実際に《白いカラス》をみたのはおれたちだって」
ザックは自分とジャンをしめす。
「いや、彼は、あの包帯を巻いた『左手』が、《白いカラス》に会ったんだ」
そこでようやくこの家の主である男が手をあげた。
「 おまえら、おれにわかるようにはじめから順をおって説明しろ。 ―― そのあとに、ジョーのはなしをきこうじゃねえか」
ぐいっと首をかかえられ、何もいいかえせないケンが、笑いをこらえるザックをにらんできた。




