言葉のとおり
残虐表現あり
執拗で、愛情ともとれる発言をして、レイしかみていない。
異常な執着をみせる愛情のねじまがった犯罪ならば、レイの事件のあとにもいくつかみてきたし、片付けてもきた。
だが、やつは ―――
「・・・クレイは、レイに執着があるんじゃない。あいつが欲してるのはやつの言う『光』にたいしてだ。 ・・・やつが、もしまた、レイを手にしたとしたら、あの言葉通りにする」 蹴った椅子を机にもどす。
裁判所へも提出された、クレイが弁護士にタイピングさせた長文の一節。
ですから、わたくしは次にも彼の体を切り開く所存です
礼儀正しい言葉遣いをするくせに、語っている内容がおぞましいというだけで、きくがわは言葉を発する人間の頭をうたがう。
だがしかし、あの男は《動機》がいかれてるだけで、頭は正常以上だとマイクは考えている。
「レイとウィルに会っただけじゃなく、おれに電話もしてきたなんて、完全におれたちをあおってる。 これでもうしばらくは、病院に戻れないだろ」
祈るように両手をくんで、蹴っていない椅子にこしかけた。
だといいがな、と白髪がめっきり増えた警察官は、その髪をなでるようにして口を一度むすぶ。
「 ―― 最悪な場合なのは、やつはなにごともなかったような顔で病院に帰ってきて、『教祖』にひさしぶりに『指示』をもらった『信者』どもが、はりきるときだ」
さっきおれに電話してきた女みたいにな、とマイクが投げた椅子の曲がり具合をたしかめるように、ゆらゆらとゆらした。




