活動停止になった
ぼんやりとしたままテーブルにいると、通り過ぎる大部分の人たちが肩をたたいていく。
そのたびに片手をあげてあいさつするのにも疲れてきたころ、がたり、とわざと椅子の音をさせて、ザックのむかいにサイズの合っていないTシャツをだらしなく着たJ班の班長があらわれた。
「おまえら、おれの忠告聞こえなかったのか?」
テーブルに組んだ手をのせるショーンは笑いをかみころすような顔をする。
「きこえてたよ。でも・・・。いろいろあったんだよ。話せないけど・・・」
「クレイのことか?」
おどろくザックへテーブルの両端をつかんだ男は顔をつきだし、声をひそめた。
「 ―― おれはバートを肩車したこともあるんだぜ?レイとはおててつないでピクニックしたこともある。 ―― バートから、これからウィルのとこにレイを迎えにいくから、もしかしたらしばらく動けなくなるかもしれないって、連絡がきてな・・・。 その前にアッシャーにおまえらの班のことをきかれてたから、こりゃなにか起こりそうだと予想はしてたさ。 でもまさか、『活動停止』になるとはな・・・」
ニュースはすぐに社内を駆け巡ったようで、食堂のテーブルにぽつりと座るザックをみんなが励まして通って行ったのだ。
「ジャンが、きのう申請したんだよ。バートとも相談して、しばらくA班としての活動ができなくなるって・・・」
二日前に班室であったことを考えればたしかに、いつものA班としての仕事はできないだろう。
 




