終わってない
「死んでいた人物から『教祖』に通じるものはなにも見つからなかった。家族もいないし、友達もいないような孤独な女性だったってことがわかっただけだ」
PCの画面はひらかれたままで、服毒自殺とみられる女はベッドルームに倒れていた。
「それって、ほんとに自殺だったのかよ?」
ニコルからコーヒーをうけとったザックはうわめでたずねる。
さあな、とこたえたのはコーヒーで気分をたてなおしたジャンだった。
「 いちおう自殺で片付けられた。 ・・・おれとしてはその女性に感謝したいよ。彼女のおかげで治安の事件として扱われることになったんだからな。重犯罪部にまわってたら、とっくに捜査はおわってる・・・」
―― 終わってないのか、とザックはカップの中をにらむ。
とうぜんだ。
なにしろその男の考えに『同調』する頭のおかしいやつらがまだどこかに生き残っているのだ。
コーヒーはうまかったが、ザックは顔をしかめた。
・・・・・いきのこって?
「 ちょ、ちょっと、まってくれよ。 まさか、レイのことまだ・・・」
ジャンの顔をみて言葉がとぎれる。
「ああ・・・事件から三年ぐらいたって、レイが学校に通うようになったら、あとをつける奴がではじめた。 それが、交代でいれかわってあとをつける手のこみようで、レイもはじめは気のせいかと思ってたんだ。すぐにバートがそいつらを片っ端からとりおさえて、ようやくそのうちの一人だけ、あの男の仲間だってことを確認した。いや、ただしくは仲間だってことは認めなかったんだ。 ただ、レイのことを『光の子』だと言って、彼の光をとりださないといけないとかほざいたんだ」
ここでザックは、おもいあたることがあってからだがふるえた。
「あの、・・・おれがレイと、あんたんとこで初めて会ったとき・・・」
『バートが帰ってくるまで、・・・ここにいてもいい?』
『レイ、すぐに迎えに行ったのに、なんで呼ばなかった?』




