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どうする?



 ガーバディ警備会社の《警察要請部》には、いくつかの種類がある。

 そのうちの《強硬部隊》に所属する男たちはほぼ毎日、自分の体を保つためのトレーニングをおこなっている。

 


 そのトレーニングの中でほかの班との水泳競技を楽しんでいるときに、急に気分が悪くなったと抜けた背を見送ったのが、確信したときだった。







「ありゃ、確実だ」

 肌の浅黒い大柄の男が大きな体を縮めるように太い腕を組む。


「なんでいわないのかな」

 顔にかかる金髪の髪を指で払う男が、長い足を優雅に組みかえる。


「いうと思うか?あのルイが」

 班の副班長サブチーフである男が濃い黄色の髪をかきまわすようになでて顔をしかめたとき、班の新入りであるザックは机をたたいた。


「じゃあさ、ルイが倒れるまで、なんもしないでいろってのかよ?」

 みんな変に冷たいんだよ、と不満げに口をとがらせて同僚をみまわす。


 暗い場所で、皆が集まって腰掛けているここにだけライトがあたっているので、それぞれの表情がよくみえる。

 酒のはいったグラスを手にする男たちは一様に困った顔をする。



「でもなあ、どうする?」と大柄なニコルが太い腕をくみ、愛嬌のある丸い目をむける。


「ルイってさあ、この班の中で一番頑固だとおもうよ」

 顔にかかる邪魔な前髪をはらってウィルが足を組み替える。


「そうだな。おもえば、あいつが困ってるようなこと口にするのなんて、きいたことないし」

 人の心配ごとにはすぐ気づいて声かけてくるんだよなあ、と副班長であるジャンが、本当はああいうやつがサブをすりゃいいんだ、とグラスに口をつける。



「どうしたの?なにか副班長サブとして自信なくすようなことがあった?」

 ウィルがおかしそうに手をあげ、むこうのカウンターへ酒の追加をたのむ。


「いや。自信をなくしたわけじゃないが、先週末にルイを誘って聞き出そうとしたけど、あっさり断られた」


「そうなんだよ。すっげえつきあい悪くなってさあ。おれも飯食いにいこうとしたら来るなっていわれた」

 身をのりだしたザックに、おまえはルイのところ食堂だとおもってるだろ?とジャンに笑われる。


 実際、この班にはいってから、月に五回以上は必ずルイの家で食事しているので、新人はなにも言い返せない。


 ニコルが代わりに、でもルイは喜んでたさ、と言ってやる。


「もともと料理はうまいし、べつに人とかかわるのが嫌ってわけじゃない。 ザックが来る時の献立考えてるのも楽しそうだったしな」


「じゃあ、体のどっかがわるいんだろ」

 一人、隣のテーブル席に座るケンが行儀悪くテーブルに足をかけたままいう。

 


 その言葉にみな黙って顔を見合わせるしかない。




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