『魔法使い』に仕えてる
「あいつらは自由自在に現れて消える」
「なんだ。むかしからの知り合いってこと?」
ジョーは心配そうに家から顔をだしたトムとレイを確認し、だいじょうぶだ、と大きく手を振って見せた。
「 『知り合い』ってほどではない。 だが、 ―― 知り合いの知り合いってとこだ」
その返答にウィルはいやそうな笑みをうかべた。
「『悪鬼』や『魔女』が『知り合い』のあんたにとって、『知り合いの知り合い』っていったいなんだよ?」
ジョーことジョゼフ・コーネルは、もとは聖父だが、『魔女や魔物や鬼はこの世に実態として存在する』などと主張しはじめたために教会を追われ、今は聖堂教にせいしきには認められない『裏の聖父』をやっている。
魔女に魔物に鬼なんて
こどもころからずっとそんなものの存在を信じたこともないウィルだったが、昨年起こった事件で《それら》の存在をしめされ、変に拒絶することもなくうけいれてしまった。
それはきっと、ジョーから《それら》のはなしをずっときかされていたせいかもしれない。
きびすをかえし、いっしょに車にむかっていたジョーがポケットからだした革の袋をよこしながら、めずらしくたのしそうに微笑んだ。
「 ひさしぶりに『白いカラス』のはなしをきいたと思ったら、こんなすぐに自分の目でみられるとはな」
「もしかしていま初めてみたってこと?」
おしつけられた革袋は思ったより重かった。
のぞくと、古い《銀の弾》が入っている。
「 初めてだがありゃ《有名》なのさ。 ―― おまえらが、こんどはどんな事件にかかわってるのかは知らないが、気をつけろよ。 あの『白いカラス』が仕えてるのは、『魔法使い』だからな」
ウィルの手にのった革袋にすてきなものがはいっているかのよう、指ではじいた。




