仲間として
何度かうなずいた白髪の女は窓のむこうにひろがる広い庭をみて、ゆっくりとはなしはじめた。
「 ―― ルイは、わたしがみた中でも群を抜く頭の良さと、美しい『魂』をもつこどもだった」
もちろん、いまもでしょう?と警備官たちをふりかえり、うなずかれるのを待つ。
「もちろんです。あんないい男めったにいないでしょう。 でも、―― 少々、自分をさらけだすのをいやがるむきがありましてね。今度のことも、それが強すぎて、けっきょく自分を傷つけることになるのに、ひとりでかかえこもうとした」
「怒ってるのね、仲間として」
とうぜんだろ、とザックがわりこむ。
「だいたいもっと早くにルイが口わってれば、ケンだってぶったおれなくてすんでたわけだし」
「ザック」
とめたジャンの声は厳しいものだった。
「ああ、お友達が、巻き込まれてしまったんだったわね」
残念だわ、とマクベティは首をふってまた庭へ顔をむける。
「ルイは、どこまでをあなたがたに?」
「母親が、・・・『白いカラス』に殺されたっていうことだけです。 ―― ルイのお母さんは、ルイが五歳くらいのときに亡くなったんですか?」
「そうね。彼はまだ、五歳になっていなかった」
「だから、たしかな記憶はないらしいんですが、母親の死と白い羽が結びついた記憶はあるみたいだ。 それに、『白いカラスがルイのお母さんを殺した』と彼に教えたのはあなただとうかがいました」
「そう。―― みましたから」
むこうを眺めたままの女の返答に、男たちは顔をみあわせる。
 




